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61歳で起業した女社長が「自分にも期待しない」納得の理由

2021年10月07日 公開

村本理恵子(ピーステックラボ代表取締役社長)

村本理恵子

60歳を超えて起業を成功させ、これまでのキャリアの変遷も順風満帆に見えるピーステックラボ社長の村本理恵子氏。しかし、その人生の過程には想像も及ばない苦労や悩みがあった。その中でもメンタルを保ち続けられたのは、自分にも他人にも、良い意味で過度に期待をしてこなかったからだと語る。(取材・構成:塚田有香)

※本稿は『THE21』2021年11月号より一部抜粋・編集したものです。

 

年齢を意識しないから挑戦し続けられる

――60代を迎える頃になれば、多くの人は定年後の人生を考え始めるだろう。人生100年時代の長い老後を想像し、不安になることもあるかもしれない。

一方で、年齢の壁にとらわれず、新たな挑戦を続ける人もいる。61歳で起業した村本理恵子氏もその一人だ。個人同士や企業と個人の間で、生活家電やフィットネス用品などを貸し借りできるシェアリングサービス「アリススタイル」を立ち上げ、開始から4年でユーザー数が50万人を超えるなど、事業は順調に成長を続けている。

なぜ村本氏は還暦を過ぎても仕事への情熱やチャレンジ精神を失わず、前向きな心を保てるのか。そう問いかけると、こんな答えが返ってきた。

【村本】そもそも私は、自分の年齢を意識したことがありません。『60代になったらリタイアする』といった、世間で当たり前とされているルールが自分の中に存在しない。一つの会社で何十年も勤め上げてきた方は、定年を自分のゴールと考えるのかもしれませんが、私は社会に出てから約10年ごとにキャリアチェンジしてきたので、定年という概念を持っていないのです。

――その言葉通り、村本氏のキャリアは大手通信社勤務に始まり、大学教授やネットベンチャー役員、エイベックスでの新規事業立ち上げなど、様々な仕事に挑戦してきた。とはいえ、独立起業は今回が初めて。不安はなかったのだろうか。

【村本】まったくなかったですね。自分の人生を考えたとき、『今61歳なら、少なくとも、あともう一つ新しいことができる』と思えたので。私は自分が新しく何かを始めることによって、世の中をより良くしたり、人々の暮らしを便利にしたいという思いがとても強いんです。

だから他の人がすでにやっていることより、まだ存在しない事業やサービスを自分の手で作りたい。起業するときも、新しいことができるワクワク感でいっぱいでした。

 

「新しいこと」のヒントは幼少期の原体験

――その"新しいこと"が、現在手がける「誰もが手軽にものを貸し借りできるサービス」だった。起業した2016年当時は、まだシェアリングやサブスクといった言葉も一般的ではなかったが、村本氏はいち早くそのニーズを捉え、「自分がやりたいのはこれだ」と確信したという。

【村本】当時の私にとって最も大きな問題意識は、日本人の可処分所得が下がり続けていることでした。今後はさらに非正規労働者が増え、格差も広がることが予想される。昭和の頃のように、自分の収入が上がり続けることを誰もが信じられる明るい未来はもうやって来ないでしょう。

モノを買うことを前提としている限り、収入が増えない時代に豊かな生活を送るのは難しい。でも『モノを買わずに貸し借りする』という新たな選択肢があれば、お金がなくても豊かな体験ができます。そんな世の中を作りたい。それが起業する一番のモチベーションになりました。

――実は自身も豊かではない環境で育ったという村本氏。幼少期の体験が、起業への思いをさらに強める原動力となった。

【村本】私は貧しい家庭に生まれたので、子供の頃は欲しいものややりたいことを我慢しなければいけませんでした。周囲の友達が楽しんでいることを、自分は一緒に楽しむことができない。そんなつらさを経験しました。

それから数十年が経った今、かつての我が家と同じような家庭が増えています。お子さんが『あれ買って』とねだっても、親御さんは『買ってあげたいけど我慢してね』と言わなくてはいけないのです。

だから私はシェアリングサービスを通じて、"我慢しない節約"を実現したい。その思いが強まったのは、やはり子供時代の原体験があったからだと思います。

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