バブル世代とさとり世代のジェネレーションギャップ
原田 お母さん方はいわゆるバブル世代に当たると思いますが、息子さんたちの世代とギャップを感じることはありますか?
例えば、最近の若者は車に興味がないとか、恋愛に興味が薄いとか、お酒を飲まなくなってきたといわれていますが。
A 息子は車に全然興味がなく、免許もとっていません。彼女も欲しいとは思っているようですが、いなくても、まあいいかという感じのようです。
B 私と同世代の男の子はみんな車を持っていて、何かあったら車で出かけるのが当然でしたが、うちの息子は免許はとったものの全然運転しません。
また、ある意味、息子たちの世代は真面目だと感じます。私たちの頃は大学の講義をサボったりすることもよくありましたが、息子は講義にきっちり出席していますし、人によってはダブル・スクールで資格をとろうとしていたりします。意外に将来をしっかり真面目に見据えているようで、そこにジェネレーションギャップがあります。
原田 若い頃に景気がよかった「バブル世代」は消費意欲が旺盛でしたから、不景気下に育って消費意欲が減退している「さとり世代」の息子さんたちに違和感を感じる点が多くあるんでしょうね。バブル時代だと車はデートのマストアイテムでしたが、恋愛離れしているさとり世代には車にまったく興味を持たない人もたくさんいます。また、今は少子化で大学も子どもの取り合いになっているので、学生の出欠をきちんととるようになってきていますし、学生側も将来への不安が大きいので、きちんと授業に出たり、資格学校に通うようになったりしていますね。
また、今のさとり世代は全体的には大幅にアルコール摂取量が減り、お酒離れにもなってきています。急性アルコール中毒死などの事件が起こった結果、大学側も一気飲みなどに厳しくなってきていますし、かつてあった学生時代の無理な飲みも減ってきています。だから、若い時に盛り場でお酒を(時に無理して)飲んだバブル世代が、さとり世代にジェネレーションギャップを感じるのも無理はありません。
また、さとり世代は恋愛をしなくなってきており、生活に友だちが占める割合が増えてきています。異性とのイベントであるバレンタインの市場規模を、性別を問わないイベントであるハロウィンが抜いたのは象徴的です。また、SNSを介して人間関係を簡単に広げることができるようになったため、昔よりも浅く広い友人関係を持つようになってきており、この点でもジェネレーションギャップが生まれているといえるでしょう。
息子と二人でパリ旅行
原田 息子さんとの交流で、印象的なエピソードがあれはお聞かせください。
C 空いている時期だから行ってきたらと主人に勧められ、3月に息子と2人でフランスに旅行してきました。娘も一緒に行くつもりでしたが、部活が忙しくて行けませんでした。これまでも家族で旅行にはよく行っていましたが、2人で行くのは初めてです。そのことを職場の同僚に話したら、「えっ!どうして息子さんと2人なの?!」とみんなに引かれまして(笑)。最初は台湾などの近場にするつもりだったんですが、息子に「せっかくだから母さんの行きたいところにしなよ」といわれたので、1番行きたかったパリに決めました。このチャンスを逃したら、もう一生行けないかもしれないと思って。行き先を決めたら、息子が航空券と宿を手配してくれて。現地についてからも、私が「この店に行きたい」というと、息子がスマホで Googleマップを見ながらさっさと案内してくれました。私は後ろを犬みたいについていくだけ(笑)。地下鉄に乗る時も、細かく注意してくれて、すべて彼主導でしたね。今回の旅行では安いプランを選んだのでいろいろと節約しなければならなかったんですけど、「ここでは何ユーロまで使って大丈夫」とアプリを使ってチェックしてくれたんですよ。そこまでやられたらこちらは太刀打ちできませんから、素直に全部面倒を見てもらいました。
原田 完全に保護者が息子さんになってますね(笑)。やはり、ITスキルは息子さんの方が高いですから、親が子どもに頼らざるをえないシーンがたくさん出てきているんですね。
B うちは「パズドラ」とか「艦これ」など、ゲームの攻略法で息子と盛り上がりますね。「今日は忙しいから、このミッションをやっておいて」と息子が私に頼んできたり、私が解けないところを息子が教えてくれたり。いちおう課金はしないでプレイするという建前で(笑)。息子から「刀剣乱舞」というゲームを勧められて、それも今やっています。