(C)ずいの・系山冏/講談社(『税金で買った本』1巻「わくわく☆しりたい どうぶつのなぞ」より)
図書館のリアルな裏側をユーモアを交えて描き、待望のドラマ化・アニメ化という同時映像化でも話題沸騰中の『税金で買った本』(ヤンマガWeb)。そんな本作の主人公・ヤンキー高校生の石平紀一くんは好奇心旺盛なキャラクターで、読者に「調べることの楽しさ」を教えてくれます。
インタビュー第3回となる本稿では、作品の芯にあるメッセージ、そして原作者・ずいのさんのキャラクター設定へのこだわりについてお話を聞きました。
「自分で調べる楽しさ」を描く理由
――『税金で買った本』のストーリーを通じて、読者には「自分で調べることの楽しさ」や「知的好奇心を持つことの大切さ」が一貫して伝わってきます。ずいのさんご自身が、このようなテーマを作品の芯に据えた理由はあるのでしょうか?
【ずいの】もともと自分自身が、日常の中で知らない単語や気になることを見つけると、とことん調べてしまうタチなんです。好きな漫画やゲームに出てくるキャラクターの元ネタになった歴史上の武将や伝説があれば、それについて調べるのが昔からの趣味でした。大学時代も、講義の空き時間や暇なときは、いつも大学の図書館にこもって色々な資料を引っ張り出しては調べ物をしていました。
――なるほど、ずいのさんの「知りたがり」のエッセンスが、主人公である石平くんのキャラクターや、物語の根底にあるメッセージにそのまま繋がっているのですね。今はAIを使えば何でもすぐに答えが返ってくる時代ですが、だからこそ自分で資料を探し、正解に辿り着くという「図書館ならではの調べる魅力」を発信することには、大きな意義があるなと感じます。
石平くんの社会人編はある? 気になる「物語の今後の展開」
(C)ずいの・系山冏/講談社(『税金で買った本』5巻「公務員白書 1年版」より)
――物語の今後の展開についても少し伺いたいです。石平くんは作中で無事に大学生になりましたが、今後はさらにステップアップして「社会人編」へと突入していく予定はあるのでしょうか?
【ずいの】そこは今、まさに悩んでいるポイントなんです(笑)。漫画の連載として考えると、あまり登場キャラクターを一気に入れ替えない方が、ずっと応援してくださっている読者の方々のためにも良いんですよね。高校生から大学生になるだけであれば、舞台となる図書館のメンバーは固定のままで、大学の新しい友達や先生という形でキャラクターを少しずつ増やしていけるので問題ありませんでした。
ただ、これがもし「社会人編」になってしまうと、石平の環境が激変して、これまで築いてきた周囲の登場キャラクターたちとの関係性や配置をガラッと変えざるを得なくなってしまうので...。
――それぞれのキャラクターに思い入れのある読者の方はきっと多いでしょうからね。でも、社会人として働く石平くんの姿を見てみたい気持ちはあります。
【ずいの】ありがとうございます。そのあたりをどうバランスを取っていくかは慎重に考えていきたいと思っています。
――そしてもう一点、気になることが。強烈な個性を放っている正規職員のキャラクター・茉莉野さんですが、彼女が今後、改心したり人間的に成長したりすることはあり得るでしょうか?(笑)。
【ずいの】茉莉野ですか...どうなんでしょうね。物語としては少しは良い方向に変化させた方がいいのかな、という気もするのですが、そもそも彼女には「あんまり人の心がないしな......」とも思っているので(笑)。
――なるほど(笑)。あのままのキャラクターで、ブレずに突き進んでいってほしいという気もします。
「表面張力ギリギリまで」メガネキャラを詰め込む理由
(C)ずいの・系山冏/講談社(『税金で買った本』1巻「わくわく☆しりたい どうぶつのなぞ」より)
――キャラクターデザインについても伺いたいです。以前のインタビュー記事で、「この漫画には表面張力ギリギリまでメガネキャラを入れたい」と仰っていましたが、その理由を教えてください。
【ずいの】メガネキャラってそこまで優遇されないというか、一部のコアなファンにしかウケない印象で、漫画やアニメにあまり多く入れられない傾向があると思うんです。でも、自分の周りのオタク友達や、以前勤めていた図書館ではメガネをかけている人が多いんです(笑)。そんな理由で、メガネをかけている人に対する好感度が高いので、「じゃあ限界まで入れてやろう」と。
――ずいのさんのリアルな人間関係が反映されていたとは!驚きです。ちなみに、一番お気に入りのキャラクターは誰ですか?
【ずいの】お気に入りはやっぱり石平ですね。一番動かしていて面白いんです。読者投票を行ったときも、第1位が石平だったので、原作者としてはホッとしました(笑)。ただ、今村まひろや朝野亜沙子も根強い人気があります。
――それは納得の順位です。また、図書館員のファッションについてのエピソード(『税金で買った本』8巻収録「ライブラリアンのためのスタイリング超入門」)もありましたが、キャラクターのファッションにもこだわりがあるのでしょうか?
【ずいの】キャラクターのファッションに関しては、作画の系山冏先生が本当に細かく描いてくださっています。私の方から「こういうイメージのキャラクターです」と大まかなラフをお渡しするのですが、系山先生が「このキャラはきっとこのブランドの服をよく着るはず」と、毎回おしゃれなスタイリングに仕上げてくださるんです。
――ファッションにも注目ですね!その他、実はこだわっているポイントはありますか?
作中に登場する本の背ラベルの分類番号は、「この本だからこの数字」とわかる範囲で調べて描かれているので大きな間違いはないはずです(笑)。よろしければ見てみてください。