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算数が苦手なマラウイ人。その出血大サービスとは?(マラウイ)

2018年07月03日 公開
2018年07月03日 更新

<連載>世界の「残念な」ビジネスマンたち(35)石澤義裕(デザイナー)

アフリカのブルーオーシャンここにあり!


試すとわかるのですが、荷物は頭で運んだほうが合理的です。

軽自動車で地球半周中の、働く旅人です。

13年間も世界一周をしているお陰で、すっかり国籍不明の異邦人になりました。心なしか眼光が鋭くなり、鼻が高くなった気がします。

稚内から85,000km。流れ流れてたどり着いたのは、人類の故郷と言えなくもないアフリカのマラウイです。

どこそこ?系の小国は、国土の4分の1が湖というアフリカ旅のブルーオーシャン、魚料理の天国でした。

150円もあれば、湖で獲れた焼き魚定食を腹一杯食べられます。

筆者のおすすめは、イワシの煮干しを唐揚げしたようなウシパ。内臓の苦味成分とおこげのコラボは、昼飯を食べ終えた瞬間に晩飯を予約するほどの絶品です。

地べたで調理する原始的な焚き火料理は、人類発祥以来ナニも変わっていないようなプリミティブ感が隠し味。微妙に塩辛いオイリーなトマトソースは、まだ日本に上陸していないニューテイストです。

 

その愛想の良さは「豊富な魚」のおかげ?

マラウイ湖の豊富な魚を食べて育ったマラウイ人は、カルシウムがふんだんに余っているのか、非常に愛想が良いです。

道ゆく人も、工事中のおじさんも、暇そうな若者もみな、元気よく挨拶してくれます。

「ニイハオっ!」

ボクらもとっておきのスマイルで、

「ニイハオっ!」

「チンパオシャイチェン……」とデタラメの中国語で話しかけてくる彼らの屈託のない笑顔の秘密は、威張りちらす白人が少ないからかもしれません。

南部アフリカのように、搾取されるだけのブラック企業に勤めている人は少なく、みなさん、小さいながらも一国一城の主です。

インセンティブ100%のフレックスタイムの裁量労働制だから、商売熱心です。

また外国人観光客が少ないため、旅人から搾取するボッタくり精神が芽生えていません。

明朗会計です。

ただ残念なことに、算数が苦手です。

これがために、働けども働けども世界銀行から世界最貧国扱いされるのです。

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一見、エリート風営業マン。でも計算力ゼロ >

著者紹介

石澤義裕(いしざわ・よしひろ)

デザイナー

1965年、北海道旭川市生まれ。札幌で育ち、東京で大人になる。新宿にてデザイナーとして活動後、2005年4月より夫婦で世界一周中。生活費を稼ぎながら旅を続ける、ワーキング・パッカー。

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