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疲れ果てた心が回復する習慣とは? 専門家が勧める「やったことリスト」の書き方

佐野創太(退職学(R)研究家)

2026年06月05日 公開

やる気が出ない、何も感じない...そんな状態から抜け出すヒントは「習慣」にあると、退職学(R)を研究する佐野創太さんは語ります。感情が止まったときの、無理なく動き出すための具体的な方法を、紹介書籍『70%で働く 「もっと頑張る」から脱出する働き方の思考法』より解説します。

※本稿は佐野創太著『70%で働く 「もっと頑張る」から脱出する働き方の思考法』(日経BP)より一部を抜粋・再構成したものです。

 

感情が止まっているときは、「習慣」を動かす

「悩みすら出てこない」
「もう何も感じない」

そんな状態に追い込まれるときも、あるかと思います。働くことだけでも大変なのに、そこに子育てやら介護やら心身の不調やらが乗っかってくるわけですから。

相談者のVさんは、「基本的人権が守られる暮らしがいいですね」と真顔で言っていました。それくらい感情が止まっているとき、最初は落ち着きを感じるかもしれません。

でも実際には、冷蔵庫の電源が抜けたような状態であることがほとんどです。

音はしないけれど、中身は少しずつ傷んでいく。
考える気力が湧かない。
眠っても疲れが抜けない。
以前は好きだったものにも、ときめかない。

こんなときこそ、「考えよう」「前向きになろう」「もっと頑張ろう」と自分を鼓舞しないでください。

私たちは0%、つまり「戻って来れない状態」になるわけにはいかないのです。守るものがあります。だからこそ、10%でも5%でも「戻って来れる余地」を残すための休み方を知っていただきたいのです。

まず必要なのは、「考えること」ではなく、「休むこと」です。

休み方も再設計しましょう。休みにも種類があるのです。

ひとつは、消極的な休み。休めばやすむほど「もっと休みたい」と動けなくなります。私は無職になったとき、この状態でした。

もうひとつは、積極的な休み。自分からリフレッシュする休み方です。休めばやすむほど「よし、やろう」と充電された状態になります。

問題は消極的な休みです。休みを取れば取るほど動けなくなるわけですから、何か工夫が必要です。

そんなときに役に立つのが、感情ではなく「習慣だけを動かす」ことです。ここで言う習慣とは、筋トレや朝活など、頑張る系の習慣ではありません。「頑張れないとき」を想定したものなので、むしろ、こんなレベルです。

●パジャマのままでもいいから、30秒だけ外に出る
● コンビニで雑誌を手に取る(買わなくていい)
● 朝ごはんを、パンひと口だけかじる

つまり、「これ、意味ある?」と思うくらいが、ちょうどいいのです。

なぜなら、意味を感じないことのほうが、実行のハードルが下がるからです。

「脳は変化を嫌い、行動の繰り返しを好む」という私たちの怠け者な性質を生かした習慣術を紹介する『小さな習慣』(スティーヴン・ガイズ著、田口未和訳、ダイヤモンド社)では、「小さ過ぎて失敗しようがない」行動が推奨されています。

だからこそ、やる気に頼らず、ほとんど負荷のない行動から入る。この設計が、マイナスにまで落ち込まないためにはとても有効です。

 

「やったことリスト」が回復の道しるべになる

「意味があるか」「これで足りるか」を判断するのは頭です。

でも、感情が止まっているとき、頭はうまく働いてくれません。むしろ、「意味ないじゃん」「これじゃ足りない」と、さらに自分を責めがちです。

だからこの時期は、「やった感覚」よりも、「やれた事実」を大切にします。ここでおすすめなのが、「やったことリスト」です。

ノートでも、スマホでも構いません。書くのは、本当に小さなことだけ。

私自身、先が見えず、気持ちが落ちきっていた時期のリストは、こんな内容でした。

「朝、起きれた」
「パジャマを着替えた」
「コンビニに行けた」
「メモを1行書けた」

これだけです。

しかし、これを積み重ねていくと、ある日ふと、「もう少し何かできるかも」と思える瞬間がきます。それが、止まっていた感情が、動き始めた合図です。

感情は、無理に動かそうとすると、かえって動きません。頭と心が別方向に動くと、アクセルとブレーキを同時に踏む状態になり、エンストします。

だからこそ、エンジンがかかるまで「待つ時間」が必要です。

しかし、ただ「待つだけ」は、かえってもどかしく苦しくなるかもしれません。

「やったことリスト」を書くくらいの負荷をかけてみてください。このリストがあれば、どんなに落ち込んでいても、「ここから始められること」が目に見える状態になるので、休むことへの罪悪感を軽減できます。小さな行動を積み重ねるたびに、リストにチェックが増えていくので、それを見返すだけで、「自分は何もできていないわけではない」と実感できます。

感情が止まっていても、ここから少しずつ動き出せるような回復のスタートラインがはっきりわかる場所として、リストをつくるのです。

そうすると、「何もしていない日」なんてなかったことに気づきます。あるのは、「何もしない日を選んだ日」だけです。その記録が、回復の道しるべになります。

 

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