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なぜか日本人をひきつけるアフリカのインターン・ビジネス(モロッコ4)

2020年08月13日 公開
2023年03月10日 更新

<連載>世界の「残念な」ビジネスマンたち(54)石澤義裕(デザイナー)

モロッコ

メディナ(旧市街)の肉屋さん。これくらいのイケメンがたくさんいます。

日本通のモロッコ人女性との出会い

軽キャンパーで、地球半周中の夫婦です。

1月下旬からモロッコの小さな町で、コロナのロックダウンを味わっています。

 

ある日、スーパーマーケットで食料品を買い込んでいたら、

「わたしの家で、ご飯でも食べませんか?」

モロッコ人の女性から、日本語で食事に誘われました。

彼女はMさん、妙齢後半。

フランスはパリの大学でエンジニアリングを学んだ、理系女。コロナの前までは東京で働き、天ぷら蕎麦と麦茶、日本語が好物という、大の日本びいきです。

彼女の家でモロッコの郷土料理クスクスをご馳走になり、数日後、別荘に招待されました。

 

別荘は、町から北へ30km。7.5ヘクタールもあるオリーブ畑の一角です。

バスケットボールコートにプール、広いリビングにサウナまである2階建て。

庭には、抱えきれないほどに大きく育ったかぼちゃ、巨大な茄子、みかんにザクロ、イチジクが野放図になり、ヤギが泣き叫び、馬が木陰で涼んでいます。

豪邸ですが、やや廃墟っぽい。

兄弟が就職して引っ越してしまい、いまでは訪れる人も滅多になく、ほぼ空き家状態とのことです。

「この家でビジネスをしたいのですが、ナニかアイデアはありませんか?」

「日本とモロッコの架け橋にしたいのですが……」

 

お金を払って働かせてもらう?

それを聞いて思い出したのが、これまで、アフリカ各地で見かけてきたインターン・ビジネスです。

インターン・ビジネスとは、ボクが勝手にそう呼んでいるだけなので、ほかに正式名称があるかもしれません。

はじめて目撃したのは、セネガルの首都ダカールです。

日本人夫婦の経営するレストランに、日本人スタッフが数名働いていました。そのうちのひとりと話をすると、実は社員ではなくインターンだというのです。

給料は一銭ももらわずに、逆に参加費を払って働いているとのこと。

変わった人もいるもんだと思っていたのですが、後日、隣町で知り合ったふたりの日本人もまた、インターンでした。

日本人の経営する輸入会社で、“お金を払って”働いていました。

参加費は、ひと月13万円くらいから。
参加費に含まれるのは、宿泊と食事にインターネット。フランス語の授業が少々と空港への送迎。飛行機代は自費です。

ボクらが見たところ、一社につきふたり以上インターンがいたので、月にして30万円近い売り上げです。

5万円もあれば余裕で生活できるセネガルですから、粗利20万円以上?

モロッコの馬車

馬車。馬は辛いでしょうが、地球に優しい乗り物です。

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