世の中には話のおもしろい人とつまらない人が存在します。両者をわける違いは一体何なのでしょうか。フリーアナウンサーとして活躍する高嶋秀武さんが、話のおもしろい人の共通点、また、話をおもしろくするコツをご紹介いただきました。
※本稿は、高嶋秀武著『イラスト版 話のおもしろい人、つまらない人 人間関係が10倍うまくいく話し方のヒント』(PHP研究所)より、内容を一部抜粋・編集してお届けする。
1.おもしろい話をする人は声に明るい色がついている
「話がおもしろい」と言うと、抱腹絶倒の話題や話術を持っている人を想像するかもしれませんが、必ずしもそうとは限りません。
おもしろい話をする人は、しゃべり方と声に色がついているような気がします。それもそこ抜けに明るい色。美声でなく多少しゃがれ声でも、前向きで明るく、相手の気分をよくしてくれる声や言い方であれば、十分「声がいい」と言えます。
逆にどんなではおもしろいと感じられないし、聞いている方の気分も滅入ってきます。人間はいつも気の利いたおもしろい話ができるわけではありません。話す内容を考え、しゃべり方の順序を決めてオチまで作る、という作業をいつもできたらいいのかもしれませんが、それは大変難しい。
ですが、愛想よく相手と話をしたり、笑顔で応対するだけで、何となく「話がおもしろい」人という雰囲気とイメージを作ることはできます。最後にモノを言うのは、笑顔と明るい声。ぜひ、声のいい人をめざしましょう。
2. 話がうまくなくても「おもしろい」と思わせる
滑舌がいいわけでも美声でもなく、くり返しが多く聞き手の顔も見ないで一方的にしゃべる...決して話がうまいと言えないのに、それでも聞き手におもしろい話だと思わせる人がいます。それは、次から次へとわいてくるアイデアやそれを形にできる実績、あるいはその人の人間性の魅力が人の心に届き、「その人の話を聞きたい」と感じさせるからです。
周囲を見回してみても、自分がおもしろいと思ったところへ飛んでいって新しいものに興奮し、おもしろいアイデアを出す人はいます。しかし、行動がともなわず往々にしてアイデア倒れ。しゃべり散らしただけで何もしない人が多いものです。行動がともなってこそ、言葉の重みも増すもの。それを忘れてはいけません。
3. まずは雑談で相手の気持ちを引き寄せる
最近は人とコミュニケーションが取れない、情報が伝わっていないのではないかという不安や飢餓感にさいなまれている人が多いようです。情報や言葉があふれすぎているために、どれが真実で何を物語っているのか実感しにくくなっているのかもしれません。こんな時代だからこそ、絆をつなぐ言葉、相手を楽しませるおもしろい話が必要だと思います。
デジタルの時代は「スピードが命」なのはよくわかりますが、何でも直球勝負、忙しいのか挨拶もそこそこに、すぐ本題に入る人がいます。
たとえば、「ところで今日は、部品の価格についてお願いにあがりました。何とか1円でお願いできないでしょうか」と、いきなり単刀直入に言っても、相手の気持ちがそこまで行っていないとギクシャクしてしまいます。
まずは相手の気持ちを引き寄せることが第一歩です。人間は感情もあるし、体調がよくないときもあって、人間関係はどちらかというとアナログ的な要素が多いものです。しかも出会ったばかりではそのときの相手の気持ちがわからず、会話を始める準備にも温度差があるかもしれません。
相手との間合いをはかり、話をうまく進めるために必要なのが雑談です。雑談しながら相手の気持ちをほぐし、次第に本題に持っていく。その頃合いが難しいのですが、雑談が上手になれば、「あの人、話がおもしろいね」と言われる素養のひとつを身につけたことになります。
高嶋秀武(たかしま・ひでたけ) フリーアナウンサー
1942年、神奈川県生まれ。明治大学政経学部卒業後、ニッポン放送に入社。アナウンサーとして、ナイターの実況中継からニュース、芸能など幅広く活躍。そのかたわら、「オールナイトニッポン」「大入りダイヤルまだ宵の口」などで人気を博した。1990年、ニッポン放送を退社し、フリーとなる。長寿番組「高嶋ひでたけのお早よう! 中年探偵団」では、朝の情報番組を定着させた。2012年5月現在、ニッポン放送「高嶋ひでたけのあさラジ!」でメインパーソナリティーをつとめる。著書に『話が面白い人のちょっとした習慣術』(青春出版社)『あの人につけたい「おしゃべりのクスリ」』(小学館)『話のおもしろい人、つまらない人』(PHP文庫)などがある。