今、台湾で食べるべきはチョコ? パイナップルケーキだけじゃない注目のお土産
2024年10月04日 公開 2024年12月16日 更新
台湾料理研究家として活躍する小河知惠子さん。8月に出版した『秘密にしたい台湾のおいしいお土産』(辰巳出版)は、台湾の食に魅せられた小河さんの「台湾に来たらコレ買って帰って!」という思いが形になった一冊です。お子さんと台湾で暮らして5年が経ちます。近年、再び注目の集まる台湾旅行。最新のお土産情報や旅の楽しみ方をお聞きしました。
パイナップルケーキはパン屋さんで買える日常的なお菓子
福田一方のパイナップルケーキ
――台湾土産の定番といえばパイナップルケーキですが、小河さんのおすすめを教えてください。
本の中でも紹介したのですが、福田一方(フーティエンイーファン)のパイナップルケーキ(鳳梨酥・フォンリンスー)です。
パイナップルケーキって台湾人にとっては日常的なお菓子で、素朴な味わいだったのですが、お土産として注目されてから、どんどん高級化されて、1個300円とか、ほぼケーキと同じ値段で売られていたりするものもあります。バターたっぷりでおいしいのですが、1つ食べるとお腹がいっぱいになってしまい、その後の食事が進まなくなることも。
その点、福田一方のパイナップルケーキは、重すぎることなく、バターと、アーモンドパウダー入りの生地、甘酸っぱい餡とのバランスが絶妙です。
口に入れたときにボロボロと崩れることなく食べやすいというのもポイントが高いですね。味が4種類あるのですが、それぞれこだわりの材料を使っているので、ぜひ4種類とも食べていただきたいです。家族、親戚、友人などにすすめると、気に入って爆買い、となることもあります。
寧夏夜市(ニーシアイェシー)のそばにある小さなパイナップルケーキ専門店で、あまりメディアにも紹介されたことがないので、特別感のあるお土産になるはずです。価格も良心的ですよ。
――パイナップルケーキ屋さんというのは専門店が多いのですか?
むしろ専門店はめずらしくて、総合的なお菓子屋さんや、パン屋さんには必ずあるお菓子です。
けっこうどこでも買えて、店によって味や食感が違うので、いろいろ食べ比べて、「これが好き!」というのを見つけるのも旅の楽しみ方としておすすめです。私も行く先々で購入しては、それぞれの個性を楽しんでいます。
台湾の洋菓子はレベルが上がっている
花生蛋捲(ホワシェンダンジュェン)
――パイナップルケーキの次に流行りそうなお菓子はありますか?
ほんとに美味しいものばかりで悩むのですが、あえて挙げるとすれば、シガレットロールにピーナッツバターがたっぷりと詰まっている「花生蛋捲(ホワシェンダンジュェン)」、台湾カステラの流れで台湾マカロン「大牛力(ダーニョウリー)」も流行りそうな気がします。
その他、韓国人に大人気のネギ入りクラッカーのヌガーサンド「牛軋糖(ニョウガービン)」、サクサクのパイの中にもちっとした餡が入っている「老婆餅(ラオボービン)」などでしょうか。
茗香(ミンシャン)
――本の中に「台湾の洋菓子」という章があったのが意外だったのですが、洋菓子もおいしいのですか?
少し前なら、パンや洋菓子は日本のほうがおいしい、という印象でした。ですが近年は、台湾のパンや洋菓子のおすすめが増えました。台湾の特産品をうまく取り入れているものが多いのもポイントですね。
例えば、本の中で紹介した、台湾茶を使ったクッキーが印象的な「茗香(ミンシャン)」というクッキー缶は、世界中のおいしいお茶を知り尽くした元CA夫妻が手がけたもので、控えめな甘さの中に茶葉の香りや味わいが引き立ち、ひとつ食べるたびに幸せを感じます。
チョコレートのレベルも高くなりました。「福灣巧克力(フーワンチャオクリー)」というチョコは、カカオの木を育てるところからスタートするこだわりの製法で、世界チョコレート大会で最優秀賞を受賞しています。
若い人たちが海外で勉強してきたり、味をとことん突き詰めていったりして、台湾の食のレベルアップをはかっているのを感じます。
日本食と相性が良い、台湾の調味料とは?
