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食べる時間を変えればパートナーとの関係が変わる!

笠井奈津子(栄養士/フードアナリスト)

2014年07月25日 公開 2024年12月16日 更新

 

コレステロールと妊活の知られざる関係

 そして「外で食べてきてくれてラッキー」と思う派の方も、妊活中であれば、パートナーが普段、どんなものを食べているのか聞いておくとよいでしょう。

 性ホルモンの材料として必要なのは、普段敵視されやすいコレステロール。コレステロール値が少し高めの人のほうが精力的ともいわれますが、コレステロールは男性ホルモンや女性ホルモン、抗ストレスホルモンをつくる材料の一つです。体内のコレステロールの8割は肝臓でつくられていて、食べ物からつくられるのは残りの2割。摂り過ぎはもちろんいけませんが、食べ物から摂る量が極端に少なければ、肝臓を疲弊させることにもなります。しかも、男性ホルモンや女性ホルモンが減少したり、免疫力が弱ったりすることも。だからこそ働き盛りの男性を、女性のヘルシー志向に合わせてベジタリアンにシフトさせてしまうのは危険です。

 一方、料理好きな方は、張り切りすぎに注意。間違っても、精力をつけよう! と牛丼や

 カツ丼、ハンバーグなど、パートナーの好きなものばかり出すのは危険です。最近はEDで悩まれている方が少なくありませんが、そもそも勃起は血液の流入によって起こります。動物性脂肪たっぷり&生野菜ほぼゼロの生活で、いわゆるドロドロ血になってしまうと、この流入がスムーズにいかなくなり、立たない……ということにもなりかねません。生活習慣病やメタボになりそうな食生活はEDになりやすい、といえるのです。男性がラーメンやカレーといったものを好んで食べているようであれば、家での食事は好物を出しつつも、野菜増量を心がけたいものです。

 

“セックスミネラル”ともいわれる亜鉛の力

 ED改善強化週間に意識してほしい栄養素といえば、別名“セックスミネラル”ともいわれる亜鉛。亜鉛は、性ホルモンを正常化させる働きをもっています。性欲が弱まったときには、性ホルモンの分泌が正常に働いていないケースも考えられるので、亜鉛を欠かさないことが大切。魚介類は亜鉛を多く含むので、忙しい日には簡単にお刺身をメインにしてもよいでしょう。アサリのお味噌汁も砂抜きの手間はありますが、おだしをとらなくていいので手軽な部分も。アルコールを摂り過ぎると亜鉛の排泄量は増加しますから、お酒をよく飲む人はいっそうの意識づけが必要です。

 加工食品に含まれるポリリン酸は亜鉛の吸収を妨げるので、冷凍食品やレトルトもの、出来合いの惣菜とビールで毎晩晩酌している人は要注意! 亜鉛は精子尾部の形成に不可欠なもの。夫婦生活はあるけれどなかなか子どもが授からない……というときには、日中どのようなものを食べているかを聞き、それによってお小遣いの値上げをする価値もあるかもしれません。亜鉛は味を感じる味蕾の形成にも重要になるので、何にでもソースやケチャップをつけて食べるなど、味に対する感覚が鈍くなってきたときには、亜鉛不足を疑ってみましょう。

 買ってきたお惣菜でもパックのまま出すのではなく、綺麗に盛りつけるだけでずいぶん印象が変わります。お互いにゆとりを失わずにできる範囲内で、愛情が伝わるようなプレゼンができるということは、パートナーとの関係をよくするポイントになるかもしれません。

 さらに肌が触れ合う機会があれば、精神的な安心感を得られるでしょうし、ストレスにさらされがちなビジネスパーソンにとっては日常の仕事から解き放たれ、癒される時間になるかもしれません。身体をみられる緊張感は体型維持にも一役買ってくれそうです。

 夫婦関係と食。一見、食とは何の関係もないようにみえることがつながっていて、行き詰ったように感じることに新しい道を示してくれることが多々あります。

 

 『10年後も見た目が変わらない食べ方のルール』(PHP新書)では、著者である私自身の25kgの減量経験についても触れています。「ダイエットに興味がある」方はもちろん、「心のコンディションがいまいち……」という方にとっても、意外なヒントが隠されているかもしれません。

 食事が変われば、体調が変わる
 体調が変われば、モチベーションが変わる
 モチベーションが変われば、体型が変わる
 体型が変われば、身に着けるものが変わる
 身に着けるものが変われば、所作が変わる
 所作が変われば、周りの認知が変わる
 周りの認知が変われば、自分が変わる

 シンプルなことですが、「何をどう食べるか」で、よりよいプラスのサイクルに入るきっかけにしていただければ嬉しく思います。

 

笠井奈津子

(かさい・なつこ)

栄養士

1979年東京都生まれ。聖心女子大学文学部哲学科卒業後、香川栄養専門学校を経て栄養士となる。都内心療内科クリニック併設の研究所などで食事カウンセリングに携わり、1万通り以上の食事記録をチェック。フリーランス転身後は、“メタボとうつ”“心と食”などをテーマに講演や執筆を行なう。企業研修では事前に社員の食事記録を確認し、労働・食環境などにも配慮。コンビニでの食べ物の選び方など、クライアントのライフスタイルを尊重した提案が人気となる。
著書に、『甘い物は脳に悪い』(幻冬舎新書)、『気が散る男はすぐ太る』(大和書房)、『子どもの「できない」を「できる」に変える子育て食事セラピ―』(河出書房新社)ほか多数。

 
 

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