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「結婚式は自粛対象ではない」ウェディングのプロが主張する根拠



2021年07月10日 公開

安東徳子(マリッジ・ライフ・プランナー/サービスビジネスコンサルタント)

安東徳子氏

「コロナ禍で結婚式を挙げても大丈夫なのですか。」という相談が増えています。

人が集まり、飲食を行うイベントである結婚式や披露宴に対して、このように考えてしまう人が多い一方で、ウェディングのプロ、安東徳子氏は「自粛しなくてよい」と断言しています。

30年以上、ウェディング業界で活躍してきた安東氏が断言するワケとはどのようなものなのでしょうか。

また、コロナウイルスの流行で大きな影響を受けたウェディング業界は、どのように変わり、この状況を乗り越えようとしているかに迫ります。

 

実は結婚式は自粛対象ではない

今年5月、仕事でつき合いのある企業の50代男性にこんな相談を受けました。

「来月、部下がジューンブライドで結婚式に招待されています。場所は都内のホテルなのですが、緊急事態宣言下に式を挙げて大丈夫なのですか?」。

人が集まり、飲食を行うイベントである結婚式や披露宴に対して、このように考える方がいるのは当然だと思います。しかし、実は最初の緊急事態宣言が出されてから、結婚式は自粛の対象になっていないのです。

令和2年4月に出された1回目の緊急事態宣言時は、そもそも新型コロナウイルスに関する情報も少なく、日本全国がステイホームの状態だったため、実施するカップルはほとんどいませんでした。

しかし、今年1月に出された2回目の時は、結婚式業については集会場または公会堂、飲食をする場合は飲食業と同じ扱いとされ、ごく一部をのぞいて基本的に「人数の上限と収容率50%以下」「営業時間の短縮と酒類の提供時間」など、自粛すべき内容がはっきりしていたのです。

そのため、前年から延期していた結婚式をやるべきか悩むカップルに対して、結婚式は決して禁止されているイベントではないこと、業界団体でガイドラインを作成し、自治体からの要請内容を遵守しており、感染防止対策をしっかりと講じた上での開催は可能だということを伝えました。

すると、結婚式、さらに披露宴を挙げる方も出てきました。

そして、今年4月に出された3回目の緊急事態宣言では、施設の使用制限の1つに「結婚式場」が明記されました。

酒類及びカラオケ設備の提供禁止、20時までの営業時間短縮に加え、特定都道府県では開催時間、参加人数または収容率に関する協力が呼びかけられました。結婚式と披露宴を実施するカップルは前年に比べて、かなり増えています。

現在は沖縄以外がまん延防止等重点措置に移行していますが、結婚式場に対する要請について大きな変更はありません(6月27日現在)。

 

結婚式という「儀式」の必要性

新型コロナウイルスの流行で、私たちウェディング業界は大きなダメージを受けました。でも、唯一よかったと感じることがあります。様々なイベントの自粛が求められる中で、結婚式が「社会生活の維持に必要な催し物」だと認められたことです。

1回目の緊急事態宣言では、結婚式場は「社会生活を維持する上で必要な施設」として、多くの都道府県で要請の対象外になりました。

さらに2回目の緊急事態宣言後には「憲法上重要な基本的人権の確保に係るイベント・集会」は、「社会生活の維持に必要な催し物」となっています。

結婚式と聞くと、華やかなお祝いのイベントというイメージがあると思いますが、それは結婚式と披露宴をセットで考えているからでしょう。でも2つの意味合いは全く違うものなのです。

結婚式というのは「儀式」であり、1つのことを終わらせて、次に進むために必要な行為です。例えばお葬式という儀式は、人の死を乗り越え、受け入れていく"グリーフワーク"のプロセスで考えると、その最初の行為になります。

古くから私たちは儀式を通じて心を整理してきました。結婚式はこれから夫婦としてやっていくためだけでなく、親がずっと育ててきたわが子を送り出し、ひと区切りつけるためのものでもあるのです。

以前、入籍から4年後に結婚式を挙げたお客様がいました。お二人は式を挙げるつもりはなかったそうですが、新郎のお父様が余命宣告を受け、息子夫婦の結婚式を見たい、とおっしゃったそうです。

そして結婚式の翌日、新婦のお母様からお礼の電話をいただいたのです。「今朝、起きたら涙が出ました。娘が結婚したのだと、やっと実感できました」と。

私は「抗自然消化感情」と名付けていますが、このように、人には簡単には消えない感情というものがあります。この感情を消化できるのは儀式しかないのです。

ですから、コロナ禍で結婚式を挙げるか迷われるカップルには、結婚式だけを先に挙げて、披露宴は落ち着いてから行うことをお勧めしています。

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