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ぐるぐる回り、歩き続ける...「猫の認知症」早期発見のためのチェックリスト

林ユミ(イラストレーター),小澤真希子(獣医行動診療科認定医)

2023年01月10日 公開 2024年12月16日 更新

イラストレーターの林ユミさんは、旦那さんとねことともに暮らしています。一緒に暮らしていた19歳のねこ・ボンが、あるときから不可思議な行動をとるように。半径1メールをぐるぐるまわり続ける、ひたすら壁伝いに早足で歩き続ける、表情が乏しくなる...そう、ボンは認知症と診断されるのです。

「これからどうなる?」「どうつきあっていけばいい?」...ユミさんは不安に押しつぶされそうになります。獣医療の発達により、動物の高齢化が進み、動物病院には認知症外来ができるほどとなっています。動物の認知症とどのようにつきあっていくのか、獣医行動診療科専門医の小澤真希子さんに、林さんが聞いてみました。

※本稿は、林ユミ著、小澤真希子監修『吾輩は認知症ねこである』(小学館)から一部抜粋・編集したものです。

 

トイレ習慣の変化、食べたり食べなかったり...

【ユミ】ボンが認知症になって、動物にも認知症があるんだと知りました。

【小澤】人間に認知症があるように、動物にもあるんですよ。ペットの代表格である犬の方が認知症の研究は進んでいて、ねこはあまりわかっていないんです。でも、大体犬と同じ症状が出るだろうと考えられています。

【ユミ】認知症になると、一般的にどんな症状がでますか?

【小澤】ボンちゃんのように、ぐるぐる回る、歩き続けるということがあります。トイレの習慣がいままで通りでなくなったり、食欲がありすぎたり、逆に食べなくなったり、毛づくろい(グルーミング)など衛生管理が自分でできなくなったりします。

【ユミ】うわ〜。ボンもかなりあてはまります。

【小澤】ほかにも、夜になくとか、日中もやたらめったらなくとか。飼い主のことがわからなくなったり、睡眠サイクルがこれまでとは違ってきたり、そういう症状が出てくると考えられています。

【ユミ】そんなとき、ねこの脳の中はどうなっているんでしょう?

【小澤】認知症は、加齢によって脳が萎縮することで起きると考えられています。ただし、ねこには加齢型ではない、脳内のタンパク質の沈着によって起きるアルツハイマー型もあるかもしれないと考えられています。この病変はネコ(イエネコ)の他、ヤマネコでも観察されているんですよ。

【ユミ】そうなのですね。...認知症はやはり治らないのでしょうか?

【小澤】残念ながら、認知症は、治らずゆっくり進行していきます。

【ユミ】そうですよね。おうちのねこが認知症になったら、なにかできることはあるのでしょうか?

【小澤】暮らしを整えて安心させてあげるとよいです。それから、ねこは年をとると、たくさん病気をする生きものです。別の病気があるのであれば、その治療をすることで、認知症の困った行動もよくなる、ということもありますよ。

 

15歳以上のねこの50%に行動変化が!

【ユミ】ボンは、ぐるぐる回ったり歩き続けたり、あきらかに行動がおかしくなってきたので、かかりつけ医にすぐ相談して、診断してもらうことができました。

でも、認知症の初期症状を知っていればもっと早くわかったのでは...? そうしたらもっと早く対処できたのでは? と思ってしまいます。

【小澤】ボンちゃんは19歳で症状が気になりはじめましたよね。11〜14歳のねこの28%、15歳以上の50%でそのような行動変化がみられるといわれています。ただ、ねこは、年をとると病気の影響も大きいんですよ。

【ユミ】たしかにボンにも腎臓病がありました。

【小澤】病気か認知症か見分けるのは難しいです。でもどちらにせよ早期発見したいですね。小さな変化を普段からみていくといいですよ。上記のチェックシートがわかりやすいと思います。

認知症と運動機能の低下についての質問リストです。いくつ「はい」だったら認知症、というものではないですが、「はい」が増えてきたら要注意と考えてもらってよいと思います。

【ユミ】ボンは、認知症と診断されたときを思い出すと、「はい」が11個、「いいえ」が1個、「たぶん」が3個でした。

 

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