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「ながら食べ」は太る原因? 7kgのダイエットに成功した料理研究家の食事法

印度カリー子(スパイス料理研究家、タレント)

2022年04月08日 公開 2024年12月16日 更新

ダイエットにご法度な、食べ過ぎやニセ食欲。それらを無理なく回避できる方法があるとしたら?

スパイス料理研究家兼タレントとして活躍する印度カリー子さんが出会った「食事瞑想」が、まさにそんな夢のような食べ方。目の前の食事に集中するだけで、食事の満足度も上がり、食べる量も自然に少なくなるという。1年半で7kgの減量に成功した実体験と、食事瞑想に向く料理についても聞いた。(取材・文=村田理江)

 

アメリカの企業も取り入れる「食事瞑想」が習慣

――「スパイスカレーをおうちでもっと手軽に」をモットーに、オリジナルスパイスセットの販売からレシピ本の執筆までこなす印度カリー子さん。TVや雑誌などでお見かけする姿はすらりとした痩せ型で、ダイエットとは無縁のように感じるのですが。

【印度カリー子(以下、カリー子)】幼い頃からずっとぽっちゃり体型でした。美味しいものをたくさん作ってくれる専業主婦の母親と、食べることが大好きな父親に育てられ、ダイエットを志すもうまくいかない日々を送っていました。

そんな私に転機が訪れたのは、大学1年生の冬。何かの雑誌で目にした「食事瞑想」がきっかけでした。「こんな食事の楽しみ方があったのか!」と驚いたのを覚えています。

食事瞑想について説明すると、「食べ物は口だけで味わうものではなく、ましてやお腹を満たすだけのものではない、五感を使って食べるべきだ」という考え方。ゆっくり食べることで満腹中枢が刺激され、食べすぎを防げたり、マインドフルネスと同じようにストレスから開放されたり、感情が安定したりするそうです。

 

食事の満足度が上がり、1年半で7kgの減量に成功!

――マインドフルネスの先進国、アメリカで研究が進んでいる食事法ですね。あのグーグルでも「瞑想ランチ」として取り入れているとか。実際に試してみてどうでしたか?

【カリー子】これがなかなか難しくて。ご飯を食べ始めてから食べ終わるまで、ずっと目の前のご飯のことだけを考えながら食べるというのは至難の業。気づくと、次の仕事のことを考えていたり、今日あった出来事を思い返していたり…。気づくと、「あれ? いま、意識が飛んでいた?」となりがち。いかに普段の食事に集中していないのかに気づかされました。

特にひとり暮らしをするようになってからは、TVやスマートフォンを見ながら、友だちとおしゃべりしながら、次のレポートのことを考えながら、といった"ながら食べ"がほとんど。正直、何を食べているのか分からないような状態でしたね。

この"ながら食べ"をやめて食事瞑想を取り入れるようになってから、余分なものを食べなくなりました。食事の満足度が上がるので、「もうこれでいいや!」ってなるんです。いつも食べている量の半分くらいでお腹がいっぱいになったのは驚きでした。

以前はストレスから暴食をしてしまうこともありましたが、「これはお腹が空いているわけではない、心のざわめきなんだな」ってことに気づけるようにもなり、ニセの食欲からも解放されました。

その結果、1年半で7kgの減量に成功!(笑)。1ヶ月で0.5kg程度なので急激な痩せ方ではありませんが、食事瞑想を習慣にしたおかげで、ストレスなく痩せることができたのは大きかったですね。

ダイエットというのは、一朝一夕ではなく数か月単位でやるものだと思っているので、この食べ方なしに長期的なダイエットを継続するのは難しかったと思います。

ダイエット中は食事が一番の楽しみであって、その食事をいかに楽しむかが重要。だから、本当に食べたいものを全身全霊で集中して食べる食事瞑想をすれば、それだけですごく幸せな気分になれました。だから続けることができたんでしょうね。

いまではすっかり生活の一部となり、食事の度に食事瞑想をしています。ダイエットを続けるコツは、毎日楽しく食事をすることと食べすぎないこと、これに尽きますね。

 

「いま何が食べたい?」自分の欲求に気づいて、認めて、満たす

――「五感を使って、目の前の食事に集中して食べる」とのことですが、食事瞑想の具体的なやり方について教えてください。

【カリー子】まず、「いま、本当にお腹が空いているのか?」、自分に問いかけるとことから始めます。たいしてお腹も空いていないのに、「夕食の時間になったから食べよう」というのはバツ。食事瞑想とは、自分の体の真の欲求に気づいてあげることが大切です。

次に、「今日の私は、何が食べたいのだろう?」と、自問自答してみる。実家などで食事がすでに用意されている場合は、このプロセスは省略してください。

食事が目の前にきたら、「私は今日、これを欲しているから食べるのだな」と、意識を向けます。それから、食べる。五感をフルに活用して、香り、食感、色合い、刺激などを楽しみましょう。

例えばスパイスカレーなら、カレーをスプーンですくって観察します。どんな色をしているのか、なぜこんな色になったのか。「スパイスの色? それとも玉ねぎの色?」。鼻に近づけて匂いを嗅いでみます。「どんな香りがする? 素材の香りは感じる?」

そして、口に運びます。「温かい? それとも冷たい?」、「どんな味がする?」、「どんな刺激がある?」。そうやってめいっぱい食事を味わって、楽しんでください。たくさん噛んで飲み込む間に、どんな香りが広がり、どんなふうに味が変化するのか、全身全霊で感じてみてください。

最後に、お腹の中に入った食材が体を満たし、不調部分を癒やしてくれるのをイメージします。余力があれば、ここまでたどり着いた食材と作った人に感謝するといいですね。

この食べ方をすると、食事のスピードとしてはものすごく遅くなります。いつもの2、3倍の時間を要すると思うのですが、それでも、30分以内には終わるはずです。

 

食事瞑想に向くのは、スパイスカレーやスパイススープ

――30分間も食事だけに集中するのは、なかなか大変そうですね。食事瞑想に向いている料理はありますか?

【カリー子】慣れるまでは、"未知の食べ物"がやりやすくていいですね。例えば、高級フレンチを想像してみてください。目の前にサーブされたお皿を見て、「この料理はいったい何だろう?」と香りを嗅いだり、口に入れて味わって、「わー、美味しい!!」と、大げさに感動したりしていますよね?皆さん、値段の高い料理だと自ずとやっています(笑)。

そう考えると、スパイス料理は食事瞑想に向いていると思います。スパイスカレーなら、カレールーで作るカレーとは違って味の想像がしにくいので、食べたときに、「え?こんな美味しい味があるの?」と、新たな発見があり、脳の満足度も高い。

スパイススープも、スパイスと塩だけのシンプルな味つけなので、味覚に集中しやすくておすすめです。「なんだろう、このスープは?」、「なんだろう、この香りは?」と楽しんでいるうちに、自然と食事瞑想ができています。

食事瞑想というのは、自分の心や体と正直に向き合い、欲求に気づき、認めて、満たしてあげること。普段、なかなかこれができている人は少ないと思います。

どこか体の不調を感じる、なんとなく元気が出ない、ストレスがたまっている……。実はこれも、体の真の欲求を満たせていないことが原因だったりするのです。

そう考えると食事瞑想は、忙しい現代人にとって何よりのヒーリングになるのではないでしょうか。ダイエットだけではなく、食事瞑想によるマインドフルネス効果で、心からの癒やしを体験していただけることを願っています」。

 

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