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上機嫌でいるほど「人の心が読める」 心理学が解明する意外なメカニズム

内藤誼人(心理学者)

2026年06月24日 公開

人の心を読む力に長けていると、相手が求めることを先回りできたり、嫌がることを避けられたりと、人間関係の構築に役立ちます。心理学者の内藤誼人さんは著書『10秒で本音を見抜く心理術』にて、心を読む能力は後からでも身につけられると述べています。

本稿では同書より、心を読むための条件について解説された一節をご紹介します。

※本稿は、内藤誼人著『10秒で本音を見抜く心理術』(PHP文庫)より、内容を一部抜粋・編集したものです。

 

上機嫌な人ほど「人の心を読める」

人の心を読みたいのなら、どんなときでも上機嫌でいなければなりません。というのも、ハッピーな気分でいるときのほうが、相手の感情や気持ちを見抜く能力がアップするからです。人の心に対する私たちの読解能力というものは、そのときどきの心理状態に大きく左右されるのです。

ハーバード大学のナリニ・アンバディは、35名の大学生を3つに分け、それぞれに気分を変える操作を行いました。具体的には次の3つです。

①ハッピー条件 ロビン・ウィリアムズ主演のコメディ映画を見てもらう
②悲しみ条件 『チャンプ』という涙を誘う映画を見てもらう
③比較条件 自然のドキュメンタリー映画を見てもらう

映画を見てもらう時間は、どの条件も10分間でした。

次にアンバディは、13人の先生が講義をしているビデオを見せ、それぞれの先生の教え方のうまさを推測してもらいました。その推測が、それぞれの先生の講義を実際に受けた学生の評価とどれくらい一致するのかを調べてみたわけです。

その結果、ハッピー条件ほど先生の教え方のうまさを正しく見抜くことができることがわかりました。

 

気分がいいほど、視野は広がる

一番見抜けなかったのは、悲しみ条件でした。ウキウキした気分のときには、私たちの視野が大きく広がります。そのため、細かいところにも目が向くようになります。

逆に、落ち込んだ気分のときには、私たちの視野は狭まる傾向があります。悲しい気分のときに道を歩いていて、小さな段差があることに気づかず、つまずいて転んだりしてしまうのは、そのためです。

いつでも上機嫌でいるようにすると、視野が広くなりますので、相手の微妙な表情の変化にも気づくことができます。そのため、人の心を読むのもうまくなるのです。人の心を読みたいのなら、どんなときでも幸せな気分でいなければなりません。

気分が落ち込んだり、うつな気分になったりしているときには、あまり人の心が読めません。こういう状況のときには、自分が相手に迷惑をかけていることに気づかなかったりもしますから、あまり人に会わないほうがよいでしょう。

仕事で大切なクライアントに会わなければならないときには、できるだけ人生で楽しかったことを思い出してみたり、自分の大好物を食べたりして、ハッピーな気分になっておきましょう。そういう準備をしておくと、相手がどんな感情なのかを敏感に感じとることができます。

 

人の心は「顔」にすべて出る

顔にまつわることわざや慣用句は、非常にたくさんあります。「顔は心の鏡」という表現もありますし、「顔は心の窓」とも言います。「目は口ほどに物を言う」という表現もありますね。どうして顔にまつわる表現がたくさんあるのかというと、実際に私たちの心や感情は顔に表れやすいから。

「顔は心の鏡」というのは単なる比喩ではなく、本当に心を映す鏡としての働きをしているのです。したがって、相手の心を知りたいのなら、相手の顔をよく見ることが大切です。人の心を読むための特別な勉強をしていなくとも、相手の顔をしっかり見ていれば、相手がどんな気持ちなのかはけっこうわかるものです。

スウェーデンにあるウプサラ大学のパトリク・ジャスリンは、顔や声の手がかりから、どれくらい正しく感情を識別できるのかの研究を総覧し、顔の表情での正答率が60%から95%なのに対し、声の手がかりからの感情識別の正答率は54%から70%という結論を得ています。

声を手がかりにしても相手の感情はそれなりにわかりますが、顔の表情ほどではありません。本書では、声や振る舞いなど、さまざまな手がかりからも人の心を読む方法を紹介しておりますが、とにかく顔に注目するのが一番、ということは覚えておきましょう。

 

顔が、最も正確な手がかりである

相手の顔をしっかり見ることには、相手の感情を正しく読み取るということの他に、"おまけ"の効果もあります。人に会うときに相手の顔をしっかり見つめるように心がけると、自然と相手とのアイコンタクトも増えますよね。

アイコンタクトが増えると相手も気分がよくなり、こちらに対して好意を抱いてくれます。私たちは、自分の顔をしっかり見つめてくれる人が大好きですから。

自分の顔にまったく視線を向けてくれず、ずっとそっぽを向かれていると、私たちは悲しくなったり、不愉快になったりします。「私にまったく興味がないのだな」という相手の気持ちがわかってしまうからです。

相手の顔を見つめるようにすると、相手の感情を見抜くことができ、しかも相手には好意を持ってもらえるという、一石二鳥の効果があります。相手にプレッシャーを与えすぎないよう、たまには相手の顔から視線をはずしてもかまいませんが、基本的にはできるだけ相手の顔を見つめるように心がけましょう。

著者紹介

内藤誼人(ないとう・よしひと)

心理学者/立正大学客員教授

慶應義塾大学社会学研究科博士課程修了。[有]アンギルド代表。社会心理学の知見をベースに、ビジネスを中心とした実践的分野への応用に力を注ぐ。その軽妙な心理分析には定評がある。『人は「暗示」で9割動く!』(だいわ文庫)など、心理に関する著書多数。

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