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残念な上司に足りない「ほめ言葉のレパートリー」

本間正人(NPO法人学習学協会代表理事),祐川京子(営業スキル研修講師)

2011年09月06日 公開 2023年01月05日 更新

【原則3】タイミングよくほめる

相手にとってほめられてうれしいと感じる時にほめることも大切です。「そういえば、半年くらい前につくってくれた企画は、よくできていたよね」などと言われても、実感は湧きません。

「鉄は熱いうちに打て」といわれますが、相手がよいことをした時、成果を上げた時に、すかさずほめることが、ほめ上手になるためのポイントです。そして、照れくさいという気持ちを脇に置き、小さな勇気を発揮して、相手をほめましょう。

そのためには、ふだんからコミュニケーションをとり、相手の細かい変化を見逃さないことが大切だといえます。

 

【原則4】先手をとってほめる

相手の長所や進歩、成果などを認め、評価することは大切ですが、一方的にほめるだけではなく、互いに喜びを共有することも大切です。

そのためには、互いにほめあうということを心がけたいものです。「あなたのおかげです」「いえいえ、そんなことないですよ。あなたこそ......」とほめあうことで、互いの心理的な距離が縮まり、尊敬しあう心が生まれます。

その際、大切なのは「先手必勝」。相手より先にほめることです。とくに、自分が成果を上げている時には、自画自賛したり自慢話をしたくなりますが、そんな時こそ、自分のほうから相手をほめるという姿勢で接したいものです。

それが謙虚な人だ、調和を大切にする人だという評価となり、周囲からの信頼にもつながっていきます。

 

【原則5】心を込めてほめる

ほめるといっても、ボキャブラリーが豊富で、さまざまなテクニックを駆使しさえすればよいというわけではありません。

たとえば、「計画が順調に進んだのは皆さんのふだんの努力のたまものであり、感謝の気持ちで一杯です」「今回の君の貢献は、創業以来といってもよいほど画期的なことだ」などと、格調高い美辞麗句を並べ立てられても、あまりうれしさは湧いてきません。

むしろ、飾らない言葉、シンプルな言い回しで、言葉と声に気持ちを載せて伝えたほうが相手の心に響きます。

一般に、日本人は感情を表現するのが苦手だといわれますが、相手に対する感謝の気持ちを、心を込めて一言、伝えることからはじめるとよいでしょう。

 

【原則6】おだてず媚びずにほめる

「ほめる」とは、事実にもとづき相手の優れているところを認め、言葉で伝えることをいいます。それに対し、事実でないことをあたかもたたえているかのように言うことを「おだてる」、相手に気に入られるようにふるまうことを「媚びる」といいます。

「ほめる」には、相手の自発性や意欲を引き出し、組織自体をよりよくしていくというポジティブな効果が付随するものです。ほめた時に相手がつけあがってしまうのは、ほめているつもりでも、おだてたり、媚びたりしているからかもしれません。

ご機嫌とりをされ、気持ちよく持ち上げられれば、つけあがってしまうのも当然といえるでしょう。正しいほめ方を理解し、実践していきたいものです。

生まれながらにほめ上手な人はいません。ある時はほめすぎて相手が舞い上がってしまったり、良かれと思って言ったつもりが反感を買うこともあるかもしれません。

しかし、ほめる回数、ほめられる回数が増えるにつれ、次第に着眼点がシャープになり、ほめ言葉のボキャブラリーも増えていきます。 試行錯誤を繰り返し、あきらめずに1段1段階段をのぼり続けることで、結果的に本当のほめ上手、「ほめ達」(ほめる達人)になることができるのです。

 

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