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ヒラリーの創作したロシアゲート

2020年01月03日 公開

渡辺惣樹(日米近現代史研究家)

渡辺惣樹(日米近現代史研究家)※写真はイメージです。

トランプ「悪魔化」プロパガンダは、ロシアゲートから始まった。「トランプが勝利したのは、大統領選挙にロシア(プーチン)が介入していたからだ。トランプはプーチンの傀儡(かいらい)である。その証拠はある。トランプは弾劾されなくてはならない」。これが民主党の主張だった。

民主党の激しい左傾化は、新政権との妥協を不可能にしていた。彼らはトランプを追い込められそうな(弾劾できそうな)材料をもっていた。それは、ヒラリー陣営がフージョンGPS社なる政治問題調査会社を使って、トランプとプーチンの「怪しい」関係を「暴いた」調査報告書であった。

※本稿は、『アメリカ民主党の崩壊2001-2020』(PHP研究所)より一部抜粋・編集したものです。

 

怪しいスチール文書

この調査報告書は、作成者が元英国諜報員(MI6)クリストファー・スチールだったことからスチール文書と呼ばれている。彼にはフージョンGPS社から16万8000ドルが渡っていた。

スチールが、報告書を書き上げたのは6月20日ごろのことである。「トランプはクレムリンの『工作員』である。ロシアのスパイ組織が、ヒラリーに不利になる情報をトランプ陣営に提供している」と書かれていた(*1)。

FBIもこの文書を入手していた。コメイFBI長官が、まもなく新大統領となるトランプに、その内容をブリーフィングしたのは年が明けた2017年1月6日のことである。

この4日後、バズフィード社はスチール文書を公開した。選挙結果を受け入れたくない民主党は、スチール文書を手にして、「ロシアのエージェントであるトランプには大統領の資格はない。弾劾すべきだ」と勢いづいていた。

後に明らかになるのだが、司法省とFBIはスチール文書の存在を早い時期から知っていた。ブルース・オー司法省副長官補は2016年9月にはスチールと接触を始めていた(*2)。スチール文書の内容は怪しく、現在ではそれが創作であることがわかっている。

それでも、親ヒラリー官僚の支配する司法省は、内容に信憑性があるとして外国諜報監視法(FISA:Foreign Intelligence Surveillance Act)の適用を裁判所に要請し、許可を得た。許可があれば、合法的に誰であっても監視が許された。

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