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オール巨人「マヂカルラブリーのネタは“異色な形”の漫才」



2021年02月10日 公開

オール巨人(漫才師)

オール巨人(漫才師)

「マヂカルラブリー」が優勝した「M-1グランプリ2020」。しゃべくりとは一線を画す彼らのネタから、いわゆる「漫才論争」も巻き起こった。

大会の審査員を務め、いまなお現役で舞台に立ち続ける“漫才の鉄人”が、2020年大会を振り返るとともに、新たな漫才の形について語る。(聞き手:Voice編集部・中西史也)

※本稿は『Voice』2021年3⽉号より⼀部抜粋・編集したものです。

 

漫才の形は「変化」している

――漫才コンテスト「M-1グランプリ2020」は「マヂカルラブリー」の優勝で幕を閉じました。巨人師匠は当初、今回の審査員はやらないと仰っていたそうですね。なぜ引き受けることになったのでしょうか。

【巨人】2019年のM-1が終わった直後から、2020年の審査員は辞退しようと考えていました。生で審査するのは体力的に相当しんどいし、家でゆっくりネタを観たかった。

だからじつは、(島田)紳助(「M-1グランプリ」創設者)に「お前が作った番組やねんから、代わりに行ってくれや」と話していたんです。そしたら「それは無理やわ」と。しかも2019年のM-1で優勝した「ミルクボーイ」のことすら知らないというから、さすがに驚きました(笑)。

――衝撃です……。その結果、巨人師匠が2020年も継続して審査員を務めることになったわけですね。

【巨人】紳助に断られたあとも、僕自身は審査員をやるつもりはありませんでした。M-1を担当するABCテレビのプロデューサーがたびたび説得に来たのですが、「出えへんゆうてるから帰ってくれ」と追い払っていた。

それでも懲りずに何遍も来るから、5回目くらいのときに「ほな、出よか」と半分冗談で返したら、プロデューサーが「ありがとうございます」と涙を流しながら頭を下げたんです。

さすがに断れなくなって、根負けしてしまいました。「女の涙は武器」といわれますが、男の涙も強力な武器だと痛感しましたよ。

――そして、2020年12月20日にM-1決勝を迎えます。どのような大会だったと振り返りますか。

【巨人】何といってもまず、優勝したマヂカルラブリーに「おめでとう」と言いたい。彼らは2017年にも決勝に進出しましたが振るわず、結果は最下位でした。

それからの3年間、必死に努力してきたんやと思います。マヂカルラブリーはボケの野田(クリスタル)君の動きが大きいのが特徴的で、テレビ向きのネタですね。

――マヂカルラブリーのネタは「しゃべくり漫才」とは一線を画すため、「これが漫才といえるのか」と論争が巻き起こりました。巨人師匠はどうお考えですか。

【巨人】漫才かどうかと問われれば、漫才だと思いますよ。ちゃんとM-1のルールに則って、2017年、そして2020年と予選を勝ち上がって決勝の10組に残り、優勝しているわけですから。

ただ、漫才のなかでもかなり異色な形をとっていることは間違いない。野田君がネタ中にかなり動くから、舞台からいちばん遠い審査員席に座っている僕からすると、声が届きにくかったんです。

演者はピンマイクをつけていないし、審査員同士はアクリル板で仕切られている。あとからテレビでネタを観返したら想像以上にウケていたので、テレビと現場の熱量はやはりズレがあると思いました。

本番から数日後に野田君に会ったとき、このことを話したら「(声が聞き取りづらいと)よく言われるんですよ」と言うてましたね(笑)。

僕らは漫才を始めて46年目になりますけど、時代の流れを感じるのは、視覚を重視した漫才に変わっていること。漫才師がネタをする場はもちろんテレビもありますが、ほかに営業先や劇場、それから昔はラジオがありました。

ラジオは音しか聴こえないから、たとえば相方の(オール)阪神君の肩を僕が「何しとんねん」と叩いたら、彼が「人の肩を叩くな」と言葉を補っていた。マヂカルラブリーみたいに、野田君が動き回って台詞が少ないネタだと、ラジオでは伝わらないでしょうね。

でも、ラジオ向きのネタちゃうからといって、もちろん駄目なわけではない。漫才も「変化」しているんです。「退化」しているとは思わないし、「進化」しているかも僕にはわからない。少なくとも、新しい形の漫才に変わってきているのでしょう。

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