
怠け者の大学4年生がChatGPTに出会い、ノリでプログラミングに取り組んだら、教授に褒められ、海外論文が認められ、ソフトウェアエンジニアとして就職できた――。
大学時代にChatGPTを使って毎日ゲームを作る「#100日チャレンジ」を成功させ、その経験を本にまとめた大塚あみさん。本稿では大塚さんに「AIを使用する上で、心得ておくべきこと」についてお聞きしました。
AIに毎月12万円課金
――大塚さんはAIの利用に毎月12万円も課金されているそうですね。驚きました。
ChatGPT、Claude、Notta、Devinの4つに課金しています。それぞれどのようなものか説明しますと、ChatGPTは基本的に何にでも使えます。特に文章を書くことにとても強いです。何を使うかに迷ったらChatGPTですね。
ただ、ChatGPTにもo1と4. 5という2つのバージョンのものが存在します。4. 5の方が割と賢いというか、創造性があるんです。それに対してo1は、あまり賢くはないんですが、とても真面目に取り組んだなという感じのものが返ってくるんです。なので、会社に出す資料としてはすごくいいものができますね。
ブログを書くとしたら、4. 5で書いてもらったものの方が、読んでて面白いものができます。文章の表現がいいんです。
Claudeはプログラミング用です。コーディングでは、設計はChatGPT、コーディングにはClaudeが使えます。Nottaは取材の文字起こしをするのに使えますね。Devinは開発用で、自律型AIです。AI初心者の方は、基本的にはChatGPTを使えばいいかなと思います。
――ChatGPTを初めて使ってみるという人にアドバイスはありますか?
ChatGPTを使って100%完璧なものを作ろうとしても、基本的にはできないと思ってもらった方がいいですね。例えば、ChatGPTでブログを書こうと思ったら、実は日記的なコンテンツが手元に沢山ないと難しいです。仕事で使うような定型文を量産するのには向いてるかなと思います。
私は会社に入社してから、全自動で日報を書く仕組みを作りました。「今日は〇〇という研修を受けた」と一言書くだけで4行ぐらいの文章を生成して、会社の日報を貼るところに自動的に添付してくれる仕組みです。
――そのシステムは欲しい人がたくさんいそうですね...。
AIは使い手の習熟度の問題
――AIは課金すると機能に違いが出るものなんでしょうか?
賢さが変わります。ChatGPTは回数制限があるので使用上限に達したら、アップグレードしたらいいと思います。
ただ、AIは使い手の習熟度の問題なんですよ。AIを使って何かをしたいのであれば、毎日あらゆる活動で使って何度も何度も練習して、それでやっと活用できるようになります。
実際AIを何か一つの分野で活用するとなると、結構練習が必要なんです。例えば私がAIで文書を書くときにも、かなりの試行錯誤を重ねています。一番最初に作ったものと、最近のものでは品質に差があります。
――ネタを入れて返ってきた答えに駄目出しをしていくと、AIが学んでいくんですか?
AIが学ぶことを期待しちゃ駄目です。プロンプトを直すか、AIが出したものを手直しするか。こちら側の問題なんです。AIが微妙な回答を出してきても、それはAIに問題があるんじゃなくて自分に問題があるんです。
AIは使い手ができることしかできません。自分よりも能力のある人は遥かに上手にAIを使って、色々なことができてしまうことを認識した方がいいですね。ですので、自分自身が勉強する必要性は残念ながら変わりません。
サボりたいって気持ちは大事にした方がいいです。面倒な仕事を終わらせたい気持ちを大事にして、どうやったらサボれるかを一生懸命考えるんですよ。そういったマインドは、生成AI時代ではとても役に立つんじゃないかなと思ってます。
自分で何かやるのではなく、AIを部下のように扱って、指示をするんです。自分のできることをAIにやらせる、その視点が大事かなと思います。
――自分で学習することの重要性が、逆に高まってるんですね。
最近は学ぶコストがずいぶん下がっています。スクレイピングを学びたいと思ったら、多分10時間ぐらいで学べてしまいます。ただ、大半の人はその学ぶ手間を惜しんで、AIにプログラムだけ出力してもらう、みたいなことをやって失敗してしまいます。
昔は100時間やらないと理解できなかったことが10時間でできてしまうので、学習することによる差がすごく大きくなっていくと感じています。