何気ないことでイライラしてしまう、小さなことが不安で仕方がない…。こうしたネガティブな感情には、トリガーが隠されているとライフコーチの三凛さとしさんはいいます。「書くワーク」によって不安・怒り・悲しみの3つの感情を味方につける方法をまとめた一冊『こころの毒出しノート』より、感情トリガーを知るためのワークを紹介します。
※本稿は三凛さとし著『こころの毒出しノート』(飛鳥新社)より一部を抜粋・編集したものです。
あなたの心には「地雷」が埋まっている
今日は、あなたの心にある「感情トリガー」の地図を作っていきます。
感情トリガーとは、あなたの感情を自動的に爆発させる「スイッチ」のことです。
人間は誰しも、理性とは関係なく、ある特定の刺激に対して反射的に反応してしまうプログラムを持っています。
たとえば、こんな経験はありませんか?
普段は温厚なのに、パソコンの動作が遅いときだけは異常にイライラしてマウスを投げたくなる。
誰かに「おはよう」と挨拶あいさつして返事がないと、それだけで1日中「嫌われたかも」と落ち込んでしまう。
SNSで特定の話題(政治、ジェンダー、成功自慢など)を見ると、心拍数が上がって怒りを感じる。
これらがすべて「トリガー」です。
何がトリガーになるかは、その人の過去の経験や、大切にしている価値観によって千差万別です。
Aさんは「時間にルーズな人」を見ると激怒しますが、「言葉遣いが悪い人」のことは笑って許せます。逆にBさんは、「時間は多少遅れても気にしない」けれど、「挨拶がない人」を見ると人間性を疑うほど軽蔑けいべつします。
どちらが正しい、間違っているという話ではありません。ただ、「自分にはこういう地雷があるんだな」と知っておくこと。これが、感情に振り回されないための防衛策になります。
「予報」があれば、傘を用意できる
自分のトリガーを知らないと、私たちは無防備なまま地雷原を歩くことになります。いつ爆発するか分からないので、常にビクビクするか、爆発してから「なんであんなに怒っちゃったんだろう」と自己嫌悪に陥るかのどちらかです。
しかし、自分のトリガーを知っていれば、それは「天気予報」になります。
あ、今日は午後からA部長との会議だ。A部長はいつも結論を急かすから、私の「焦りトリガー」が発動する確率が80%だな。
今夜はSNSを見ないほうがいいな。週末でみんなが楽しそうな投稿をしていると、私の「孤独トリガー」が押されてしまうから。
そうやって事前に予測ができれば、心の傘を用意できます。
A部長には先に結論から話すメモを用意しておこう。
今夜はスマホを機内モードにして、好きな映画に没頭しよう。
トリガーに触れた瞬間も、メタ認知が働きます。
おっと、今イラッとしたぞ。これは相手が悪いんじゃなくて、私の「無視されたくないトリガー」が反応しただけだ。深呼吸、深呼吸。
私の場合、「効率が悪くて時間がかかること」が強力なイライラトリガーでした。かつては、チームメンバーの作業が遅かったり、レジの行列が進まなかったりすると、露骨に不機嫌になっていました。
しかし、これを自分のトリガーだと認識してからは、「あ、今自分の『効率重視システム』がエラーを起こしているな」と客観的に見られるようになりました。
「相手には相手のペースがある。私のルールを押し付けても誰も幸せにならない」と一呼吸置くことができるようになり、無駄な衝突が激減しました。
感情トリガーの具体例
あなたの地雷を見つけるヒントとして、よくあるトリガーの例を挙げてみます。読んでみて、心がざわつくものがあれば、それがあなたのトリガーかもしれません。
無視トリガー:挨拶を返さない、メールの返信が遅い、既読スルーされる
否定トリガー:「でも」「だって」と言い返される、アドバイスを拒否される
無能扱いトリガー:細かく指示される(信用されていない気がする)、上から目線で説明される
不公平トリガー:真面目にやっている自分が損をする、ラクをしている人が評価される
音/感覚トリガー:大きな咀嚼そしゃく音、貧乏ゆすり、満員電車の密着感
SNSトリガー:友人の結婚報告、起業家の成功自慢、極端な正義感を振りかざす投稿
親トリガー:「いつ結婚するの?」「もっとちゃんとしなさい」という親の小言
「あるある!」と思うものが1つや2つ、あったのではないでしょうか。
今日は、それをリストアップして「取扱注意リスト」を作りましょう。
感情トリガーリストを作るワーク
今日は、あなたの心を乱す「定番のパターン」を見つけてみましょう。
1つだけでなく、思いつく限り書き出してみるのがポイントです。これを書き出しておくだけで、次にその場面に出くわしたとき、不思議と冷静でいられる自分に気づくはずです。
(0)1分・ズボラ瞑想
目を閉じて鼻呼吸をします。
(1)回想する
最近、心が大きく揺れた(イラッとした、モヤッとした、落ち込んだ)瞬間を思い出します。何がきっかけ(トリガー)でしたか?
(2)リストアップ
「トリガー(きっかけ)」と、そのときの「感情」をセットで書き出します。
書き出したリストを眺めてください。それは、あなたの心の「警備システム」がどこに設置されているかを示す地図です。トリガーがあること自体は悪いことではありません。「ここを守りたいんだな、私」と認めてあげるだけで十分です。