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火葬の日まで父の遺体に会えない? 葬儀のトラブル3選

高橋亮(株式会社ディライト代表取締役)

2025年09月24日 公開

火葬の日まで父の遺体に会えない? 葬儀のトラブル3選

家族が亡くなり、いざ葬儀を行おうとすると、何をどう進めればよいのか分からず戸惑う人は少なくありません。30年以上にわたり葬儀の現場に携わってきた株式会社ディライト代表・高橋亮さんによると、葬儀では思わぬトラブルが起こることも多いといいます。

本稿では、高橋さんの著書『後悔しない葬儀とお墓選び』から、起こりやすいトラブル事例を3つご紹介します。

※本稿は、高橋亮著『後悔しない葬儀とお墓選び』より内容を一部抜粋・編集したものです

 

家族葬なのに呼んでいない参列者がたくさん来て困惑

30代女性・伯母の葬儀

私の伯母が亡くなった時のことです。私の父が喪主を務め、家族と親族の20人ほどで静かに送り出す予定でした。

故人は、生前に書道教室で教えていました。生徒たちには特に知らせていなかったのですが、SNSを通して訃報が広がってしまったようで、次々と弔問客が訪れる事態になってしまいました。

想定よりも多くの方が参列したことで、座席や返礼品の数が全く足りず、急遽追加の手配をすることになりました。結局、慌ただしくバタバタした葬儀になってしまい、父もとても疲れた様子でした。故人を落ち着いて見送ることができなかったのが心残りです。

【アドバイス】
参列の範囲を限定する場合は、遺族間でしっかり情報を共有し、告知する範囲を限定する必要があります。

会社にお勤めだった方や、教室の先生、スポーツチームの監督・コーチなど、人との交流が活発にあった方は、弔問客が多くなることがあります。急な参列者の増加に備えて、料理や返礼品の調整ができるよう、葬儀社と事前に相談しておくと安心です。

また、家族葬(近親者・親しい友人のみで行う小規模な葬儀)、直葬(通夜や告別式を省略し、最低限火葬のみを行う葬儀)では、後になって訃報を知った親族や知人が自宅に弔問に訪れることもよくあります。自宅にたびたび来客があることを負担に感じる方も少なくありません。葬儀の形式を選ぶ際は、故人と親族の関係や交友関係をよく考慮し、適切な規模で開催することが、喪主の負担軽減にもつながります。

 

お布施の金額が低すぎた?

60代女性・妹の葬儀

先日、妹の葬儀を都内で行ったのですが、お坊さんに渡すお布施にいくら包めばよいのかわからず困りました。あまりに少ないと失礼にあたるかもしれないし、逆に多すぎても適切ではない気がしました。地元の友達に聞いてみたら、5万円で包んだことがあると聞き、私も5万円を包むことにしました。

しかし、いざお渡しすると、お坊さんの表情が少しこわばったように感じました。後で葬儀社に聞いてみると、今回お願いしたお寺では相場が20万円ほどだと言われました。地方では5万円程度でも問題ないそうですが、都心のお寺では金額の相場が大きく違うらしいのです。

後から都内に住んでいる親戚に話したら、「もう少し包んだ方がよかったかもね」と言われ、非常に気まずい気持ちになりました。お布施の額には明確な決まりがないからこそ、事前に確認しておけばよかったと後悔しています。

【アドバイス】
お布施の金額は地域やお寺によって相場が異なります。直接お寺に尋ねるのも1つの方法ですが、難しい場合は、葬儀社に相談してみてください。菩提寺であれば、親族など過去に葬儀を実施した方に聞くとよいでしょう。

適切な金額を包むことで、後々のトラブルや気まずさを避け、円滑に供養を進めることができます。

 

葬儀までお父さんに会えないなんて......

50代女性・父の葬儀

父が亡くなり、突然のことで気が動転しながらも、すぐに葬儀社に連絡をしました。自宅は狭く、ご近所にも知られたくなかったため、霊安室に安置してもらうことにしました。葬儀社の方からは「火葬の日までの安置料はプランに含まれているので無料です」と言われ、安心してお願いしました。

しかし、翌日になって父に会いに行こうと葬儀社に問い合わせたところ、「面会できない規則なので、葬儀の日までご遺体には会えません」と言われてしまいました。

念のため施設側に問い合わせてみると、施設の決まりでは面会ができないわけではないと言われました。つまり、葬儀社の都合で父に会えない状況だったのです。葬儀社に再度確認すると、面会のためにはスタッフの手配や事前の予約が必要で、対応はできないとのことでした。

そんな大事なことを事前に言ってもらえなかったのが本当に悔しいです。あのとき、もっとしっかり確認していれば、父とゆっくりお別れができたのではないかと思うと、後悔が残ります。

【アドバイス】
霊安室に遺体を預ける際は、面会は可能か、面会時間に制限はあるか、追加料金が発生するかなどを細かく確認しましょう。「安置料無料」と言われた場合、面会が制限される可能性が高いので注意が必要です。

事例のように、施設側の規則に関係なく、葬儀社が面会に対応していないことも稀にあります。複数の葬儀社に相談し、納得できる対応をしてくれるところを選ぶことも重要です。

 

【関連情報】
『株式会社ディライト』https://delight.co.jp
『葬儀の口コミ』https://soogi.jp
『お墓の口コミ』https://oohaka.jp

著者紹介

高橋亮(たかはし・りょう)

株式会社ディライト代表取締役

1977年生まれ。大学中退後、葬儀業界でアルバイトを経験したことをきっかけに、約30年にわたり同業界に携わる。1998年、21歳で葬儀業界専門の人材派遣会社を共同出資で設立。2007年に独立、株式会社ディライトを設立し、代表取締役に就任。株式会社ディライトは、葬儀・お墓業界の「人の困った」と「集客の困った」を解決する専門企業として、業界でも有数の規模を誇る人材派遣・紹介サービス(登録専門スタッフ300名超 ※2025年時点)や、ウェブ集客支援サービスを提供。葬儀・お墓業界の透明性向上と消費者の適切な選択を支援するため、葬儀社選びの口コミサイト「葬儀の口コミ」、お墓・霊園選びの口コミサイト「お墓の口コミ」を運営している。

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