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チベット亡命政権の命運~「砂にまぶして」滅ぼしてしまう中国の手法

櫻井よしこ(ジャーナリスト)

2018年01月22日 公開 2022年12月21日 更新

チベット亡命政権の命運はチベット民族の命運

アメリカの中国への態度が読み切れないなかで、チベットや東トルキスタン問題に救いの手を差しのべるのは容易ではない。

チベット人やウイグル人、モンゴル人に民族の自由を、と主張しても、彼らの暮らす地にすでに入植している漢民族をどうすることができるだろうか。彼らを追い出すことの難しさは、イスラエルとパレスチナの戦いを見てもよくわかることだろう。

「砂にまぶされた」民族を、もう一度民族として建て直すのは困難を極める。

国際社会はできるかぎりの援助をすべきだが、中国共産党の根本的戦略を変えさせなければ、事は動かない。だが彼らは、チベットを核心的利益と位置づけている。その考えや戦略を変えさせるには、恐らく戦争に訴えるしかないだろう。となれば、どの国も二の足を踏む。

民族の存続の難しさを想う。他民族の支配下に組み込まれ、自分らしさを失い始めたら、危機を乗り切るのは相当な困難を伴う。

だからこそ、ダライ・ラマ法王やロブサン・センゲ首相が率いるチベット亡命政権が尊いのである。彼らは、チベット人の宗教、文化、言葉が滅びないように、その灯火を守ろうとしている。亡命政権が滅びれば、チベット民族も実質的に滅んでしまいかねない。チベット亡命政権の命運は、間違いなく、チベット民族の命運である。私たちがチベット亡命政権を何としても支えなくてはならない理由もここにある。

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