基本方針がしょっちゅう変わる会社
2011年06月07日 公開 2022年08月29日 更新
進化したお客様へ、進化したサービスを
この30S全体にいえることも、「お客様の変化・進化」だと思います。お客様が我々に求めるものが大きく変わってきている以上、それに対して我々も答えなければならないのです。
たとえば、「商談は相談」というのがありますが、これはまさに、今のお客様の心理を反映しています。こんなハガキをよくいただくからです。
「初めて車を買うということでいろいろ不安があったのですが、○○さんは親身になって話を聞いてくれたので、安心して購入を決められました」
「こちらの立場に立って相談に乗ってくれたのが、なによりも嬉しかったです」
そうなんです。つまり、こちらが手を替え品を替え営業トークを繰り広げるよりも、お客様の話を聞く、つまり相談に乗ることこそが重要になってきているのです。「お客様は自分で決めたい」のです。
また、やはり多いのが、「○○さんの笑顔が素敵で、思わず買ってしまいました」というもの。笑顔一つで車が売れてしまうのですから、莫大なお金をかけて広告や宣伝をしているメーカーの人はなんて思うでしょうね。まさに「スマイル」「性能より性格」が、お客様に選ばれる大きな理由になっているのです。
一方で、クレームに関するお客様の意識も変化しています。車に慣れている我々は「車は走ればいいんだ」なんてことを思いがちですが、数年に一度の大きな買い物をするお客様にとっては、ほんの小さなことでも非常に気になるもの。そのあたりをちゃんと汲み取って「細部の徹底」をして、「スピード」を重視して対応すれば、クレームは未然に防げます。
それでも問題が起きてしまったときは、もうこれは幹部の責任です。やはり数年に一度は「返品する」というようなケースになってしまうことがあります。
そんなときに堂々と「わかりました」と言えれば、下にいる社員は本当に心強いものです。まさに「損を決めるのが幹部の仕事」なのです。 もっとも当社は中古車販売もやっているので、返品された車はそちらで引き取ることができるということもあるのですが......。
株式会社ホンダカーズ中央神奈川会長。昭和15年生まれ。立教大学卒。食品会社、本田技研工業株式会社を経て、昭和44年株式会社ホンダセンター湘南を設立し、代表取締役社長に就任。平成5年に株式会社ホンダクリオ新神奈川に、その後平成18年にはホンダカーズ中央神奈川に社名変更。平成17年には同社会長に就任、現在に到る。ホンダカーズ中央神奈川は現在まで13年連続顧客満足度日本一を達成しており、2004年度には日本経営品質賞を受賞。
著書に『サービスの底力!』(PHP研究所)がある。