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相手を動かしたかったら「リスク」を語ろう

2018年05月22日 公開

犬塚壮志(元駿台予備校化学講師、東京大学大学院生)

「恐怖心」と「意外性」で心をつかむ!

「知的でわかりやすい説明には型がある」と主張する、元予備校人気講師の犬塚壮志氏。中でも冒頭のつかみで大事なのが、相手の欲を刺激することと、反対に「リスク」を提示することだという。それは一体どういうことなのか。著書『頭のいい説明は型で決まる』をもとに解説してくれた。

 

「やらないとヤバいよ」はキラーフレーズ

前回、予備校の授業で使っているキラーフレーズとして、

「これができないと他の受験生に差をつけられちゃうよ」

というフレーズを多用する、というお話をさせてもらいました。

このフレーズは、ストレートに言いますと、「他の受験生に負けてしまう可能性がある」という受験生の〝恐怖〟を刺激することを目的としています。

このテクニックは恐怖訴求と呼ばれるもので、よくテレビCMや電車の中吊り広告などで見かけるかもしれませんね。

たとえば、「これをやらないと、脳卒中になるリスクが○%増える!」―─このような煽り文句で視聴率を上げるTV番組や、部数を伸ばしている雑誌もあります。その内容が事実かどうかは別として、やはり人は自分のリスクが高まるとなったら耳を傾けるものなのです。

 

相手のためにも「リスク」はしっかり伝えるべき

これも「なーんだ、そんなことか」とか、逆に「あざといヤツだな」と思う方もいるかもしれませんね。それでも、実際問題として、やはり人というのは「メリット」「デメリット」で動くものです。

特に、大学入試のような短期間で成果を出さなければならない状況ではそれが顕著に出ます。成果を出せなかったら、つまり合格できなかったらフリーターになってしまうという恐怖が、常に受験生についてまわります。

ダニエル・カーネマンが提唱する「プロスペクト理論」によれば、人はできるだけ損失を回避したいという心理状態をもつ傾向にあるそうです。

もちろん、ウソや過剰な表現は絶対に避けるべきです。

ただ、確実に相手がリスクにさらされるのであれば、説明する側は臆せずにしっかりとそのリスクを相手に伝えるべきです。自分の利益のためではなく、相手のために「実際にその説明を聴いていなかったら、損をしてしまうよ」ということをしっかりと伝えるべきなのです。

生徒としては、その説明をしっかり聴かなかったら、学習の理解が追いつかず、学業成績が低下するのは事実なのですから。

たとえ相手に疎うとまれようが、実際に相手に起こりうるリスクは、説明の冒頭で相手にしっかりと伝えるようにすべきなのです。

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著者紹介

犬塚壮志(いぬつか・まさし)

 (株)士教育代表取締役/コンピテンシー・ブランドプロデューサー

福岡県久留米市生まれ。元駿台予備学校化学科講師。業界最難関といわれている駿台予備学校の採用試験に25才の若さで合格。駿台予備校時代に開発したオリジナル講座は、開講初年度で申込当日に即日満員御礼となり、キャンセル待ちがでるほどの大盛況ぶり。その講座は3,000人以上を動員する超人気講座となり、季節講習会の化学受講者数は予備校業界で日本一となる。「教育業界における価値協創こそがこれからの日本を元気にする」をモットーとし、講師自身の「コア・コンピテンシー」を最大限に生かした社会人向けビジネスセミナーの開発や講座デザイン、テキスト作成などを請け負う事業を興す。予備校講師時代の経験を生かし、自分ブランドを活用した教育プログラムをビジネスパーソンや経営者に向け実践中。また,企業向け研修講師としても登壇し、さらに企業研修そのものをプロデュースするビジネスもスタートさせる。その傍ら、東京大学大学院で「学習環境」をテーマとした研究も行う。主な著書に、3.5万部越えのベストセラーとなった『頭のいい説明は型で決まる』(PHP研究所)、『偏差値24でも、中高年でも、お金がなくても、今から医者になる法』(KADOKAWA)などがある。

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