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航空会社のJALが2017年からワーケーションを導入してみて「起こったこと」

2021年08月03日 公開

東原祥匡(JAL人財本部人財戦略部アシスタントマネジャー)

 

導入企業に聞いてみよう!ワーケーションQ&A

Q.ワーケーションの前提となるテレワークを定着させるために、できることはありますか?

A.テレワークを浸透させるためには、ノートパソコンなどのIT環境の整備に加え、上司と部下に信頼関係ができていて目の前にいなくてもお互い不安がない、進捗管理をきちんとやっているといった状況を作っておく必要があります。

当社のテレワーク導入期にはそこを意識し、社内に共有でテレワークを行なえるスペースを作って、目の届かないところで仕事をするということを体験できるようにしたりしました。

社内外の様々な組織を見ていると、ワーケーションやテレワークを認めていない組織は、他の働き方改革もうまくいっていないケースが多いように思います。

働き方改革に成功する組織と負のスパイラルに陥る組織の違いを見える化して変化を促したり、チャレンジするハードルを下げて先進的な働き方を体験してみたりと工夫しながら、まずは「やってみること」が大事だと思います。

Q.ワーケーションやテレワークを利用できる職種とできない職種の間で不公平感はありませんか?

A.当社には現業部門と地上職の職種があります。ワーケーションはテレワークが可能な地上職向けの施策のため、ここだけ見れば不公平感が出てくる可能性はあったと思います。

しかし、ワーケーション導入前の地上職では有給は捨てるものという文化があり、サービス残業も珍しくなかった一方で、現業部門は不規則勤務になりがちですが、シフト制のためもともと残業も少なく、有給消化率は100%でした。

現業部門はテレワークは確かにできませんが、シフトを調整して長期休暇を取得することはできるので、「休暇取得」という目的からすれば、不公平感はそこまでないと思います。

また、働き方改革という点では、デスクワークにも現業部門にも同じように投資しています。地上職のパソコンをテレワークにも対応できるノートパソコンに切り替えたように、現場職にはタブレットを貸与し、マニュアルのIT化を進めていきました。

こうした施策は、BCPの観点からも役に立ちました。当初から想定していたわけではないのですが、タブレットを配っていたことによって、コロナ禍で出勤率を抑えなければならない状態でも、リモートで教育や訓練を行なうことができたのです。

Q.ワーケーションを行なうことで、オンオフの切り替えが難しくなり、休暇中にもゆっくり休めないということにはなりませんか?

A.ワーケーション導入の際に特に意識したのは、「これは休暇取得を促進するための制度です」と明確に定義することでした。「予定の半分以上が休暇であること」という基準も設けています。

目の前に海や温泉があると、早く遊びたい、温泉に浸かってゆっくりしたいと思うので、かえってメリハリがついたという声も聞いています。

そもそも、ワーケーションは日常のテレワークとは違い、年に数回のイベントなので、ワーケーションを利用する側も、仕事量を抑えられる時期を選んで取っています。ですから、休暇中なのにずっと仕事をしているということは、基本的にはありません。

Q.ワーケーション導入の効果として、どのようなものがありましたか?

一つはそもそもの目的である休暇取得率の向上です。また、人材育成や社員の成長にも大きな効果があります。

旅に出ることは、いつもと違う場所を訪れて、新しい情報に触れ、感性を養う機会になりますし、ワーケーションから帰ってきた人はその後しばらくモチベーション高く働けるなど、長期的に見てパフォーマンスを向上させる効果があることは確信しています。

特に当社の場合、自身のワーケーション体験の気づきを商品プランに反映させることもしやすいですし、実際にそうした事例も生まれています。

しかし、そこまでできたのは、最初からビジネスや事業開発を目的にしなかったからだと思います。最初から事業開発につなげる前提で取り組むと、どうしてもビジネス目線になって、素直に体験することができなくなってしまい、結果お客様が本当に求めていることを提供することも難しくなるからです。

ワーケーションによって、自身のモチベーションアップや地域活性化に意義を感じてくれたり、事業開発に活かしてくれるのは素晴らしいことですが、会社側のアレンジの仕方と、社員が実際に参加するときの思いには、多様なパターンがあっていいのではないでしょうか。

 

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