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部下が本音で話せなくなる原因とは? 「1on1ミーティング」の意外な落とし穴



2020年11月12日 公開

世古詞一(サーバントコーチ代表取締役)

世古詞一

日本でも実施する企業が増えている「1on1」。しかし、何をどう話せば部下が成長するのか、戸惑っている上司も多いようだ。専門家の世古詞一氏に、その考え方とノウハウを教えていただいた。

本稿では1on1で心がけたいポイントについて具体的に触れている一節を紹介する。(取材・構成:林加愛)

※本稿は月刊誌『THE21』2020年11月号より一部抜粋・編集したものです。

 

「モヤモヤ」のうちに「先手の対策」を打とう

頻度については、少なくとも月に1回、できれば週に1回は行ないたいところです。頻度が低かったり、あらかじめ1on1が設定されていなかったりすると「上司から呼び出された」と部下が身構えてしまいます。

コロナ禍でリモートワークを導入した企業が多いですが、リモートワークでは、特に頻度を高くしたほうがいいでしょう。オンラインで週に1回、業務報告もかねた対話をしましょう。

1回にかける時間の長さには、そこまでこだわる必要はありません。基本的に30分を目安にはしていますが、問題がないときには、5~10分でも大丈夫です。

一方、部下がストレスを抱えているなら、きちんと吐き出させなくてはなりません。ストレスには段階があります。最初は漠然とした違和感、つまり「モヤモヤ」です。これを放置すると、やがて「不安」になります。

さらに放置すれば明確な「不満」になり、部下が怒りとともにそれを訴え、上司は対応に追われることになるでしょう。あるいは、何も言わずに離職することもあります。

1on1を行なえば、不安や不満が生まれてから「後手の対応」をするのではなく、「先手の対策」をすることができます。モヤモヤのうちに、きちんと芽を摘み取りましょう。時には、部下のモヤモヤの内容が「会社の方針に賛同できない」など、上司の権限の範囲を超えることもあります。

その場合は「あなたの問題意識は確かに受け取った」ということを伝えるだけでも構いませんが、意見を上に伝えるなど、実際に動けばさらにいいでしょう。会社の方針を変えることはできなくても「話を真摯に受け止めてくれた」と部下に伝わると、信頼につながります。

 

真剣に聞こうとすると、逆に話しにくくなる!?

このように、1on1は信頼関係構築のプロセスでもあります。希薄だった関係性が、回を重ねるごとに徐々に緊密になり、結果として対話のクオリティもさらに上がる、という好循環が生まれれば理想的です。

その流れを作るには、「傾聴」と「承認」が欠かせません。どちらもコーチングの基本姿勢ですから、ご存じの方も多いでしょう。とはいえ、傾聴に関しては、しばしば誤解されていると感じます。

最もよくあるのが「答えを言ってはいけないということですよね」という誤解です。その裏にあるのは「話すのを我慢するのが傾聴だ」という考えです。話したいことを我慢しているとき、実は意識は自分が話したいことに向いていて、部下の話に向いていません。

傾聴とは、自分が話したいことではなく、相手の話に意識を向けることです。上司は、普段は教える側ですが、1on1には部下に「教わる」という気持ちで臨むこと。これが真の傾聴です。

この姿勢が身につくと、優秀な部下との信頼関係も築きやすくなります。「教える」偏重の上司は、ともすれば、問題や課題を抱えた部下のケアを手厚くして、優秀な部下は「話すことがないから」と放置する傾向があります。

優秀な部下との関係が希薄になるのは、上司にとって多大な損失です。傾聴に関する誤解はもう一つあります。「相手の話を真剣に聞けばいい」という誤解です。

というのも、真剣に聞こうとすると、眼を閉じたり、眉根を寄せてうつむいたりして、反応が薄くなり、相手が話しにくくなってしまうことがあるのです。話を聞いていることが相手に伝わるように、笑顔や頷き、相槌をふんだんに入れ、話しやすい反応を心がけましょう。

その結果、話の内容への集中力が少々減ることがあるかもしれません。しかし、極論すれば、特に1on1に慣れないうちは、自分が理解することより、相手に話してもらうことのほうが大事だと思ってください。

気持ちよく話してもらうことで、部下の中で気づきが生まれます。本音も出てきやすくなるでしょう。そして何より、エネルギーが湧いてきます。これが、傾聴の最終目的なのです。

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