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なぜか夫とぎくしゃくしてしまう...「身近な人間関係にひびを入れる」3つの言葉

林健太郎(合同会社ナンバーツーエグゼクティブ・コーチ)

2024年11月21日 公開

プロのコーチとして、これまでに2万人以上のリーダーを対象にコーチングやリーダーシップの指導をしてきた林健太郎さんは、「やっちゃった『あと』が人間関係の最大の分岐点になる」と言います。相手との関係を一気に修復する言葉とは? 反対に、関係をズタズタに壊してしまう言葉とは?

※本稿は、林健太郎著『「ごめんなさい」の練習』(PHP研究所)から一部抜粋・編集したものです。

 

人間関係にひびを入れる言葉

「最近、あの人と、ぎくしゃくする」

そう感じている人間関係はありませんか。思い浮かんだ顔は、おそらく「夫婦」「親子」「上司」「部下」「同僚」「先輩」「友人」「恋人」といった、あなたにとって身近な人ではないでしょうか。

身近な人間関係がぎくしゃくする背景には、シンプルな共通点があります。それは、相手への「ごめんなさい」が不足していることです。

「ごめんなさい」不足って、どういうこと? そう思いましたよね。たとえば、こんな会話に心あたりはありませんか。

A「『今日は早く帰ってきて』ってお願いしたよね。もう21時だよ」
B「だって、しょうがないじゃん。急ぎの仕事が入ったんだから」
A「連絡くらいくれてもいいのに」
B「いや、そんな暇もなかったから」

日常でよくあるタイプの会話ですが、おそらく、このあとの2人の会話はピリピリした雰囲気で進んでいくはずです。言いあいになるかもしれません。

一方、同じ状況で、最初の返しが少しだけ違ったら、どうなるでしょう。

A「『今日は早く帰ってきて』ってお願いしたよね。もう21時だよ」
B「本当にごめん!」
A「......なにかあったの?」
B「実は、急に仕事を頼まれて......」

いつもこんなふうにスムーズにいくわけではありませんが、少なくとも最初の会話のようなピリピリした雰囲気はやわらぎますよね。

相手とトラブルになりそうになったら、ひとまず「相手と自分、どっちが悪いか」は置いておいて、「小さなごめんなさい」を伝えることが最優先。

「でも」「だって」「しょうがなかった」といった言葉が先に口から出て、相手へのケアがおろそかになってしまうと、どんどん関係が悪化してしまうのです。

 

やっちゃった「あと」が人間関係の最大の分岐点

もっとも効果的に、かつ劇的に身近な人間関係を好転させる方法、それは「ごめんなさい」をすかさず、軽やかに伝えることです。

相手との関係をよくしていくうえで、日頃から感謝の言葉を伝える、ねぎらう、ほめる、肯定する、挨拶をする、プレゼントを贈るといった方法も、もちろん効果はありますが、相手との関係がピンチの場面、つまり「ごめんなさい」が必要になるような場面で、どう対応するかによって、そのあとの関係が決まります。

やっちゃった「あと」が人間関係の最大の分岐点になるのです。

不祥事を起こした「あと」に言い訳や反論を繰り返して、辞職に追いこまれる政治家を見てもわかりますよね。普段、どんなにとりつくろえていても、「ごめんなさい」を言えないことが信頼関係の致命傷になるのです。

「ごめんなさい」は、短期的には、トラブル回避の潤滑油の役割を果たします。そして、長期的には、身近な人との関係を、より強くしていく効果があります。つまり、もっと、もっと相手と仲よくなれるということです。

筋トレ経験のある方はご存じだと思いますが、筋肉は、負荷をかけることで筋繊維が傷ついて、それが修復していく過程で、強く、太くなるといいます。骨も、一度折れて治ったところは、折れる前よりも、強く、太くなるといいますよね。

人間関係も同じです。ピンチにおちいったときに修復する技術を知っていると、トラブルの前よりも、強く、太い関係を相手と結びなおすことができます。

「ごめんなさい」の技術を身につければ、あなたの身近な人間関係の悩みは確実に減っていくはずです。

 

多くの人が素直に謝れなかったことに後悔している

これまで私は、プロのコーチとして、日本を代表する大手企業や外資系企業、ベンチャー企業、家族経営の会社などで、2万人以上のリーダーを対象にコーチングやリーダーシップの指導を行なってきました。

たくさんの方のお話を聞いてきたなかで、気づいたことがあります。それは、本当に多くの方が、身近な人に「ごめんなさい」を伝えられていないことに後悔しながら生きているという事実です。

コーチングでは、よく「未完了リスト」というものをつくります。「やろうと思っているけれど、やれていないこと」を紙などに書きだして、1つずつ実行に移していくものですが、このリストにしょっちゅう出てくるのが「あの人に謝りたい」「今さらだけど『ごめんなさい』を伝えたい」ということ。

自分に近い関係の人ほど利害関係が複雑にからんでいて、面倒くさく、やっかいなので、なかなか素直に謝れず、事態がどんどん深刻になっていくのでしょう。

 

著者紹介

林健太郎(はやし・けんたろう)

合同会社ナンバーツーエグゼクティブ・コーチ

2万人以上を指導したコーチ。リーダー育成家。合同会社ナンバーツーエグゼクティブ・コーチ。一般社団法人国際コーチ連盟日本支部(当時)創設者。1973年、東京都生まれ。バンダイ、NTTコミュニケーションズなどに勤務後、エグゼクティブ・コーチングの草分け的存在であるアンソニー・クルカス氏との出会いを機に、プロコーチを目指してアメリカで経験を積む。帰国後、2010年にコーチとして独立。2016年には、フィリップ・モリス社の依頼で、管理職200人以上に対するコーチング研修を実施。これまでに日本を代表する大手企業や外資系企業、ベンチャー企業、家族経営の会社などで、2万人以上のリーダーを対象にコーチングやリーダーシップの指導を行なう。『否定しない習慣』『子どもを否定しない習慣』(ともにフォレスト出版)など著書多数。

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