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タバコ、柔軟剤、防水スプレー...家庭に潜む「猫に危険なもの」とは?

宮下ひろこ(獣医師)

2023年03月23日 公開


イラスト・たまゑ

猫との暮らしで注意すべきなのが、誤飲・誤食。人間の食べ物や毒性のある植物など、十分気をつけているという人は多いですが、見落としがちなのが消臭スプレーや柔軟剤などの化学物質です。また、超音波や高周波機器が猫に与える影響を心配する飼い主さんの声もたびたび聞きます。

本稿では、著書『獣医さん、聞きづらい「猫」のこと ぜんぶ教えてください!』を上梓した獣医師兼カウンセラーの宮下ひろこ先生が、家庭やその周囲に潜む"猫にとって危険なもの"を解説します。

※本稿は、宮下ひろこ著『獣医さん、聞きづらい「猫」のこと ぜんぶ教えてください!』(日東書院本社)より、内容を一部抜粋・編集したものです。

 

猫のリンパ腫発症率に関わる? 喫煙習慣

猫って気づくと毛づくろいしていますよね。うちの猫は肉球の隙間から尻尾の先まで、よく舐めています。とてもリラックスしているのが伝わりますが、一方で私たちが使用したさまざまな化学物質が猫の舌を通して体内に入っていくことを考えると悩ましいですね。

喫煙者がタバコをやめるタイミングのひとつに、子どもが生まれたとか動物を迎えたなどがあるようです。

猫の腫瘍のなかでも発生率がいちばん高いといわれるリンパ腫という悪性腫瘍の発生原因のひとつにタバコが影響しているかもしれないという報告があります。そうなると愛猫家としては猫のためにタバコはやめてほしいところですね。 

 

ノミやダニを駆除するくん煙剤

猫と暮らす家では使用頻度の高そうなくん煙剤もどこまで養生が必要かいつも悩むのでは。商品を扱う会社のHPでは「動物にも安心の成分でできている」と記載されています。

一方で「煙や霧を直接吸い込んでしまうことがないよう、使用中には動物も一緒に外出するのがおすすめ」とも書かれています。つまり"適切な方法で使用し、終了後に十分な換気をする"ことが前提ということでしょう。

実際にもし健康被害が動物に出ていれば、獣医師の間でも話題になっているはずですが、今のところそういった話は耳にしません。ただ、万が一うまく噴霧されず、部分的に濃い濃度で成分が残っていれば、それを猫が踏んで舐めてしまうことで高濃度に摂取するといったこともないとは言い切れません。

私はお風呂場にカビが発生しないようにするくん煙剤を使います。猫が入らないようにしていても気にはなるので、使用後は十分に換気をして、シャワーで流しています。 

出番の多い消臭スプレーや柔軟剤も同様に、直接かけたり高濃度に体に触れるようなことがないように避けるほうが賢明です。

猫に限らず人間も危険性が高いとされているのは防水スプレーです。中に含まれるフッ素樹脂やシリコン樹脂が肺に付き、呼吸困難を引き起こし、命を落とすことがあります。

いまどきの洗剤などは効果が高くても安全対策がきちんとされている製品がほとんどです。とはいえ、やはり化学物質。体への影響がよくわからないものは、猫に限らず人もできるかぎり慎重に付き合うことが肝要でしょう。

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犬の鳴き声防止や猫よけグッズの影響は?

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