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生き方

耐えて頑張る? ポジティブ思考? それがあなたを追い詰めている!

辻秀一(スポーツドクター、産業医)

2015年12月22日 公開 2024年12月16日 更新

『なぜ、一流の人は「ポジティブ思考」をしないのか?」より 

 

頑張りすぎて疲れていませんか?

わたしたちは、妄想に取り憑かれている

「頑張れば良いことがある」

「苦あれば楽あり」

というのは、妄想です。

苦しさのご褒美に金メダルをもらえるわけでもなく、頑張ったことのボーナスに成功があるわけでもないのです。

しかしながら、この妄想に翻弄されている人のなんと多いことでしょう。

もちろん、手を抜いても良いことはありませんし、苦しいと感じることがいけないというわけでもありません。

でも、「ただ頑張っている」「ただ苦しいと感じている」というだけで幸せになれるわけでも、それだけでどんなことでも成し遂げられる、というわけでもないのです

この妄想に浸り、この妄想にしがみついて、頑張ることのつらさにひたすら耐え、苦しんでいるのを我慢しても、良い結果に結びつくどころか、疲ればかりがたまっていくだけではないでしょうか?

実は、ビジネスやスポーツの世界だけでなく、人生においてもこの妄想にすっかり取憑かれて、疲れ切ってしまっている人は少なくありません。

「ひたすら自分に厳しくしなければならない」とか、「つらい思いに耐えることこそが幸せへの道だ」といった、ストイックな考えにしがみついているのです。

しかし、それは真実なのでしょうか。

 

「頑張る」ことは手段でも目的でもない

何度も申し上げますが、決して「自分に甘くするのが良い」とか、「甘くしましょう」と言っているのではありません。

「つらい思いをしたらダメだ」ということでもありません。

厳しさやつらさを否定しているのでもありません。

ただ、厳しいということ、つらいということが結果を創っているのではない、ということに目を向けていただきたいのです。

結果は、それに見合うだけのことをやり遂げたことによって、あとからついてくるもの。つまり、とった行動にふさわしい結果がもたらされるだけのことなのです。

当然、大きな結果を望むのであれば、それにふさわしい行動の量が増え、質も高くなります。そのためには自分にも厳しくなるでしょうし、頑張らないといけないでしょうし、つらさや苦しさがともなうことにもなるでしょう。

そう、「頑張る」ということは、手段でも目的でもないのです。

手段とは、するべきことをすること。

目的とは、その行動にふさわしい結果を得ていくことです。

その過程において、苦しさや頑張りを感じることがあったり、それが必要だったりすることがあるのです。

いってみれば、これは至極当然のことです。

しかし、知らず知らずのうちに「苦しさやつらさに耐えて頑張ること」を手段や目的にしてしまい、「頑張ってさえいれば、望み通りの結果が得られるはず」と思い込んでしまっている人が、本当に多いのです

「頑張ること」が手段や目的になってしまうと、それだけで疲れ切ってしまいます。頑張るという海のなかで溺れてしまうのです。

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「ポジティブ思考」という罠

著者紹介

辻秀一著(つじ・しゅういち)

スポーツドクター、産業医、株式会社エミネクロス代表

1961年、東京都生まれ。北海道大学医学部卒業。スポーツ心理学を日常生活に応用した応用スポーツ心理学をベースに、パフォーマンスを最適化・最大化する心の状態「Flow」を生み出すための独自理論「辻メソッド」でメンタルトレーニングを展開。エネルギー溢れる講演と実践しやすいメソッドで、一流スポーツ選手や企業経営者から熱い支持を受けている。また、ドクターの視点を活かし、「健康経営」という考え方を取り入れた新しい企業の経営のあり方を「産業医」や「健康コンサルタント」として取り組み、フローカンパニー創りに大きな成果を上げている。「辻メソッド」の真髄を学べるワークショップは、一流アスリートやビジネスパーソン、コンサルタント、経営者から大学生や主婦まで、老若男女が参加。毎回大きな感動を呼び、受講者から「世界No.1」との声もあがっている。通信教育で学べるフローマインド・マネジメント資格も好評。さらに、「スポーツは文化だ」という理念のもとプロバスケットボールチーム「東京エクセレンス」を立ち上げ、代表を務める。2013年よりNBDLで2年連続優勝を果たす。著書は、37万部突破の『スラムダンク勝利学』(集英社インターナショナル)、『禅脳思考』(フォレスト出版)、『一生ブレない自分のつくり方』(大和出版)、『自分を敬え。超訳・自助論』(学研パブリッシング)など、約40冊。
辻 秀一 オフィシャルサイト
http://www.doctor-tsuji.com/

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