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孫正義「最も重要なのは志と理念」…思考の壁を破る起業家の言葉

ビジネス哲学研究会(編)

2011年12月14日 公開 2022年01月18日 更新

「これからの競争社会の命運を左右するものはイノベーションだ」といわれているが、イノベーションとはどのように生まれるものなのだろうか。

イノベーションを起こした古今東西の起業家たちが、何を考え、どう決断し、新商品・新事業を開発してきたのかに迫り、彼らの名言からアイデア・発想のヒントを学ぶ。

※本稿は編著『思考の壁をやぶる起業家の言葉』(ビジネス哲学研究会)より、内容を一部抜粋・編集したものです。

 

はじめに (ビジネス哲学研究会)

「これからの競争社会の命運を左右するものはイノベーションだ」といわれている。では、イノベーションは、どうすれば生まれるものなのか。一言で表現すれば、「不満の火を燃やすこと」ではないだろうか。

人間の頭脳はかなり保守的で、思考の習慣を変えるのはむずかしいものである。そのままの生活を送っていると、昨日のままの頭で今日のことを考え、さらに明日のことを考えるという、安定思考の繰り返しになってしまう。

真の起業家、開発者は、「みんなが満足している状態では満足せず、現状を不満と思い、その解消に全力をあげている人」である。「必要は発明の母」というが、「もっとこうしたい、ああしたい」という不満こそが新しいアイデアを生み出すのである。

もちろん、誰でも1つや2つ、それなりのアイデアをもち、提案することはできるだろう。しかし組織では、新しいアイデアは反対されるケースも多い。そんな反対の波をうけながらも開発を成功させるまでには、強い信念も必要とされる。

「アイデアを出すことはでもできる。しかし、それよりもっとむずかしいのは、そのアイデアを実行に移すことだ」
と本田宗一郎は語っている。

このたび上梓した『思考の壁をやぶる起業家の言葉』では、「強い信念を持ち続ける」「発想の転換をうながす」「未来を見据える」「努力を忘れない」「失敗を恐れない」「お金に惑わされない」などの点から、

どうすれば開発力をつけ、それを開花させられるか、優れた人々の言葉から考えてみることにした。

そのどこかのページが、新しい分野に挑戦し、成功させるための、なんらかのヒントになれば幸いである。

ここでは、本書に収録した90人90の言葉から2つをご紹介します。

 

最も重要なのは志と理念。2番目がビジョン、3番目が戦略です。

孫正義(1957~):自動翻訳機を考案・ソフトバンク設立

孫正義は、佐賀県鳥栖市で生まれた。父はパチンコ店や喫茶店などを経営しており、その影響を受けた孫は、幼い境から商才に長けていた。彼の才能には父親も一目置いていた。新しい事業を始めるときには、小学生の孫に必ず相談したという。

1973年、九州随一の進学校・久留米大学附設高校に進学したが、孫はアメリカに留学するつもりでいた。アメリカで何をすべきか――孫は藤田田(日本マクドナルドの設立者)の意見を聞くため、単身上京。

最初は門前払いをされたが、それでもあきらめない孫に藤田の方が脱帽し、ついに社長室に通されたという。藤田に「コンピュータを学びなさい」と助言された孫は、高校を二年で中道。

サンフランシスコのセラモンテ高校を経て、ホーリーネームズ大学に進学。さらにカリフォルニア大学へ編入した。

1979年、孫は自分が考案した自動翻訳機をシャープに一億円で売り込むことに成功。その金を元手にして、アメリカでソフトウエア開発会社ユニソンワールドを設立。インベーダーゲームを日本から輸入し、大成功をおさめた。

1980年にカリフォルニア大学を卒業すると帰国。福岡県でユニソン・ワールド(こちらはコンピュータの販売を手がけた)を、さらに同年、日本ソフトバンクを設立する。社員はアルバイト2人だったが、「10年後には年商500億円の会社にする」と豪語していたという。

それを聞いた2人のアルバイトは呆れ返り、まもなく辞めてしまった。しかし、孫は事業を拡大し続け、その言葉を実現させた。その後、社名をソフトバンクと改めて株式を公開。

米ヤフーと合弁してヤフー株式会社を設立するなどして資産を増やし、現在では世界長者番付でトップテンの常連となっている。

新しいビジネスやプロジェクトをスタートさせる際、最も気になるのは資金だろう。しかし、それだけを考えていては成功はおぼつかない。

大切なのは自分が何をやりたいのか、そして何をすべきなのかという明確な志と理念である。しっかりとした考えを持ってスタートすれば、壁にぶち当たっても乗り越えることができるはずだ。

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カニのように、横に逢ってでも前進せよ。

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