THE21 » トピックス » 起業にお勧めの国、ルワンダ。でも問題は……(ルワンダ4)

起業にお勧めの国、ルワンダ。でも問題は……(ルワンダ4)

2018年12月07日 公開
2018年12月07日 更新

<連載>世界の「残念な」ビジネスマンたち(40)石澤義裕(デザイナー)

日本より快適?ルワンダでの隠居


ルワンダは、いわゆる巨漢やおデブはいません。男女ともスリムです。美人が多いかも。

ルワンダでまったりして、4ヶ月。

アフリカで3回目の年越しを目の前にして、そろそろ身のフリを考えなきゃならんと、沈む夕陽を眺めながらビールを飲んでいます。

日本まで5万km。

遠い……、正直、遠い。

地球一周以上もありますからね、鳥取県の境港まで。

帰るのが面倒くさくなってきました。

このまま隠居しちゃおうかな……。

ルワンダは海がないから魚介類は食べられなくなるけれど、真夏でも30度以下という老体に優しい気候だし。

ジェノサイドを乗り越えた平和力は、クレーマーだらけの日本より波風が立たず、滅多なことでは強盗にもお遭いできないほど、安全。

加えて月に一回、全国民が掃除をするので町がきれい。

隠居には悪くないルワンダです。

ただ、暇を持て余すとロクなことを考えませんから、ボケ防止を兼ねて軽く起業してみます。余興で。

 

ルワンダで一流ビジネスマンに出会った!

幸い、ルワンダの起業は「安い早い簡単」の三拍子。

申請は書類を書くだけ。最短なら数時間。資本金は不要です。

日本人の若い起業家がチラホラといるので、彼らに教えを請いつつ、新人ですからよろしくお願いしますとへりくだりながらも年功序列で押し切れば、日本人会を牛耳るのも夢ではありません。

日本人を掌握したら次に重要なのは、ローカルのパートナー。

アウェーでの起業ですからね、そこのところは最高の人物を抑えます。

COOは、以前、本Web連載で紹介した民泊オーナーの気配り青年です。

彼の能力は、能書き重視の筆が立つ日本人を10人集めるより、後先を考えないポジティブシンキングな弁の立つアフリカ人を100人集めるより、はるかに信頼できます。

古民家のリノベーションプロジェクトを立ち上げたとき、たった1日で見積書をまとめた実務力。翌日にはスケジュールを見える化した段取り力。いつの間にか現場を掃除した気配りがあり、職人を手配してお金を払って帳簿を付け、資材の買い付けに自らおもむき、材木等を目利きし、プロジェクトを導いたマネジメント力。

ときには、金槌を振るうマルチクリエーターでもあります。

次々と襲い掛かるトラブルにもめげず、決して怒らず、いつも静かに笑っている穏やかな性格。

すごくいい奴でしょう?

帰国するのが面倒だから起業すると言っていますが、実のところ彼に惚れただけでして、もし筆者が20歳若く彼が女性だったら、いまごろプロポーズしています。

結婚が叶わぬから、一緒にビジネスをしたいのです。

歌舞伎町で培った筆者の経営哲学をこってりと伝授し、残りの人生を添い遂げれば最高じゃないですか!

我が家の余生は、残り20年少々。

彼は30歳なので、今後20年は昇り竜の勢い。働き盛り。

死んだあとは年金をあげますから、ぜひ、よろしくお願いします。


女性の一番身近なフリーランスの職業は、ミシン屋です。商店の軒先や路上の木陰、あらゆるところでミシンを踏んでいます。

次のページ
ひたすら酔っぱらう起業家 >

著者紹介

石澤義裕(いしざわ・よしひろ)

デザイナー

1965年、北海道旭川市生まれ。札幌で育ち、東京で大人になる。新宿にてデザイナーとして活動後、2005年4月より夫婦で世界一周中。生活費を稼ぎながら旅を続ける、ワーキング・パッカー。

THE21 購入

2024年4月号

THE21 2024年4月号

発売日:2024年03月06日
価格(税込):780円

関連記事

編集部のおすすめ

「家づくりの匠」の仕事の流儀は「一歩進んで二歩下がる」?(ルワンダ3)

<連載>世界の「残念な」ビジネスマンたち(39)石澤義裕(デザイナー)

素晴らしき「おもてなしホテル」。資金ショートの訳とは?(ルワンダ2)

<連載>世界の「残念な」ビジネスマンたち(38)石澤義裕(デザイナー)

生まれ変わった「奇跡の国」の、表現力に乏しい人々(ルワンダ)

<連載>世界の「残念な」ビジネスマンたち(37)石澤義裕(デザイナー)
×