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生き方

日本は世界で⼀番「⽼⼈⼒」を発揮できる国

金美齢《評論家、JET日本語学校名誉理事長》

2017年12月25日 公開 2017年12月26日 更新

孤独か、自由か――。それは自分次第です! 老後も元気で誇りある生き方を実践してきた著者による、実例に基づく珠玉のアドヴァイス。

※本記事は、金美齢著『凛とした老い方』より、一部を抜粋編集したものです。
 

凜とした老い方

⾼齢者が多数派になる!⽇本は⾔わずと知れた世界⼀の⻑寿国です。

「⾼齢社会⾃書」(内閣府)によると、65歳以上の⾼齢者⼈⼝は、増加を続けて2055年には⾼齢化率が40.5%に達すると推計されています。

国⺠の2.5⼈に1⼈が65歳以上、4⼈に1⼈が75歳以上の⾼齢者になるそうです。

つまり、これからの時代、⾼齢者はマイノリティ(少数派)ではなくマジョリティ(多数派)になる、ということです。

そうである以上、⾼齢者たちは、「年をとるのはつらいよ、悲しいよ、苦しいよ、つまらないよ」などと⾔って、うずくまっている場合ではありません。

⽇本全体が元気になるかどうかは、⾼齢者しだい。「⽼⼈⼒」を炸裂させて、社会を引っ張っていく存在とならなくてはいけません。

加えて、世界に⽬を転じれば、⽇本はいま現在でも⾼齢化率№1。今後も他の追随を許さない勢いでぐいぐい差を広げながら、どの国もまだ経験したことのない⾼齢社会に突⼊しようとしています。
 

⾃⽴して⽣きることに誇りを!

⾼齢者が⽣き⽣きと暮らすためのシステムづくりを⾏政にがんばってもらうことはもちろんですが、⾼齢者⾃⾝が傍観者であってはならないと、私は思います。

⾃分からは何も⾏動せず、すべてを⾏政頼みにして、「年寄りが暮らしやすい世の中にしてね。体⼒も気⼒も経済⼒も衰えていく⼀⽅の年寄りを、ちゃんと⽀えてね」とお願いするだけではダメだということです。

なぜなら、⾼齢者がマジョリティになりつつあるいま、若い世代の負担は物⼼両⾯で増⼤する⼀⽅。元気な社会を維持・向上させていくことが不可能になるからです。

何も、これまで何⼗年にもわたって地道に⼀⽣懸命⽣きてきた年寄りに、「休むな、ラクするな、贅沢をするな、⾏政のサービスに頼るな」と⾔いたいのではありません。

体⼒や脳⼒の衰えが如何ともし難いのは、すでに80代をとうに迎えた私⾃⾝がよく承知していること。若いときと同じように働き、稼ぐのはムリです。

だから、⾃分で蓄えてきた預貯⾦や年⾦を使って、悠々⾃適の暮らしを楽しむのは⼤いにけっこう。⻑年少なくはない保険料をちゃんと⽀払ってきたのですから、健康を害したならば、堂々と医療や介護のお世話にもなるべきです。

ただ、⾼齢者には幾つになっても、「⾃⽴して⽣きる」ことを何よりも⾃分の誇りとしてほしいと思うのです。

「仕事やボランティアなど、何か社会に役⽴つことをしましょうよ」
「社会保険の恩恵にあずかるだけではなく、現役世代の負担が軽くなるよう、応分の負担をすることを覚悟しましょうよ」
「国や社会に保護を求める前に、ギリギリまで独⼒でがんばってみましょうよ」
「経済的余裕があるのならば、⼤いにお⾦を使って、⾃分⾃⾝が楽しみながら、経済の活性化に寄与しましょうよ」

安易に⾏政に頼らず、家の中に引きこもるような暮らしをせず、社会と積極的に関わり、経済にも幾ばくかのプラスを提供しながら、⾃⽴して⽣きる。そんな⾼齢者が増えると、それだけ社会は元気になると思います。

若い世代の負担が軽減されて経済は活気づくし、元気に活動する⾼齢者が増えて社会も活気づくでしょう。

⾼齢社会をサポートする⾏政のシステムと、⾃⽴して活動する⾼齢者⾃⾝のがんばり──この⼆つを両輪に進んでいけば、⽇本の⾼齢社会は間違いなく、世界中が⾒習う先進モデルになると、私は確信しています。

⽇本が「世界で⼀番、⽼⼈⼒を発揮できる国」になるか否か、その⽚棒を担ぐのは、⾼齢者⾃⾝なのです。
 

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