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プリベント少額短期保険「日本で初めて弁護士保険を販売。法的トラブルで『泣き寝入り』しないために」



2020年09月07日 公開

【経営トップに聞く 第35回】花岡裕之(プリベント少額短期保険社長)

弁護士保険

セクハラ、パワハラやリストラ、ストーカー被害、離婚、近隣問題など、日常生活を送る中でトラブルに見舞われる可能性は誰にでもある。そんなときに頼りになるのが弁護士だが、気軽に相談できる弁護士が身近にいなかったり、費用面で敷居が高いと感じる人も多いだろう。そこで役立つのが「弁護士保険(弁護士費用保険)」だ。2013年に日本初の弁護士保険の販売を始めたプリベント少額短期保険〔株〕は、コロナ禍にあって、新規契約者数が過去最高を更新したという。代表取締役社長の花岡裕之氏に話を聞いた。

2年間の当局との交渉を経て認可

――弁護士保険とはどのようなものでしょうか?

【花岡】日常生活では様々なトラブルが生じますが、その中には、雇用問題や近隣問題、相続問題、男女問題などの法的トラブルも数多くあります。法的トラブルに遭遇したときには弁護士、あるいは司法書士や行政書士に相談をすることになりますが、身近に弁護士などがいない方にとって、その敷居は高い。高額の費用がかかるのではないかと懸念して、本来は権利を主張できるのに、泣き寝入りしてしまう方が多くいます。そこで、弁護士などに相談をしたり、解決をお願いしたり、仲介してもらったりする費用をお出しするのが、弁護士保険です。

――欧州ではかなり一般的な保険だとか。

【花岡】英国では人口の59%、ドイツでは世帯の42%、フランスでは世帯の40%が加入しています。LPI(Legal Protection International)という弁護士保険を取り扱う保険会社の国際組織もあって、当社は日本で唯一、LPIに加盟しています。

――日本では、2013年に御社が販売を開始した「ミカタ」が初めての弁護士保険でした。

【花岡】初めてだったので、当局に認めていただくまでに2年ほどかかりました。

 弁護士保険は、保険業法で定める第二分野、つまり損害保険の一種です。ちなみに、第一分野は生命保険、第三分野は医療保険や介護保険、就業不能保険などです。

 保険業法では、損害保険とは、「一定の偶然の事故によって生ずることのある損害をてん補することを約し、保険料を収受する保険」であると定められています。そこで、代表例としては、離婚問題などの弁護士保険の対象が「偶然の事故」に当てはまるのか、原因となった出来事をいつの時点をもって認識するのか、ということが当局との折衝の中で議論の対象となり、認可までに時間がかかった大きな要因にもなりました。離婚問題の原因となる出来事が、弁護士保険に加入するより前に起こっていれば、当然ながら、保険金支払いの対象とはなりません。

 こうしたケースへの保険金支払いを避けるため、保険事故の種類により、加入から3カ月間および1年間は保険金をお支払いしない「待機期間」を設けることで、当局に納得していただけました。生命保険に加入してから一定期間(保険会社により異なるが、1~3年間)内の自殺には保険金が下りないのと同じ考え方です。がん保険では加入から3カ月以内の罹患は対象とならないのも同様の考えによるものです。

  なお、外来・偶然・偶発の事故(例えば自動車事故など)については、問題はありませんでした。

――日本初ということで、保険料率の計算も難しかったのではないかと思います。

【花岡】保険料算出のために、そのままダイレクトに使えるデータはありませんでしたから、裁判所が持っている裁判や調停のデータや日弁連が持っているデータなどを加工し、さらに一部は合理的な推計も加味して算出しました。そのうえで、当局の保険数理専門家であるアクチュアリーの審査を経て認めていただきました。

――御社が扱っている商品は「ミカタ」1本だけで、その月額保険料は2980円です。弁護士費用は高いというイメージからすると、意外に安いようにも感じますが、補償はどのくらいされるのでしょうか?

【花岡】まず、弁護士などに相談をする際に、「法律相談料保険金」をお支払いしています。金額は、1事案につき2万2000円まで。弁護士費用は自由化されているので、弁護士によって高額の方から初回は無料の方までいるのですが、30分5000円、1時間1万円というのが平均的です。ですから、だいたい2時間まで相談ができる金額です。

 複数の事案を抱えている方もいますので、その場合は、1年間で10万円を限度に補償しています。

 相談をしたあと、弁護士などに委任をすることになったら、「弁護士費用等保険金」をお支払いします。自動車や自転車の事故、地下鉄の階段での接触事故などの「特定偶発事故」の場合は1事案300万円まで、雇用問題や近隣問題、相続問題、男女問題などの「一般事件」の場合は1事案100万円までの補償です。先ほど、当初、当局との議論に時間を費やしたというお話をしたのは、この「一般事件」の部分です。

 全体で、年間支払限度額を500万円、通算支払限度額を1000万円とさせていただいています。

――契約者数は?

【花岡】約1万7000件(今年6月末時点)になりました。保有契約者数は、販売開始以来、ずっと前月を上回り続けています。

 特に新型コロナウイルスが流行してからは新規加入者数の伸びが大きく、今年6月は対前年比で約140%でした。企業の業績悪化によって「派遣切り」などの雇用問題を心配する方が増えたり、インターネット上の誹謗中傷などを心配する方が増えたりしたからではないかと思います。

――販売開始当初から順調だった?

【花岡】医師の診察を受けると費用の一部が健康保険で賄われるような仕組みが、弁護士についてもあったらいいな、と思っていた方は多いと思います。ただ、そんな保険があることを、ほとんどの方は知らないので、周知・広報に力を入れました。新規契約の8割がWEBなので、スマホを含め、WEB広告を出したり、電車の車内に動画広告を出したりと、リーズナブルで、かつ効果的と思われる広告宣伝の方法を色々と模索して実施しました。

――8割がWEBでの契約ということですが、あとの2割は?

【花岡】契約には印鑑も不要なのでWEBが多いのですが、代理店経由での契約や書類を郵送していただく方からの契約も2割ほどあります。

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