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ジムに通う必要なし!1日5分の「ストレッチ」と「1階分の階段」で一生動ける体をつくる

森勇磨(産業医・内科医)

2026年10月30日 公開


イラスト:長野美里

「体が硬いのは年齢のせい」「運動しなきゃと思いつつジムに通う気力もない」と諦めていませんか? 実は、体が硬い理由は加齢のせいではなく、筋肉の「未使用」。特別な器具や時間を使わなくても体は何歳からでも変わり始めます。
本稿では、「5分の布団の上ストレッチ」や、街中の「階段使い」など、わざわざ時間を作らなくても、血流を改善し、筋トレと有酸素運動になる生活習慣をご紹介。お金も特別な準備もかけず、一生動ける体をつくりましょう!

※本稿は、森勇磨著『年金暮らしでもお金をかけずにできる 0円予防医学』(高橋書店)より一部抜粋・編集したものです。

 

1日5分の「ストレッチ」で身体の不調を改善

【ポイント】
* 体の硬さの主な原因は、加齢ではなく「未使用」。
* 筋肉は何歳からでも、ゆっくり伸ばせば応える。
* 血流を促し、冷え・こり・疲労の軽減に役立つ。
* 柔軟性は「とっさの立て直し」を支え、転倒予防につながる。

 

「体が硬い」は変えられる

「前屈で手が床に届かない」「何十年も体が硬いまま」―こうした声はめずらしくありません。
ただ、体の硬さは体質というより、「長く使っていない状態」が続いた結果です。

筋肉は使わなければ縮み、動かせば少しずつ伸びます。強い負荷は必要ありません。やさしく、繰り返し刺激することで、年齢に関係なく変化は起こります。
また、やわらかさがあれば、その動きに合わせて姿勢を立て直しやすくなります。
反対に、体が固まっていると動きに追いつけず、そのまま転倒につながりやすくなります。

ストレッチは、転倒のリスクを減らす「体の保険」のような役割も果たしてくれるのです。

 

ストレッチは「血のめぐり」を整える

筋肉を伸ばすと、局所の血流が増え、全身の循環も整います。
その結果、冷えやこりがやわらぎ、疲れが抜けやすくなるなど、日常の不調が軽くなることがあります。
ストレッチを「体をやわらかくする運動」と考えるよりも、「体をめぐらせる習慣」と捉えると、続けやすくなります。

ストレッチを続けやすい時間帯としておすすめなのが「朝、布団の上で5分」。
着替えも道具も不要で、習慣にしやすいからです。

次の3つを目安に、気持ちよい範囲で行います。

【1】太もも裏伸ばし
* 仰向けで片足を上げる
* 膝は軽く曲げてもよい
* 15~20秒キープし左右交替
*手が届かない場合は、タオルを使っても構いません

【2】背中の丸め・反らし
* 四つ眩いで背中を丸める→反らす
* 呼吸に合わせてゆっくり5回

【3】首のストレッチ
* 左右にゆっくり倒して各15秒
* やさしく小さく回す

 

余裕があれば入浴後にも

筋肉が温まっている入浴後は、体がより伸びやすい状態です。
朝に加えてストレッチを軽く続けると、変化を感じやすくなります。

 

「階段」は無料のジム。筋力と心肺が鍛えられる

【ポイント】
* 階段昇降は、歩行より強い負荷が自然にかかる運動。
* 太もも・お尻・ふくらはぎを同時に使える。
* 心拍数が上がり、心臓と肺にも適度な刺激が加わる。
* 1階分でも十分に意味がある。

 

「お金も時間も体力もない」そんな人でも

「体のために運動したほうがいいのは分かっている」
「でも、ジムに通う余裕はないし、正直そこまで気力もない」
この言葉は、診察室で何度も耳にします。

運動の必要性は理解していても、お金、時間、体力、準備―それらを考え始めると、気持ちが後ずさりしてしまうのです。
けれど、運動は必ずしも「新しく始めるもの」である必要はありません。
すでに身近にあり、毎日の生活の中で何度も目にしているもの。それが、階段です。

 

階段は「歩行より1段格上の動き」

平地を歩くのと、階段を上る動き。
この2つは似ているようで、体への負荷は大きく違います。
階段を上るとき、体は自分の体重を持ち上げます。
そのため、太ももの前側(大腿四頭筋)、お尻(大殿筋)、ふくらはぎが、歩行よりも強く、はっきりと使われます。

これらは、立ちあがる、歩き出す、階段から踏ん張るといった日常動作の要となる筋肉です。
つまり階段は、「生活に必要な筋肉を、そのままの形で使う運動」なのです。

 

筋力トレーニングと有酸素運動を同時に行える

階段を上ると、自然に呼吸が深くなり、心拍数が上がります。
これは、心臓と肺が「少し頑張る」状態に入ったサインです。
息が切れすぎず、でも何もしないより確実に負荷がかかる。
階段昇降は、筋力トレーニングと有酸素運動を同時に行える、数少ない動きです。

ジムでいえば、筋トレマシンとエアロバイクを同時に使っているようなもの。それが、特別な準備なしでできてしまいます。

なお、「階段を使いましょう」と言われると、「全部階段にしなければならない」と思ってしまう方がいます。
でも、その必要はありません。5階建ての建物なら、最後の1階分だけ階段にする。
駅なら、上りだけ階段で、下りはエスカレーターにする。
それで十分です。
体は、「少し負荷が増えた」という変化に、きちんと反応します。

 

膝に不安がある人こそ、使い分けが大切

階段だと膝が不安、という方も少なくありません。
ここで知っておいてほしいのは、膝に強い負担がかかりやすいのは「上り」ではなく「下り」だということです。

上りは筋肉が主体。一方、下りは体重をブレーキで止める動きになり、関節への衝撃が増えます。この使い分けを理解しておけば、安全性と効果の両立がしやすくなります。

 

0円健康メモ:階段は「運動に見えない運動」

階段の最大の利点は、「運動をしている意識がなくても、体はきちんと鍛えられている」点です。
わざわざ時間を取らなくても、特別な服に着替えなくても、生活の中で自然に取り入れられます。
1階分、30秒。それだけで、太ももとお尻、ふくらはぎ、心臓と肺に、確かな刺激が加わります。

運動を「特別な行事」にしてしまうと、続きません。
でも階段なら、使うかどうかをその場で自分が選べます。
今日はエレベーター。明日は階段で1階分。そのくらいの気軽さでいいのです。

著者紹介

森勇磨(もり・ゆうま)

産業医/内科医

東海高校、神戸大学医学部医学科卒業。研修後、藤田医科大学病院の救急総合内科に勤務。多くの患者や家族と接する中で、予防医学と正しい医療情報発信の重要性を痛感し、2020年よりYouTubeチャンネル「予防医学ch」を開設。その後、株式会社リコーの専属産業医として予防医学の実践に携わり独立。MEDU株式会社を設立し、情報発信活動のほか、オンライン診療に対応した「ウチカラクリニック」を開設。著書に『40歳からの予防医学』(ダイヤモンド社)など。

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