運動不足を解消するために、いきなり筋トレを始めてしまった、という方は少なくないでしょう。しかし運動の目的が「ただ健康になりたい」という人にとって筋トレは逆効果になる、とパーソナルトレーナーの坂村純子さんは著書『オトナ女子の「やっかいな疲れ」がとれる大全』の中で語ります。本稿では体の調子を整えるための「呼吸法」、そして「あらゆる筋肉にアプローチ」できるエクササイズ法を紹介します。
※本稿は坂村純子著『オトナ女子の「やっかいな疲れ」がとれる大全』(大和出版)より一部抜粋・編集したものです。
「頑張る」「力む」は実は逆効果
「つい体に力が入ってしまいます」
「体の力が抜けなくて困ってます」
こんな言葉を私のお客様からもよく耳にします。でも世間的には、自分の体が力んでいるかどうか、気づいてすらいない方のほうが
多いのではないかと思います。そもそも、子どもの頃から体に力を入れることは教えられていたとしても、力の抜き方なんて、誰からも教えてもらってないですよね。
そう! むしろ子どもの頃から頑張って気合いを入れたり踏ん張ったり......そんなことばかりが良しとされてきた私達は、すでに無意識レベルで力む癖がついているのです。そして、歳を重ねて運動不足になったり、体力も落ちてくると、途端に慌てて、ランニングを始めたり、ヨガやピラティス、フィットネスクラブ等に通い始めて、いきなり腹筋や背筋を鍛えたり。ストレッチも痛いと感じるまで、とにかく頑張ってしまうのですよね。
不調を治したいのに逆効果な鍛え方
ではそうやって頑張ることは悪いのか......。もちろん、筋肉を肥大させて、ボディビルダーのような体になることを目的としている場合は、何の問題もありません。そうではなく、ただ健康になりたい、不調を改善したい、体力をつけたいことが目的の方が、いきなり表面の筋肉(アウターマッスル)を頑張って鍛えたり、固まっている筋肉を無理に伸ばしたりすると、体の緊張をさらに高めてしまって呼吸まで浅くなってしまいます。つまりさらに体に力が入りやすくなるので、逆効果になるのです。
解剖学的にも、アウターマッスルを鍛えて体の外側をガチガチにしてしまうと、インナーマッスルが動かなくなり、体幹(骨格や内臓部分も含めた胴体部分)が働きにくくなります。
ただでさえ、便利な世の中になった生活環境の影響で、現代人は筋トレをしなくても日常的に力みがちなため、インナーマッスルが使えていない人は多いのです。だとしたら、そんな現代人に必要なのはフィットネスクラブで行うような筋トレではなく、まずは体の力みをとり、深い呼吸ができるようになる体になることが最優先。何のためにトレーニングするのか、今一度見直してみることも大切ですね。