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胃がんの早期発見をAIが助ける? 世界初の「内視鏡技術」の可能性

2022年09月08日 公開
2023年02月21日 更新

多田智裕(株式会社AIメディカルサービス代表取締役CEO)

 

世界の患者を救うために

まずは国内の製造販売承認の取得を目指し、2021年8月に、AIを活用した胃病変の腫瘍性・非腫瘍性を判断する内視鏡診断支援システムの医療機器製造販売承認の申請しました。

これまで販売されている内視鏡AI関連の製品は、ハードウエアとして機器売り切り型のビジネスモデルがほとんどですが、当社のAI医療機器はソフトウエアとして毎年進化を遂げるものと考えており、毎月の利用料金を支払っていただくSaaSモデルを想定しています。

そのため導入の初期費用が抑えられ、ソフトウエアのアップデート料金も月額料金内に含まれるため、技術の進歩が速いAI医療機器とはいえ、導入医療機関は常に最新のバージョンを患者さんに対して提供することができるようになります。    

当社の理念が「世界の患者を救う~内視鏡AIでがん見逃しゼロへ~」であることはお伝えしましたが、その世界展開に向けて、世界の10カ国以上のトップ医療機関と共同研究に向けた交渉を進めています。また、今年1月にはアメリカ・シリコンバレーに米国法人を、7月にはシンガポール法人を設立しました。

世界最高水準の日本の内視鏡医師の叡智を集めた内視鏡AIが、日本だけでなく世界の医療現場で当たり前のように使われるようになり、世界の内視鏡医療の発展に貢献するとともに、早期で発見できるがんを大幅に増やし、世界の患者を救うことができるのも近未来に実現できると確信しています。

 

【多田 智裕 (ただ・ともひろ)】株式会社AIメディカルサービス代表取締役 CEO。1971年、東京都生まれ。1990年、東京大学入学。1996年から東京大学医学部附属病院や辻仲病院などに勤務し、内視鏡医師としての経験を積む。2005年、東京大学大学院卒業。2006年、武蔵浦和メディカルセンター内に「ただともひろ胃腸科肛門科」を開業。AIとの出会いをきっかけに内視鏡の画像診断支援AIの開発に着手。2017年、(株)AIメディカルサービスを創業。著書に『行列のできる患者に優しい"無痛"大腸内視鏡挿入法』(中外医学社)など。プライベートではエンターテイメントへの関心も深く、Netflixでドキュメンタリーを楽しんだり、浜崎あゆみのライブに通う一面も。

 

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