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「できるな!」と思われる 大人の酒席マナー術 [中華編]

〔監修〕小倉朋子(トータルフードプロデューサー)

2012年12月07日 公開 2024年12月16日 更新

《『THE21』2012年12月号より》

円卓に座る『中華』の席では、和や洋よりもマナーを気にしなくてもいいと思っている人もいるかもしれない。しかしじつは、ターンテーブルをみんなで共有して使う、コミュニケーションのよさが問われる場。それだけに、基本の作法は押さえておきたい。
 

 ターンテーブルはどう使う?

 中華料理のターンテーブルは、基本的に右回りです。目の前に大皿料理がきた人から、順に取り皿に盛り、ターンテーブルを左へ送ります。ただし、すぐ左にある料理を食べたいときは、少しだけ逆に回して料理を取って構いません。大事なことは、目の前に大皿料理がきたら、すぐに取って回すことです。また、ターンテーブルの上は公共の場なので、食べ終わった皿は乗せないようにします。

 中華料理では他人のぶんまで料理を取り分けることはしませんが、接待では、主賓のためには隣の人か幹事が取り皿に盛ります。また、一品目は主賓から渡すのもマナーです。

 

料理を取り分けるマナーは?

 中華料理では、各自が取り分ける分量を少しでも間違えると、最後の人まで料理が行き届かなくなってしまいます。その点で、非常に協調性が求められる料理だといえます。

 各自が取り分ける分量は、少な目が基本。最終的に少し余るくらいがちょうどいいでしょう。エビチリのように数が数えられるものは、すばやく人数で割って計算します。大きな唐揚げなら2個、エビチリなら3個が目安です。北京ダックのような高級料理は、1人1個が原則です。

 取り皿は何枚もらってもOK。ただし、使い終わった取り皿を重ねるのはNG。スペースがなくなったら、店の人を呼んで片づけてもらいましょう。

 

紹興酒の飲み方のマナーは?

 紹興酒を飲むときの決まりはとくにありませんが、日本酒のマナーに近いと考えて問題ないでしょう。注いでもらうときは、基本的には酒器をもち上げて受けます。本場中国では、一気に飲むのがエチケットです。

 日本で紹興酒を注文すると、氷砂糖とレモンがついてくることがありますが、これは日本独特の飲み方です。紹興酒が日本に輸入された当時、あまり上質の紹興酒がなかったために、糖類を入れたようです。初めて飲む人や、強い香りが苦手な人は、「氷砂糖をいただけますか」と頼んでみてもいいでしょう。

 

レンゲの正しい使い方は?

 中華料理では、食器をもち上げて口をつけるのはタブーです。フカヒレなどを食べるときは、レンゲと箸を使って食べます。フカヒレを右手の箸でつまみ、左手のレンゲに乗せると食べやすいでしょう。スープを飲むときは、レンゲを右手にもち替えて使います。左手にもったまま飲むとぞんざいな印象を与えてしまうので、避けるべきです。

 揚げ春巻きも、一見スナックのようですが、手でつままずに、箸を使って食べるのがマナーです。皿の上で割ってから箸でつまめば、箸から滑り落ちることもありません。一方、生春巻きは、手でつかんで食べてもOKです。

 

料理選びのポイントは?

 中華でも、どんな料理を選べばいいのかわからない場合はコース料理を頼めば無難ですが、一品でもアラカルトを加えてオリジナリティを出せば、幹事の株が上がるかもしれません。

 料理選びで気をつけたいのは、メイン料理の選び方。これは実際に聞いた話ですが、ある若手社員が接待の幹事を任されて、エビチリをメイン料理に選んだところ、上司からひどく怒られたそうです。最近では、レトルトや調理済みソースなどで、家庭でもエビチリを食べられます。家庭でも味わえる料理よりもワンランク上の料理を選んだほうが、参加者には喜ばれるでしょう。

 

小倉朋子 
 

(おぐら・ともこ)

トータルフードプロデューサー/〔株〕トータルフード代表取締役  
 

1965年生まれ。青山学院大学卒業後、トヨタ自動車㈱に入社し、広報を務める。その後、国際会議運営ディレクターを経て、カナダに留学。現在は、食品関連のメニュー開発から一連のプロデュースを行なうほか、諸外国の食事マナーと食を総合的に学び生き方を整える「食輝塾」を主宰。トレンド、食育、食文化、ダイエット、伝統食など幅広く食の提案を行なう。『「いただきます」を忘れた日本人』(アスキー新書)『グルメ以前の食車マナーの常識』(講談社)ほか著書多数。
亜細亜大学講師、日本箸文化協会代表、ジャパンビアソムリエ協会理夢。
公式サイト http://totalfood.JP
 

 

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