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年間646万トン。日本を覆う「食品ロス」問題の解決に挑む

2019年02月16日 公開

川越一磨(コークッキングCEO)

フードシェアリングサービス『TABETE』とは?

 近年、ニュースなどでも取り上げられるようになった「フードロス」「食品ロス」の問題。それを解決するために、昨年4月からフードシェアリングサービス『TABETE』を運営している〔株〕コークッキングのCEO・川越一磨氏に、その取り組みについて聞いた。

 

「食品ロスに困っているお店を助ける」というスタンスで

 ――まず、フードロス問題の現状について教えてください。

川越 フードロスというのは、食料が生産されてから消費されるまでのサプライチェーン全体で生じるロスのことで、その量はわかりません。農家の方が規格外の野菜を畑に埋めたり、コンポスト(堆肥)にしたりする量は把握できないからです。

 流通に乗って以降に生じるロスは「食品ロス」と呼ばれていて、農水省の推計によると646万トン(2015年度)もあります。日本では、食品ロスのことを指して「フードロス」と呼ぶこともよくあります。

 FAO(国連食糧農業機関)の2011年の報告書によると、全世界では年間約13億トンの食料が廃棄されていて、これは、人が消費するために生産された食料の3分の1に当たるということです。

 ――御社の『TABETE』は、食品ロス問題を解消するためのサービス?

川越 食べられるのに捨てられてしまう食料を「フードウェイスト」と呼ぶのですが、それを救い出すサービスで、我々は「フードシェアリング」と呼んでいます。

 具体的には、レストランやスーパーマーケット、パン屋など、外食や中食、小売りの事業者が商品を売り切るために、消費者とのマッチングを行なっています。『TABETE』に売れ残った商品をアップすると、スマホなどでユーザーが見て、お店まで商品を取りに行く、つまり、テイクアウトをする、というものです。

 ――川越CEOご自身も外食産業で働かれていた経験がありますが、外食の事業者は食品ロスについてどう考えているのでしょうか?

川越 食品ロスは、ないに越したことはありません。しかし、美味しい料理を提供するためには、どうしても出てしまうのです。例えば焼き鳥にしても、冷凍の肉を使えば食品ロスが減りますが、生の肉を焼いたほうが美味しい。肉が残ったからといって冷凍すると、味が落ちます。

 それに、お客様がどの料理を注文するかを完璧に予測することはできません。完全予約制ならできるかもしれませんが、それでもキャンセルがあれば食品ロスが生じます。

 ――『TABETE』のサービスに対する反応は、どうでしょうか?

川越 『TABETE』を使うことによって得られる売上げは少ないのですが、新たなお客様との出会いのきっかけとして喜んでいただいています。『TABETE』を使って初めて来店した方が、その店の味を知って、再来店することがあるわけです。

 また、中食の場合は、ディスプレイとして最後まで商品を多く並べておくので、食品ロスが多い。その罪悪感を少しでも減らすことにつながっているようです。

 ――売れ残りを安売りしているようにも思えますが……。

川越 安売りだと受け取られないように、私たちもメッセージの伝え方に気をつけています。あくまで、「お店が困っているから、それを助けてほしい」というスタンスです。実際、単価は600円ほどのものが多く、それほど安いわけではありません。

 ――『TABETE』を利用している事業者には、どんなところが多いのでしょうか?

川越 今は都内が中心で、個人店が多いです。特にランチ営業をしている店が多いですね。ランチは、すぐに提供できるように半調理をして準備していますから、売れ残ったら、「まかない」にするか、捨てるしかなかったからです。

 〔株〕TBI JAPANや京王食品〔株〕など、法人も増えてきています。食べ物を大量に捨てることはブランドを傷つけることになると考える企業が多くなっているように感じます。

 ――『TABETE』を利用している消費者のほうには、どんな人が多いのでしょうか?

川越 30~40代の働く女性が65%ほどを占めています。デパ地下で中食を買うのと同じように、仕事帰りに利用していただいています。

 ですから我々も、働く女性が多いエリアを中心に、お店に営業活動を行なっています。

 ――『TABETE』の利用者は、どのように増やしているのですか?

川越 消費者側のユーザーについては、ありがたいことにメディアで取り上げていただく機会が多かったので、特に何もせずに増えています。

 お店のほうについては、地道にテレアポから営業活動をしています。その他、昨年、キリンホールディングス〔株〕のアクセラレータプログラムに採択していただいたので、キリンと連携もして営業活動をしています。

 ――キリンの営業マンが『TABETE』をお店に提案しているということですか?

川越 そうです。お店の問題解決に役立つサービスですから。

『TABETE』は、売買が成立したときに手数料をいただいていて、ランニングコストがかかりませんから、提案もしやすいと思います。

 

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著者紹介

川越一磨(かわごえ・かずま)

〔株〕コークッキング代表取締役CEO

1991年、東京都生まれ。慶應義塾大学総合政策学部卒業。和食料理店での料理人修行、大手飲食チェーンでの店舗運営などを経て、2015年に〔株〕コークッキングを創業。山梨県富士吉田市にてコミュニティカフェ『LITTLE ROBOT』の立ち上げなどを行なう。現在はフードロス問題に挑戦するフードシェアリングサービス『TABETE』の事業などに取り組んでいる。

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