醬油膏(ジャンヨウガオ)
――調味料やスパイスもお土産では人気ですが、日本で使いやすい調味料はありますか?
まずは醤油類です。調味料としても、タレとして使われる「醬油膏(ジャンヨウガオ)」という、少しとろみがついた甘い醤油です。和食にも合いやすく、おひたしや冷奴にかければ、とろみと甘みのおかげで一手間加えたような味わいになります。
他にも、日本にはあまりない黒豆を使った醤油もおすすめです。煮物に使うとコクが出る上、食欲をそそる濃い茶色に仕上がります。お刺身につけたり、目玉焼きにかけたりしても美味しいです。ただ、卵かけご飯は、やっぱり日本の醤油のほうが美味しいですね。
醤油ではないですが、ベジタリアンオイスターソース「香菇素蠔油(シャングースーハオヨウ)も使いやすい調味料です。牡蠣の代わりにシイタケを使っていて、ビーガンや牡蠣アレルギーの人にはもちろんなのですが、優しい味わいで、日本人の舌にも馴染むと思います。炒め物だけでなく、冷菜に使ってもさっぱりと香りよく仕上がります。
台湾では夏でも“温水”を飲む
――台湾ではコンビニに漢方ドリンクが売られているということですが、やはり薬膳や漢方は、日常に根付いているのですか?
台湾では、ちょっと不調があると「あれ食べたらいいよ」「これは食べたらダメ」と、漢方や薬膳のアドバイスを周りの人たちがたくさんしてくれます。
女性は生理後には、漢方と鶏肉を煮込んだスープを飲むのが浸透していますし、カップルや夫婦間でも、男性が「生理なんだから身体を冷やす果物はダメだよ」と女性に注意することも珍しくありません。そのくらい、漢方や薬膳については深く根付いていて、だれでもある程度の知識を持っています。
漢方や薬膳とはちょっと違いますが、風邪をひくととにかく「水を飲め」と言われます。意外に思われるかもしれませんが、台湾では水分補給に飲むのは、お茶よりも水であり、さらに「温水」を飲む人ことが推奨されます。
温水とは、常温ではなく32度くらいのぬるま湯を差し、これを真夏でも飲む人が多いです。学校や幼稚園のウォーターサーバーの温度は常に30度前後となっており、生徒はそれを飲んでいます。
台湾のお母さんは、子供に冷たい飲み物を与えない人が多く、真夏でも氷入りの麦茶などが出てくることはありません。そのあたりの感覚は日本とは少し違いますね。
さらに人気が高まる台湾旅行
――最後に、台湾は日本人にとって人気の観光地で、近年ますます台湾熱が高まってきているように感じます。台湾旅行の楽しみ方を教えてください。
やはり食べ物が豊富でおいしくて、訪れる度に新しい味に出会えるので、食は存分に楽しんでほしいです。
それに加えて近年は、旧日本時代に建てたような歴史的建造物をおしゃれにリノベーションして、今どきの雑貨店や喫茶店などが入る商業施設にするパターンが増えています。観光スポットとして人気をで、台湾の若い人たちもたくさん訪れていますよ。台湾の歴史を感じながら、ショッピングやティータイムを楽しむのもおすすめです。
また、リピート旅行であればぜひ、台北近郊や南部にも足を伸ばしていただけると良いと思います。台北から1時間もあれば海や山に行けますし、台湾特有の自然や地形に親しめます。秘境スポットやレトロな町で散策を楽しんだり、温泉で心身を癒したり、まだまだ知らない台湾の顔を発見することができるはずです。
もちろん、美味しいお土産もぜひ買って帰ってくださいね。