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生き方

前向きな気持ちに「運」はついてくる

新井貴浩(プロ野球選手)

2012年11月21日 公開 2022年08月15日 更新

 

人は明るいものに引き寄せられる

すばらしい人たちと出会うためには、明るさも大切だと思う。

人には、先輩や上司をはじめとする周りの人たちから好感を持たれ、かわいがられるタイプと、そうではないタイプがいる。どっちがトクかと言えば、間違いなく前者だろう。僕が上司だとして、同じ実力を持った部下がふたりいたとしたら、かわいく思えるほうをひいきしてしまうし、「なんとかしてやりたい」と感じたら、多少実力が劣っていたとしても引き上げてやろうとするだろう。

幸いにしてありがたいことに、どうやら僕はいろんな先輩や上司からかわいがられているようだ。そういう人たちが幸運をもたらしてくれている面も多分にあると思う。運に恵まれていると感じるのも、そのことと無関係ではないだろう。

みなさん、例外なく僕に対してはすごく厳しかったし、やさしくしてもらった記憶はまったくないけれど――念のために言っておくけれど、自分自身はほめられたいし、実際にほめられて伸びるタイプだと思っている。

ところが、どうも周囲は勘違いしているようで、踏まれて、踏まれて伸びるタイプだと信じているらしいのだ!――厳しさの裏には深い愛情が感じられた。「こいつをなんとかしてやろう」と思ったからこそ、あえて厳しく接したのだと感謝している。

では――おこがましさを承知で言うが――どうして僕はかわいがってもらえるのだろうか。

「明るさ」――それしかないだろう。

多少きついいじられ方をされても、厳しい練習を課されても、めげないし、むしろがむしゃらに向かっていく。自分でも「おれって明るいよな」となかば呆れるし、言われたことも素直に聞くようにしている。だから、いじりがいがあるのだと思う。

変なたとえかもしれないけれど、虫だって明るいところに寄ってくるではないか。それと同じで、人も明るいところ、光があるところに――先輩方が虫というわけではないし、僕が光というつもりはまったくないけれど――吸い寄せられるのだと思う。僕だって明るいものには引き寄せられるし、逆に暗いところやジメッと湿気があるところには、できれば近寄りたくない。

とはいうものの、ときには気分が乗らないこともある。僕みたいな下手くそは、調子の悪いときのほうが多いから、どうやっても気分が滅入ることがある。

でも、そういうときでも努めて明るくふるまうようにしている。いまの僕は、チームでも責任のある立場にいるから、ふさぎ込んだり、憂鬱そうにしたりしていると、それがチーム全体に伝播してしまう。チームのムードまで暗くなってしまう。それは絶対に避けなければならないし、無理やりにでも明るくしていると、いつのまにかふさいでいた気持ちが晴れ、自然に明るくなるものなのだ。

ふさぎ込んでも、結局は自分で解決するしかない。それでもふさぎ込みたいというのなら、誰も見ていない、ひとりのときにやればいい。どんなときでも明るくふるまうことも、運を引き寄せる大切な要素だと僕は思っている。

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