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つらい時に接近してくる人は要注意...精神科医Tomyが出会った「偽救済者」の正体

精神科医Tomy

2024年12月16日 公開 2024年12月16日 更新

パートナーとの別れなど大切な人間関係が壊れた時、誰しもが孤独を感じるものです。しかし、そんな時を狙ってあなたを騙そうと近づいてくる「偽救済者」が現れることも...。人間関係の試練の時に、注意すべきポイントについて精神科医Tomyさんの書籍『穏やかに生きる術』より紹介します。

※本稿は、精神科医Tomy著『穏やかに生きる術』(KADOKAWA)を一部抜粋・編集したものです。

 

大切な人間関係が壊れる

両親の離婚、自身の離婚、大きな別れ、あるいは信頼していた人からの裏切りなど、人間関係にまつわる「試練のとき」です。

人間関係の悩みというのは尽きることがないですが、その中でも日々の暮らしに大きな影響を与えるような人間関係の崩壊が、試練のときになります。

そして、もっとも気を付けなければいけないのが、「人間不信」です。信頼していた日常的な関係が壊れてしまいますから、誰も信じられない気持ちでいっぱいになり、孤独を強く感じます。

また誰かに相談しようにも、「一番相談していた相手」がトラブルの元になっていたりするので、それもできない。とはいえ、関係ない第三者に相談するには重すぎる話です。勇気を出して相談しようとしても、人間不信になっているので「また同じことが起きたらどうしよう」と考えて不安になります。

ではどうすればいいか。実は人間不信を解決してくれるのは、やはり人間なのです。誰かとの関係性を深めていくことが一番この時期を乗り越えさせてくれます。逆に完全に人間不信になって誰とも関わらないようにすると悪化します。

ですから、人間関係の試練のときを迎えたら、やはり誰かに相談してください。そのときに気をつけるべき3つの要素があります。

 

①完全な第三者を選ぶ

たとえば離婚になりそうであれば、パートナーとは関わりのない相手を選びます。幼馴染や、共通の友人関係のない親友、あるいは自分の血族などが良いでしょう。完全な第三者である方が相談しやすく、影響も少ないはずです。

ここでうっかり共通の友人などを選んでしまうと、自分の話がパートナーに筒抜けになるなどして、人間不信の二次被害すら引き起こしえます。できればパートナーとは全く面識がない人の方がいいと思います。

 

②相談するときに全面的に依存しない

たとえばパートナーに全面的に依存していた人が離婚の危機になったとき、相談者に依存対象を「乗り換え」ることが起きえます。それがきっかけで交際に至ることもあります。

もちろんそれで上手くいくこともあるかもしれませんが、たいていの場合上手くいきません。それは「誰かに依存する」というアナタの問題が何ら解決されていないからです。

人間関係に限らず試練のとき全般に言えることですが、誰かに依存すると乗り越えにくいことが多いのです。相談するにせよ、話し相手になってもらう程度にして、全面的に自分の孤独を埋めてもらおうとしてはいけません。最終的に決断するのは自分でなくてはいけません。

 

③「偽救済者」に注意

「試練のとき」にはアナタを助けようとするフリをして近づいてくる危険な人々もいます。特に人間関係の試練のときには、こういった人物が現れやすいように思います。実は私もそういった人物に遭遇したことがあります。

パートナーが亡くなった直後、ある人物が私にコンタクトをとってきました。その人物の名前をAとしましょう。Aは、パートナーの大学時代の同級生でした。

最初は「葬儀に間に合わなかったから、本人の実家にとりついでほしい」という話でした。私は快諾し、パートナーの実家に連絡しました。そのまま終わるかと思ったのですが、それをきっかけにAはちょくちょく私にメールを送ってきました。そしてとうとうこんなことを言い始めたのです。

「私は実は霊能力者で、パートナーの声を聞くことができます。お伝えしたいことがあります」と。そしてパートナーからのメッセージとやらをメールで送ってくるようになったのです。

