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ブレグジットの次のシナリオは、「日英同盟」の復活!?

2019年07月01日 公開

茂木 誠(駿台予備学校世界史科講師)

日本人が知らない「国際ニュースの核心」

激動の国際情勢を、一段深く理解したい。そのためには、世界史の知識が欠かせない。この連載では、世界史を大きなストーリーとして捉える見方でおなじみのカリスマ塾講師・茂木誠氏が、現在の国際情勢の歴史的背景を、キーワードで解説する。

 

EUの原点はドイツの「封じ込め政策」

 EU離脱を決めた国民投票から2年。イギリスは今年3月、ついにEUから離脱します(※今年1月時点での情報を掲載した記事をオンラインに転載しております)。なぜ、EU離脱を選んだのか。それを理解するには、「EUとは何か」を押さえる必要があります。

 EU誕生の背景には、「ドイツを封じ込める」狙いがありました。ドイツは二度の世界大戦を通じて周辺国を恐怖に陥れたヨーロッパの「暴れん坊」です。

 第二次世界大戦の敗北で東西に分断されると、ドイツの弱体化を目論む西ヨーロッパの国々は、西ドイツを含む6カ国で経済共同体を作り、ドイツを無力化しました。これが1967年に発足したEUの前身、EC(ヨーロッパ共同体)です。

 その後、冷戦終結とともに、ソ連と東ドイツが崩壊。東西ドイツが統一されます。「暴れん坊のドイツ」の復活を恐れた周辺国は、93年、統一ドイツを丸ごと囲い込むため、国家統合と通貨統一を柱とするEU(ヨーロッパ連合)を立ち上げ現在に至ります。

 EC発足当初、イギリスはECに不参加でした。大陸国家と距離を取ってきたからです。

 島国イギリスの国家戦略は、ヨーロッパ大陸の統一を阻止し、巨大帝国と敵対する国々と手を結んで分断し、いがみ合わせることでした。ナポレオン時代はフランスを封じ込めるために対仏大同盟を組み、二度の世界大戦では、ドイツを封じ込めるべくフランスと手を組んでいたのです。

 そうした背景から、欧州統合に対しては消極的でした。

 そのイギリスが、73年にECに加盟したのはなぜか? 

 資源の乏しいイギリスは、数多くの植民地を作り、ヨーロッパに頼らず生きてきたのですが、第2次世界大戦後に植民地の独立が相次いだためです。

 ただし、ポンドは手放さず、移民も受け入れない。でも、市場だけは欲しい。いい所取りの加盟でした。

 しかし、イギリスの製造業はドイツに完敗しました。ユーロ導入後、経済力の乏しい東ヨーロッパ諸国が加盟し、ユーロの価値が下落した結果、皮肉にも輸出大国のドイツがユーロ安の恩恵を享受して、経済大国へと返り咲きました。相対的にイギリスはポンド高となり、金融業で生き延びることになります。

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EU離脱を目前に控え揺れるイギリス >



著者紹介

茂木 誠(もぎ・まこと)

駿台予備学校世界史科講師

東京都出身。駿台予備学校やネット配信のN予備校にて世界史の講師として多数の受験生を指導している。受験の参考書のほか、『経済は世界史から学べ!』(ダイヤモンド社)『マンガでわかる地政学』(池田書店)『ニュースの〝なぜ?″は世界史に学べ』(SB新書)『世界史につなげて学べ 超日本史』など著書多数。

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2019年10月

The21 2019年10月

発売日:2019年09月10日
価格(税込):630円

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