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「男性正社員と終身雇用」の“勝ちパ”終焉…優遇ではない「女性起点」の組織が成長する

2021年05月20日 公開

小田木朝子(NOKIOO取締役)、沢渡あまね(あまねキャリア工房代表/NOKIOO顧問)

小田木朝子、沢渡あまね

女性活躍推進が叫ばれて久しいが、心の中では、「時短勤務の女性はパフォーマンスが下がる」と思っている人が多いのではないだろうか?しかし、毎日8時間以上、週に5日間、定年まで働き続けられる社員に依存する組織構造は、企業の発展を阻害し得る。

育休前後の女性向けオンラインスクールを運営する小田木朝子氏と、組織改革に数多く携わってきた沢渡あまね氏は「これから企業に求められるのは、『女性支援』ではなく、『女性起点』の発想」だと語る。

子育て中の女性社員を起点に組織をアップデートするにはどうすれば良いのか、話を聞いた。(取材・構成:塚田有香)

※本稿は、『THE21』2021年5月号より、内容を一部抜粋・編集したものです。

 

「女性個人の努力」だけでは限界

女性が結婚、出産を経ても働き続けるのは当たり前になりつつある。だが、育休を経て復職した女性たちが以前と同じように職場で活躍できているかといえば、必ずしもそうではない。

働く時間に制約があるために補佐的な仕事に回されてモチベーションが下がったり、時短勤務の女性が自分だけ早く仕事を終えることに後ろめたさを感じたりと、様々な迷いや葛藤を抱えるケースは少なくない。

これらはあくまで働く女性個人の問題と捉えられ、企業も女性本人の努力や工夫による解決を求める傾向が強かった。

しかし、育休前後の女性向けオンラインスクールを運営するNOKIOOの取締役・小田木朝子氏は、「個人を動機づけるだけでは限界がある」と指摘する。

「私たちはこれまで1000人以上の女性に対し、出産後の仕事に向けてスキルアップやマインドチェンジを促すカリキュラムを提供してきました。ただ、いくら個人をエンパワーメントしても、その成長を組織課題と結びつけなければ、一方向の取り組みで終わってしまう。

企業に『組織が抱える課題を解決するために、女性の人材としての力を活用する』という発想があれば、個人は働きがいや自己成長感が増し、会社は継続的な発展が可能になります。個人と組織が共に成長していくには、双方ともにアップデートが必要です」(小田木氏)

 

「男性正社員の終身雇用」の勝ちパターンはもう崩壊した

日本の組織における従来の女性活躍推進は、「育児という特別な事情を抱える女性を助けるため」の福利厚生施策と位置づけられることが多かった。

だが、企業や団体の組織改革に数多く携わってきた沢渡あまね氏は、「これから企業に求められるのは、『女性支援』ではなく、『女性起点』の発想だ」と話す。なぜなら、今、日本の組織は大きな転換期を迎えているからだ。

「過去50年以上にわたり、日本の組織はピラミッド構造の『統制型』でした。トップダウンの横並び主義により、同質な人たちが同じ場所と同じ時間を共有し、同じ働き方をするのが特徴です。

簡単に言えば、統制型は『男性正社員の終身雇用』を前提とするモデルでした。週5日×8時間以上働き、会社や上司の指示に従順で、毎日必ず通勤し、転勤や配置転換もいとわず、『飲みニケーション』にも積極的に参加する。これが、かつては、日本企業の勝ちパターンとして機能していたわけです」(沢渡氏)

その反面、この前提に当てはまらない人材は長らく活躍の場を奪われ続けてきた。女性も、男性主体の組織カルチャーにおいては、たとえ共働きでも家事や育児を引き受けるのは女性とされ、時間や働き方の制約を受けざるを得ない時代が続いた。だが、企業を取り巻く環境は大きく変わった。

「今の時代に企業が勝つには、イノベーションの創出が不可欠です。それぞれに得意領域を持つ多様な個人や組織同士がつながり、コラボレーションして新しい価値を生み出す『オープン型』の組織に転換しなければ、企業の発展はあり得ません。

そこで求められるのが『女性起点』の組織構造へのアップデートです。今まで女性が引き受けていた制約条件を解放し、男性主体の組織になかった課題解決策や新しい視点を持つ人たちが活躍できる職場に進化すれば、より多くのイノベーションを起こせるオープン型組織へと生まれ変われます」(沢渡氏)

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「女性支援」の発想を「女性起点」に転換する >

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