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ドラゴン桜作者が「日本のマンガは世界のどこにも追い抜けない」と語る根拠

三田紀房(漫画家)

2024年03月26日 公開 2024年03月26日 更新

『ドラゴン桜』や『アルキメデスの大戦』などのヒット作を生み出した三田紀房さん。今でこそベストセラー漫画家として知られる三田さんですが、30歳になるまで漫画家になることは考えていなかったといいます。夢がなかった少年時代、巨大な借金を背負うことになった20代、漫画を描いても売れなかった30代...。

そんな三田さんの半生を綴った『ボクは漫画家もどき イケてない男の人生大逆転劇』(講談社)が発売されました。講談社にて行われた出版記念の記者会見では、「日本のマンガの行方」について三田さんがお話されました。

 

マンガは、産業としては認められていなかった

いま、漫画家さんの数がとても増えています。要するに、マーケットが拡大しているので、当然書き手も増えてくるんです。そして、みんな儲かってそうなところに参入するんです。結局金かと言われるかもしれませんが、やっぱりお金って大事です。何か物を作ったら、一番リターンが多そうなところに人は集まります。

それは決して悪いことではなくて、むしろ業界としてはそれをもっともっと後押ししていいと思うんです。マンガは長いこと、産業とは見なされてきませんでした。マンガを産業にして、経済振興に役立てようという意識は実はあまり無かったんです。

何故かというと、マンガでも小説でも映画でも、はっきり言って、車や電気、ハードウェアと比べると市場規模が2桁違うんです。

いま日本のマンガの市場規模は大体6000~7000億と言われていますが、それは大企業の中堅ぐらいの売り上げでしかない。色々と支援事業は行われていますが、基幹産業としてはなかなか国に認められません。

でも、ここから裾野を広げて、メディアとのいろんな組み合わせが出てきたら、爆発的に市場は大きくなると僕は思います。マンガ単体では小さいけれど、これからいろんなメディアと手を携えて、二次作品、三次作品がどんどん生まれてくると、日本は世界最強のコンテンツ国家になると僕は思います。

 

70年かけて培われた日本の財産

日本は、もう70年近くマンガを作ってる国なんです。この歴史は、他国は絶対にキャッチアップできません。

いくら後から追いつこうと思っても、日本は約70年前に週刊誌という画期的な商品を作り、マンガ市場を拡大させたわけですから。人材の質も量も、世界から見れば圧倒的です。今からキャッチアップしようと思っても、まずその距離は縮まらないと思います。

韓国の縦スクロールマンガが出てきたじゃないかと言われますが、縦スクロールでもなんでも、やっぱり基本はマンガなんですよね。

例えば、ボール競技があって、それをサッカーにするかバスケにするかの違いなんです。そこをしっかり考えずに、ただ新しいものが出てきたから日本は負ける、という分析は間違っていると思います。日本は今までの資産の埋蔵量といったら、ものすごい数があるんですから。

そして、これからの漫画家さんは、どんどん描いて発表するのが良いと思います。いまはネット上に発表する場がありますので。数年後にはネット上のマーケットのほうが紙より大きくなると思います。とにかく発表すれば、どこかからチャンスは必ず来るものです。

 

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