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AI時代の最重要スキルは「プロマネ」だ

2018年08月20日 公開
2023年03月14日 更新

三木雄信(トライオン代表取締役)

プロマネのやり方は誰も教えてくれない

ただ日本の多くの企業では、「プロマネの仕事をどうやればいいか」という方法論を誰も教えてくれないのが現状です。新人研修はもちろん、管理職研修でさえ、プロジェクト・マネジメントをテーマに社員教育を行なっている企業はかなり少ないのではないでしょうか。

「プロジェクト的な仕事」が増えているのに、プロマネのスキルを身につけた人は少ない。

こうした現状が、日本企業に大きなマイナスの影響を与えています。

そもそも「プロジェクト的な仕事」では、誰がプロマネの役割を担うのかもはっきりしないことがほとんどです。

その結果、日本のあらゆる職場で同じような失敗パターンが繰り返されています。

 

日本の職場で頻発する「デスマーチ」

たいていのプロジェクトは、メンバー同士で明確な役割分担もしないまま、「とりあえず、やれることから始めよう」と各自が思いつくまま何となく作業を開始します。

しばらくはそのまま活動レベルが上がっていきますが、あるところまで来ると、誰かが「このやり方のままでいいのかな」「前のプロジェクトではこんなことはしなかった」などと言い出します。すると他のメンバーも不安に思い始め、「確かにそうだな。進め方を見直そう」と再検討が始まり、いったん活動レベルが停滞します。

その後、メンバー同士で仕事の進め方について合意がなされると、再び作業が開始されます。

ところがさらに先に進むと、今度は会社の上層部やクライアントから「ちょっと待て。自分が考えていた方向性と違うから、やり直してくれ」と想定外の注文が飛び出します。

いわゆる〝鶴の一声〞です。

ここで活動レベルは限りなくゼロに近いところまで落ち込み、仕事は振り出しに戻ります。

こうして一からやり直している間にも、納期はどんどん迫ってきます。

最後は期限に間に合わせるために、深夜残業や徹夜を続けてでも大量の作業を突貫工事でやるしかなくなります。

これが俗にいう「デスマーチ」の状態です。

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著者紹介

三木雄信(みき・たけのぶ)

トライオン〔株〕代表取締役社長

1972年、福岡県生まれ。東京大学経済学部卒業。三菱地所㈱を経て、ソフトバンク㈱に入社。27歳で同社社長室長に就任。孫正義氏の下で「Yahoo!BB事業」など担当する。 英会話は大の苦手だったが、ソフトバンク入社後に猛勉強。仕事に必要な英語だけを集中的に学習する独自のやり方で「通訳なしで交渉ができるレベル」の英語をわずか1年でマスター。2006年にはジャパン・フラッグシップ・プロジェクト㈱を設立し、同社代表取締役社長に就任。同年、子会社のトライオン㈱を設立し、2013年に英会話スクール事業に進出。2015年にはコーチング英会話『TORAIZ(トライズ)』を開始し、日本の英語教育を抜本的に変えていくことを目指している。2017年1月には、『海外経験ゼロでも仕事が忙しくでも 英語は1年でマスターできる』(PHPビジネス新書)を上梓。近著に『孫社長にたたきこまれた すごい「数値化」仕事術』(PHP研究所)がある。

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