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ストレスに強くなる「朝と夜の過ごし方」とは?

2018年05月07日 公開
2023年03月16日 更新

有田秀穂(東邦大学医学部名誉教授)

ほんの少しの習慣で身も心も回復!

仕事でストレスを抱えない人などいない。ストレスに負けない人とは、ストレスとの上手な付き合い方を知っている人だ。お金がなくとも、時間がなくとも、日々の過ごし方次第でストレスは大きく軽減されると、医学博士の有田秀穂氏は言う。そのカギは「脳内ホルモン」。ストレスに負けない健康習慣についてうかがった。

 

朝のセロトニン、夜のオキシトシン

「ストレスに負けない生活習慣」をひと言で言い表わすなら「朝のセロトニン、夜のオキシトシン」。どちらも脳内で分泌される物質(脳内物質)で、これらを上手にコントロールすることで、心身ともに健康な毎日を送ることができるのです。

では、これらの脳内物質がストレスとどう関係があるのか。まずは「ストレスとは何か」について説明します。

脳がストレスを感じると、二つの反応が起きます。一つは、即座に反応する仕組み。脳幹に備わっている「ノルアドレナリン神経」が働き、交感神経が高まります。強い覚醒状況となり、血圧が上がり、パニック・不快・不安感などを感じます。

 

ストレスが長く続くと脳がフリーズする!

この初期反応は誰にでも起き、見た目にもわかりやすいものです。よりやっかいなのは二つ目のストレス反応です。

長くストレス下にさらされると、脳はフリーズし、ストレスに対し無駄な抵抗をしなくなります。ただ、表面的には何も感じていないようで、実際には視床下部にある「ストレス中枢」が興奮し始め、脳の下垂体を介して副腎皮質という部分からストレスホルモン、別名「コルチゾール」を分泌させます。コルチゾールは、免疫力の低下やストレス性の高血圧・肥満・糖尿病を引き起こし、ついにはうつ病を発症することがわかっています。

この一連の流れを「視床下部下垂体副腎系」と呼びます。これこそが、健康に害をなすストレスなのです。

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「セロトニン」が「元気」を作り出す >

著者紹介

有田秀穂(ありた・ひでほ)

医学博士

1948年、東京生まれ。セロトニンDojo代表。東京大学医学部卒業、医師免許取得。東海大学病院、米国ニューヨーク州立大学留学などを経て、東邦大学医学部統合生理学にて、坐禅とセロトニン神経・前頭前野について研究。同大学にて教授を務めたのち、名誉教授に。『脳からストレスを消す技術』 (サンマーク出版)ほか著書多数。

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