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「ガーナから日本へ、高品質のカカオと豊かな精神性を」Mpraeso CEO 田口愛

2022年01月08日 公開

【経営トップに聞く 第58回】田口愛(Mpraeso CEO)

田口愛

チョコレートの原材料・カカオの生産の実態を知りたいとガーナに飛び込んだ田口愛氏。カカオを生産する農家の収入を上げることを目指して、大学生でありながら、2020年にMpraeso〔同〕を起業した。2021年にはチョコレートのブランド「MAAHA」も立ち上げた同氏に、その想いを聞いた。

農家が生んだ価値を保ったままの輸入に挑戦

――Mpraeso(エンプレーソ)という社名は、ガーナの地名なんですね。

【田口】現地の人にとって神聖な山の名前です。私たちが活動している地域の名前でもあります。

エンプレーソではきれいな水が湧いています。山の麓はジャングルで、動物たちがたくさんいます。

そのジャングルの中で農業もしています。農業と言うと土地を切り拓くイメージがあると思いますが、エンプレーソでは、ジャングルの中に苗を植えて、肥料や水も与えずに、時が来たら収穫するという、自然な農業をしています。

――カカオもそのように栽培している?

【田口】そうですね。苗は植えているのですが、ほとんど管理をしていないので、栽培と言うより、自然に育っている感じです。

――もともとカカオが生えている地域だったのですか?

【田口】カカオの原産地は南米のアマゾンなんです。マヤやインカの人たちが、儀式や戦争の前に元気をつけるために食べていました。

ただ、当時は唐辛子と混ぜてすりつぶしたものを食べていました。砂糖と混ぜたチョコレートやココアを作られるようになったのは大航海時代以降のヨーロッパの人々からです。

ヨーロッパでカカオの需要が増えると、南米から輸入するだけでは足りなくなり、アフリカの植民地でも栽培が始まった、というのが歴史的な経緯です。

ですから、アフリカの人たちにとって、カカオは身近ですが、チョコレートは身近な存在ではありません。今でもカカオは、自分たちで食べるためではなく、お金を稼ぐために栽培するものなんです。

――ヨーロッパの企業がカカオを買っている?

【田口】今はガーナ政府のガーナ・ココボードという機関が一括管理していて、農家から均一価格で買い取っています。農家が商社と直接取引をしているわけではありません。

カカオを政府が一括管理しているのは世界でもガーナだけなんです。

――御社の商品に使っているカカオも、ガーナ・ココボードを通したもの?

【田口】通さない輸出は禁じられているので。ただ、その中でも、カカオに農家をタグ付けして、他の農家のカカオと混ざらないようにし、価値を保って輸入できないか、検証をしようとしているところです。

どの農家が生産しても区別されず、一緒に扱われてしまうと、高品質なカカオを生産しようというモチベーションが農家になかなか生まれません。石や木でかさ増しして出荷する人もいます。

また、カカオを使うショコラティエの声も農家に届きません。例えば、こだわりを持っている農家さんがいても、ショコラティエは「ほどほどの発酵具合のカカオがほしい」と思っているのに対し、「よく発酵させたほうがいいだろう」と思って過発酵のカカオを出荷してしまう、というようなことが起きます。

そのためにガーナ産のカカオへの信頼度は低くなっていました。そこで私たちは、農家に石や木を混ぜないように伝えたり、ショコラティエの要望を伝えたりして、改善できるところから改善しています。そして、どの農家が生産したのかがわかるようにした麻袋に入れて出荷しようとしています。

これまでは量が少なかったので日本へは空輸をしていましたが、2022〜2023年にはコンテナでの輸出をできるよう準備しています。コンテナ1つで25トン埋めないと日本で販売できる価格にならないので、頑張っているところです。

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