“戦略的”時間術…最速で「結果」を出すには
2012年07月25日 公開 2022年12月26日 更新
世界で活躍するエグゼクティブはみんな「電話魔」
短い時間で最大の結果を出す人のコミュニケーション、それはひと言で言えば「なるべく最短の時間で、最も密度の濃いコミュニケーション手段を取る」ということだ。
そしてそれは、一見ドライと思われている外資系企業でも同じである。むしろ、その考え方が徹底していると言うこともできるだろう。具体的にはそれは「頻繁な電話」という形で現れる。
外資系企業においては、予算などの最終決定権を持つ部署が本国にあることが大半だったので、社内コミュニケーションにおいて「時差」という問題が出てくる。そうなるとメールで連絡を取りたくなるものだが、重要な案件はやはり「電話」が基本であった。
米国西海岸に本社がある会社に勤めていたときは、日本との時差が16~17時間あったので、日本時間での朝9時が米国本社での16時になったりする。
アメリカ人の多くは基本的に残業をしないので、現地時間の17時にはオフィスを出てしまう。そのため、朝一番に重要な案件について電話で確認を取らなければならなかった。
IT系のベンチャー企業でマーケティング・マネージャーをしていたときには、毎週火曜日早朝に本国のアメリカにいる上司と私の部署とで定例会議をやっていた。私のアメリカ人上司は米国トップスクールのMBA保持者で、P&Gやスターバックスといった世界的な企業でマーケティングをしてきたエリートだった。
彼はもちろんメールやイントラネットも活用するが、この定例会議の前日には必ず私に事前の電話ミーティングを指示してきたし、定例会議が終わるとすぐに私に直接電話をしてきて、フォローアップの指示を出すことも忘れなかった。いわゆる「電話魔」であったのだ。
彼が来日したときに、「なぜそんなに電話ばかりするのか。メールでいいのではないか」と聞いてみたところ、「私は細かい日本人特有のニュアンスがわからないし、一対多での電話会議だと詳細までは詰められない。なので、日本のマーケティング部をまとめるメグルに確認をするのさ」とのことだった。
確かに、伝達だけであればメールやファックス、イントラネットのほうがその場では「速い」。多人数への伝達には向いているし、便利だ。だが、あくまでそれは一方通行の伝達手段であり、複雑で微妙なニュアンスを必要とする件には不向きである。
特に、言いにくいことをお願いする際や謝罪、またすぐに意見を聞きたいときや許可を取りたいときは、電話のほうが伝えやすいし、速い場合がほとんどだ。
しかも、もし重要な部分でのミスコミュニケーションがあり、それを修正しなければならない事態が発生した場合、リカバリーするにはその何倍もの時間がかかる。
そこまで考えたうえで、メールですますのか、数分の手間をかけ電話で念押しをしておくかを考えた場合、やはり電話で確認をするということなのだ。
私は彼が来日中も時間を作っては、アメリカ本国にいる彼の上司にメールだけでなく電話もしていたことを覚えている。たった1本の電話がコミュニケーションをより密にし、しかも最終的には時間を短縮できるということを、このときに学んだのだった。