本当はその時点で連絡を絶てば良かったのですが、「ありがとうございます」と返してしまいました。ただ「私はこういったものにお金を払うことはできないのですが、ご了承ください」とは付け加えておきました。

その後も何度か、「パートナーからのメッセージ」というものをAは送ってきたのですが、ある日突然「私はこのメッセージを受け取るときに、かなりのエネルギーを使っている。本来はお金をとっているので、これからは代金をいただきたい」というようなことをメールで送ってきました。

私は「最初に言ったように、それはできません」と返したところ「アナタはなんてひどい人間だ! 信じられない」というようなメールが来たため、そのまま連絡をやめました。

私はこの件で、「世の中には人が弱っているときを狙って現れる人々」がいるのだということを学びました。「試練のとき」は、人が一番弱気になり、孤独を感じ、誰かに頼りたくなる時期です。そこに付け込もうという人々からすれば、恰好のカモなのです。

もちろん、本当にアナタを助けようとする人も沢山いますが、利用しようとする「偽救済者」もいる。そのことは心得ておく必要があります。それでは、どうしたら「偽救済者」を見抜くことができるでしょうか。3つのポイントにまとめてみます。

 

⑴「試練のとき」をきっかけに急接近してくる人間

一番わかりやすいのはこれだと思います。付け込もうとする人間は、普段から「弱っている人間」を探しています。そこにたまたまアナタが視界に入ってきたわけです。

ですから、昔から親しい人間ではないはずです。場合によっては全く知らない人です。アナタが元気なときに彼らが近づいてくるはずがないからです。「自分が大変なときに目の前に現れた」人物は要注意です。

 

⑵ 向こうからアクションをとってくる

最初は必ず向こうからアクションをとってきます。何度も何度も、押しつけがましくない程度に誘ってきます。
本来、大変な時期には新しい人間と知り合う余裕などないはずです。ですから、彼らの方から気遣うフリをしていろいろと誘ってきます。

 

⑶ 知り合いの紹介でも信用しない

今回のケースでは、Aはパートナーの友人からの紹介でした。「大学のサークルの仲間でAという人がいて、自宅に焼香に行きたいので連絡をとりたがっている。いい?」という感じで紹介されたのです。もちろん友人に悪意はないと思います。私は知っている人からの紹介ということもあり、ついつい油断していました。

「試練のとき」のアナタは、自分が思うより弱っています。しかし、だからといって何も考えずに動くと、さらに大きな問題につながる可能性があります。こんなときほどしっかり一線を引いて行動することが大切です。

 

どうしようもないときは引きこもる

人間関係の「試練のとき」は、孤独を感じると同時に、他人への恐怖感も大きくなります。どうしても誰とも関わりたくない。誰も信用できない。そんな気分のときもあると思います。いくら乗り越えさせてくれるのが他人の存在だからといって無理をしてはいけません。

アナタが「本当は誰とも会いたくないのだけど」という気持ちを押し殺して会っても、相手になんとなく伝わってしまいます。会話がぎこちないものになれば、ますますアナタは人間不信に陥ってしまうかもしれません。誰とも会いたくないときは、思う存分引きこもってもよいのです。

 

著者紹介

精神科医Tomy(せいしんかい・とみー)

精神科医

1978年生まれ。東海中学・東海高校を経て、名古屋大学医学部卒業。医師免許取得後、名古屋大学精神科医局入局。精神保健指定医、日本精神神経学会専門医。現在は心療内科・精神科のクリニック院長として勤務。38万フォロワー突破(2023年10月時点)のX(旧Twitter)が人気で、テレビ・ラジオなどマスコミ出演多数。著書『精神科医Tomyが教える 1秒で不安が吹き飛ぶ言葉』(ダイヤモンド社)に始まる「1秒シリーズ」は、33万部突破のベストセラー。

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