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健康管理の決め手は自律神経と腸内環境

小林弘幸(順天堂大学医学部教授)

2015年09月11日 公開 2024年12月16日 更新

 

35歳から45歳の過ごし方がその後の健康を決める

充実した仕事をするには、身体が資本となる。しかし、30代も半ばを過ぎると、とたんに疲れやすく、身体のさまざまなメンテナンスが必要になるという声も聞かれる。疲れにくく健康な身体を作るためにはどのように考え行動すれば良いか、アスリートや著名人の体調管理の指導も行なう医師の小林弘幸氏にお話をうかがった。<取材・構成=林 加愛 写真撮影=永井 浩>

 

身体の疲れを防ぐ2つのポイントとは

「年を重ねるに従って、どんな人でも体力は必ず落ちてきます。若いころと同じ生活を続けていると、すぐに疲労が溜まり、体を壊してしまうでしょう」

こう語るのは、順天堂大学医学部教授の小林弘幸氏。この体力低下を引き起こす原因は「自律神経の機能低下」と「腸内環境の不調」という二要素にあるという。

「自律神経は、血液循環やホルモン分泌リズムなど、体の基本的な機能を司るシステム。その働きが落ちると血流が悪くなり、むくみや倦怠感を引き起こします。
この状態を改善するには、緊張時に優位になる『交感神経』とリラックス時に優位になる『副交感神経』の切り替えをスムーズにしなくてはなりません。多忙な毎日を送るビジネスマンは、ともすれば交感神経が働き通しになりがちですから、休むべきときはきちんと休むことが大切です」

とりわけ重要なのが、睡眠のとり方。できれば毎晩七時間、少なくとも六時間は眠らなければ、何らかの不調が出てくるという。

「良い睡眠をとる秘訣は、起床後すぐに日の光をあびることです。人体を形成する60兆個の細胞には、一つひとつ『時計遺伝子』というものが組み込まれています。光を浴びることによって、この遺伝子のスイッチが入り、目が覚めるのです」

このスイッチは、入ってから約16時間後、つまり夜になると眠気が出てくるというしくみも持っている。従って、毎日同じ時間に朝の光を浴びることが、起床と就寝の自然なリズムを作ることにつながる。

「なお、朝食も時計遺伝子のスイッチを入れるのに有効です。少量でも何か口にすることで胃腸も動き出します」

 

腸内環境を劇的に改善するためには?

もう1つのポイント「腸内環境」は、体内を巡る血液の質と深くかかわっている。

「腸内環境が悪くなると、老廃物や毒素が血液に入り込み、ドロドロの状態で流れることに。そうなると細胞に栄養がいきわたらず、疲労感や倦怠感の元になりますし、血管障害や脳卒中・心筋梗塞などのリスクも高まります。
さらには、メンタル面での悪影響も。胃腸の具合が悪いとストレスレベルが上がり、睡眠の質も悪くなります。食生活を整えることで、弊害を元から絶つことが必要ですね」

 腸の状態を改善するには、何よりも食物繊維を摂ることが決め手、と小林氏。

「人体には1日25gの食物繊維が必要ですが、現代の日本人の摂取量は10g未満と、非常に不足しています。
根菜や海藻類、キノコ類などを積極的にメニューに取り入れ、ときにはサプリメントを活用するのもいいでしょう。もちろん、水分をこまめに取ることも忘れてはいけません」

 

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35~45歳の 過ごし方が重要となる

著者紹介

小林弘幸(こばやし・ひろゆき)

順天堂大学医学部教授

1960年、埼玉県生まれ。92年、順天堂大学大学院医学研究科博士課程を修了後、ロンドン大学附属英国王立小児病院外科などの勤務を経て帰国。順天堂大学小児外科講師、助教授を歴任後、現職。自律神経研究の第一人者としてアスリートや芸能人のアドバイザーを務めるほか、TV出演などメディアでも活躍中。著書に、『なぜ、「これ」は健康にいいのか?』(サンマーク出版)、『一流の人をつくる整える習慣』(KADOKAWA)など多数。

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