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医学博士号&MBAを持つ医師が教える「戦略的疲労予防習慣」

2019年07月31日 公開
2023年03月02日 更新

猪俣武範(医学博士)

日常生活の中で簡単にできる!

 

 眼科医として臨床や研究に携わりつつ、現代人の健康管理に関しても数々の提言を行なっている猪俣武範氏は、できるビジネスパーソンほど「休息上手」だと語る。休みナシの働き方は疲労を蓄積させ、業務効率を落とし、ますます長時間労働に陥る悪循環を生む。仕事の効率を上げるために、日常の中できちんと休息を取る、「戦略的疲労予防術」をうかがった。

 

運動の状況をウェアラブルデバイスで管理

 運動をすると疲れるというイメージがあるかもしれませんが、実は、適度な運動は逆に疲れを取ってくれます。運動不足になりがちな人は、ウェアラブルデバイスを活用して、自分の運動の状況を「見える化」しましょう。そのためには、リストバンド型の活動量計が便利。例えば「Fitbit」は、歩数や消費カロリー、心拍数など、多彩なデータが取れるうえ、「目標歩数までの到達度」「睡眠時間が不十分」などの通知が届いて、モチベーション管理にも最適です。

 

夏でもシャワーで済まさず湯船に浸かる

 

「1年を通じてきちんと入浴する人は、しない人に比べて、1.35倍も幸福を感じている」という論文があります。この数字にはまだ検証の余地があるでしょうが、入浴には、(1)血管を拡張させる「温熱作用」、(2)筋肉の弛緩や、筋肉による血管・臓器への圧力の低下を促す「浮力作用」、(3)水圧によって下半身の血圧循環が促される「静水圧作用」の三つの効果があることは確かです。半身浴でも、これらの効果はあります。シャワーで済ませず、湯船に浸かるようにしましょう。

 

お風呂は「38~39度のお湯に15分」入る

 疲れを取るには、体温より少し高い38~39度のお湯に15分浸かるのが理想です。額に汗が出てきたら、それは身体が体温を下げようとしているサインなので切り上げましょう。サウナも同じく低温がお勧め。60度程度の低温で15分入るのが、最も疲れが取れやすい入り方です。岩盤浴も同様。39度の低温の岩盤浴で不安軽減効果が出たという研究結果もあります。

 

アスリートも実践している「交代浴」をする

 アスリートの間で近年人気なのが、温水と冷水に交互に入る「交代浴」。温水に入ったあと、いったん冷水に入ってから、もう一度温水に入ると、血管がより拡張し、疲れが取れると言われています。この簡易版として、「足だけ交代浴」を試してみるのもいいでしょう。方法は、自宅の浴室に桶を用意して、冷水を張るだけ。お湯で温まった足を桶の中の冷水に浸けて、また湯船に戻す、ということを繰り返して疲れを取り除きましょう。

 

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著者紹介

猪俣武範(いのまた・たけのり)

医学博士

1981年、千葉県生まれ。茨城県育ち。2006年、順天堂大学医学部医学科卒業。08年、東京大学医学部附属病院初期臨床研修医修了。12年、順天堂大学大学院医学研究科眼科学にて医学博士号ならびに眼科専門医取得。12年からハーバード大学医学部眼科スケペンス眼研究所へ留学。留学中にはボストン大学経営学部Questrom School of BusinessでMBA取得。15年より順天堂大学医学部附属順天堂医院眼科助教、16年4月より病院機能管理室兼務、同年11月より戦略的手術室改善マネジメント講座助教を併任。日本の医療従事者の海外留学を支援する(一社)JGMS(Japan Global Medical Career Support)を設立。16年に(一社)IoMT(Internet of Medical Things)学会を設立し、代表理事を務める。趣味は硬式テニス。著書に『目標を次々に達成する人の最強の勉強法』『働く人のための 最強の休息法』(ともにディスカヴァー・トゥエンティワン)などがある。

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