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仕事

不確実な時代において「仕事ができる人」に共通するたった一つの条件

内田和成(早稲田大学名誉教授)

2023年08月15日 公開 2024年12月16日 更新

何かを決断するのは大変だ。なるべく慎重に、なるべく多くの情報を集めてから決めたいと思うのが自然だろう。しかし、その発想がむしろ、リーダーとして成功できない理由だとしたら? 内田和成氏が解説する。

※本稿は内田和成著『アウトプット思考 1の情報から10の答えを導き出すプロの技術』(PHP研究所)より、内容を一部抜粋・編集したものです。

 

優れたリーダーは「3割の情報で意思決定する」

「意思決定のための情報」について、ぜひお話ししておきたいことがある。それは、「少ない情報で意思決定をする」という訓練を、若いうちからぜひやっておいてほしいということだ。

以前、日本経済新聞の連載「私の履歴書」で、帝人の元社長である安居祥策氏が、「経営者は、情報量が3割しかない段階で決断しなければならない。5割になるのを待っていたら遅い」ということを書いていらした。これを読み、我が意を得たりと思ったものだ。

実際、優れたリーダーの資質の1つはまさにこれだと思う。言い方を変えれば、他の人が100の情報が集まらないと決められないのに対して、30の情報で同じ質の意思決定ができる人間が、優れたリーダーだということだ。

リーダー以外の人にとっても、これは重要な能力だ。少ない情報で決断ができるようになれば、当然、他の人より仕事のスピードが速くなる。そして、より重要な仕事に時間を割けるようになる。そういう意味でも、少ない情報で意思決定できることは非常に大事なのだ。

 

今日は90で決めたなら、明日は80で決断を

少ない情報で物事を決めるということは、膨大な情報の中から意思決定に役立つ情報とそうでない情報を峻別し、役立つ情報のみによって物事を決めていくことに他ならない。

では、どのくらいの情報を集めればいいのかというと、これはもう、自分の線引きの問題だ。

もちろん最初は何もわからないから、ある程度情報を集める必要がある。だが、あるレベルに達したら、今度は情報を絞り込んでいかなくてはならない。例えば、この時点で仮説を立てて、ここで決定などと自分で決めるしかない。

どのくらいの情報で決めればいいかの、絶対の公式などない。ただ、この能力は鍛えることができる。その方法とは、日々のあらゆる場面において、意識的に「短い時間で決める」経験を積むことだ。

今までは90の情報を集めないと決められなかったことを、今度は80の情報で決めてみる。それでうまくいったら、次は70、60と、どんどん情報を減らしていくのだ。

1つの方法として「締め切り効果を使う」というものがある。「〇月〇日までに決める」と決めてしまうのだ。自分で決めるだけでなく、関係者にもそう宣言する。すると、いやおうなしに判断せざるを得なくなるだろう。

もちろん、最初のうちは情報が不十分な中で決断することに気持ち悪さを覚えるだろうし、何度も失敗するだろう。だが、こうした訓練を意識的に繰り返すことで、10年後、20年後に大きな差が生まれるというのが、私の持論だ。

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「失敗した。今度はもっと調べよう」が成長を妨げる?

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