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仕事

プロフェッショナルは「スピード仕事術」で成果を出す

小宮一慶(経営コンサルタント)

2013年02月14日 公開 2024年12月16日 更新

『朝90分早く起きる人のプロ仕事術』より》

朝のインプットは、「ながら」で行なう。

私の一日は、朝の5時45分に始まります。

そこから、トイレを済ませ、顔を洗い、NHKのニュースをつけて、『読売新聞』を読みながら、朝食をとるのが習慣になっています。

この「習慣化」というのは、とても大切なことです。

新聞は、記事をもれなく読んでいるわけではありませんが、見出しに関しては最初から最後まですべて目を通しています。

ここで私は1つ、工夫をしています。

人間は、2つくらいのことなら、同時にインプットできるものです。

ですので、前日の出来事について詳しく知るために新聞を読みながら、NHKのニュースで、前日の為替相場や経済情報、スポーツの結果などを見るようにしています。

最初はなかなか両方行なうのは難しかったのですが、慣れれば、テレビのニュースは、気になったことだけが耳に残るようになってきます。

新聞をチェックし、ニュースを見ながら朝食を終えるまで、その間およそ15分を目安としています。

長年、この習慣を続けていますから、どれくらいの時間でどれくらいの情報が得られるかという感覚は、もう体に染みついています。

習慣化と併せて、「どのくらい時間を要するのか」ということが分かる感覚はビジネスパーソンにとって必須といってもいいものです。

たとえば、経理担当のスタッフであれば、送金するときに1件2分かかるということが分かっていれば、10件なら20分とあらかじめ予想できるでしょう。

それを把握していない、慣れていない人であれば、10件の送金に1時間かけてしまうかもしれません。時間管理をしていなければ、人は与えられた時間をすべて使って物事を行なう習性があります。

ビジネスはすべて相手あってのことです。

自分の仕事が遅れれば、誰かの仕事に迷惑がかかってしまうことを忘れてはいけません。時間に間に合わなければ、無価値になってしまうものもあります。

もちろん、最初からその感覚を身につけるのは難しいと思いますが、きちんと物事に取り組み、習慣化していけば、自ずと身についていくものです。初めは時間をかけてでも良い仕事をすることが大切ですが、それを速くやれるようになることも大切です。松下幸之助さんも、汗水を流すことも大切だが、新幹線ができているのに、東海道を歩いていく必要はないという意味のことをおっしゃっています。

長年仕事をしているのに、その感覚が身についていないという人は、要注意です。

「日々を漫然と過ごしていないか」 ―― 自分に問いかけてみてください。

質の高い仕事をするのはもちろん、その仕事をするのにどれくらいの時間が必要かをきちんと把握しておくことはとても大切です。

良い「習慣」が身につけば、時間を有効に使い、無駄のないスケジュールを立てることができます。

Point ◆ 毎日することの時間を把握しよう。

 

違った角度の情報が大切。

皆さんはどんな媒体から情報を集めていますか。

テレビ、インターネット、新聞、雑誌、書籍……それぞれ独自の情報収集方法があるはずです。先述した通り、私は、『読売新聞』『日本経済新聞』『日経産業新聞』を毎日読んでいます。

それでも、時には、ほかの情報も知りたくなるのです。そこで、飛行機に乗ったときには『朝日新聞』と『産経新聞』を読みます。

両紙ともいくらか偏りがある上に、それが好対照なので、それぞれの論調を比較しながら読むと、非常におもしろいのです。

ビジネスパーソンの中には、新聞を何紙も読みたい、何紙も読まなくてはならないと考える人もいますが、基本的な情報が得られれば充分ですから、そこまでする必要はありません。

大切なのは、似たような情報を積み重ねることではなく、得た情報を消化して、自分なりの意見を持つことです。

ただ、より多くの新聞に目を通すと、特殊な情報が得られることがあります。

たとえば、先日、『産経新聞』に、明治天皇が崩御されて百年という記事が掲載されていました。尖閣の問題に関しての中国軍の演習の記事も『産経新聞』には出ていました。しかし他紙では、そのことにまったく触れていなかったのです。

新聞ごとに、それぞれ視点が違っています。

『朝日新聞』は絶対に読まない、『産経新聞』は絶対に読まないという人もいますが、それはあまり賢明な態度とはいえません。

どういう思想に基づいていても、そういう意見もあるのだと知っておくのは、特にリーダー的な立場にある人にとっては大切なことです。

最初から毛嫌いするのではなく、いろいろな見方があるけれども自分はこうだ、と言えればいいのです。

こういう見方もあるのだということ、それが衆知を集めることだ、と松下幸之助さんもよくいわれました。

あとで嫌なものを捨てるのも、最後に判断を下すのも自分の自由なのですから、頭から情報を拒絶してしまうのはもったいないことです。

新聞に限らず、雑誌でも本でも同じで、いろいろな角度、違った角度の情報に触れれば、ものの見方の幅も広くなり、自分自身の判断材料も増えます。

もちろん、それは、メディア発のものではなく、個人発のものでもかまいません。

今だったら、フェイスブックやブログもありますから、より多くの人の考え方やものの見方を知ることができます。

それを自分のものの見方をつくるための参考にすることも、そこからものの見方そのものを学ぶこともできるでしょう。

「見方を学ぶ」「解釈の仕方を学ぶ」「考え方を学ぶ」 ―― つまり、知恵の出し方を学ぶということです。

それによって、さまざまな情報を読み解くスピードも上がってきます。

point ◆情報からものの見方を学ぶ。

 

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