最初からすごいチームなんてない。
「今いる仲間」とひとつずつドアを開けていこう。
気づいたら、すごい景色が見られるかもよ?
このメッセージは、『宇宙兄弟』に登場する伝説の宇宙飛行士、ブライアン・Jが「夢」について語った言葉を、チームづくりに置き換えてみたものです。
どんなに優秀なメンバーを集めても、いきなりすごいチームが生まれるわけではありません。
本稿では、チームづくりを進めるうえで知っておくべき「リーダーのスタイル」について解説していきます。
※本稿は、長尾彰著『宇宙兄弟 「制約主導」のチームワークで、仕事が面白くなる! チームの話』(Gakken)を一部抜粋・編集したものです。
あなたの「強み」を活かす4つのリーダーのスタイル
リーダーのスタイルを、大きく4つに分けて整理してみます。
スタイル1 ファシリテーター型(支援と促進が得意)
スタイル2 マエストロ型(職人肌で成果を出すのが得意)
スタイル3 ティーチャー型(教えて諭すのが得意)
スタイル4 コンサルタント型(専門的な知識で牽引するのが得意)
それぞれのスタイルの特徴についてはこのあと述べていきますが、まず軸となるキーワードが、仕事を進めるうえで「プロセス」「成果」のどちらを重視するかと、メンバーをリードするときの「押す」「引っ張る」というスタンス。
このキーワードをスタイルに当てはめると、次のようになります。
スタイル1 ファシリテーター型(プロセス志向×押す)
スタイル2 マエストロ型(成果志向×押す)
スタイル3 ティーチャー型(プロセス志向×引っ張る)
スタイル4 コンサルタント型(成果志向×引っ張る)
あくまで傾向なので、誰もが明確に4つに分かれるとは限りません。いくつかのスタイルを併せ持っているパターンもあると思います。また、どの型が優れていてどの型が劣っているということでもありません。どのタイプにも「凸(強み)」と「凹(苦手なこと)」が存在します。
もしあなたが、「仕事はとにかく結果が大事! できるだけ最短距離でゴールに向かいたい」と考えていて、ほかのメンバーを引っ張ることが得意と感じるならば、コンサルタント型のリーダースタイル。
「もちろん結果も大事だけど、そこに至るまでのプロセスも大切にしたいよね」と感じ、自分が先頭に立つよりもメンバーをサポートすることが得意ならば、ファシリテーター型のリーダーのスタイルとなります。
中心点から軸の外側へ向かうほど、各傾向が強いということなので、ファシリテーター型でも引っ張ることが得意な人もいますし、逆にコンサルタント型でありながら、押すことが得意な人もいるでしょう。
また各スタイルの理解を深めるために、「目的」「計画性」「物事の進め方」「他者との関係性」など、より細かな傾向を10項目にまとめてみました(下図「タイプ別チェックシート」)。
4つのリーダーのスタイルは、「プロセス志向/成果志向」と「押す/引っ張る」の関係性だけでなく、こうしたさまざまな特徴や傾向を内包しています。
自分のリーダーのスタイルを知りたい方は、ぜひこの「タイプ別チェックシート」を活用してみてください。当てはまると思う項目に「〇」をつけていき、もっとも「〇」の多い列が、あなたが得意とするスタイルです。
ほとんど同じスタイルに「〇」が集中する人もいれば、ふたつのリーダーのスタイルを併せ持つバランスタイプの人もいます。ファシリテーター型だからといって、すべての項目が一致するわけではないので、どの項目がしっくりくるかという感覚をもとに、自分のスタイルや傾向を理解できればよいと思います。
注意すべきは、「あの人は(自分は)〇〇型だから......」という思い込みで相手(自分)を決めつけてしまうこと。あくまで「こういう見方もある」という視点で使ってくださいね。メンバーのスタイルが知りたいのなら、本人に「あなたはどのスタイルだった?」と聞けばよいのです。
(宇宙兄弟ⓒ小山宙哉/講談社)